第19話 海
県大会で助っ人として参加してから3日後、午後1時。岡西中学校門前。
「中森君お待たせ!」
愛莉は身体と豊満な胸を揺らしながら、潤一に駆け寄ってきた。
愛莉は青のジャケットに茶色のズボンだった。男性のようなコーディネートだった。
「大丈夫だから。さっき来たばかりだから」
本当は20分前から岡西中学前に到着していたが、潤一は嘘を吐いた。
彼はクールさを見せたかったのだ。
ちなみに、潤一はホワイトのゆるふわのTシャツにベージュのチノパン姿だった。
「よかった・・・」
愛理はほっと胸を撫で下ろした。
「2人揃ったことだし、バス停に行こうか!」
潤一と愛莉は隣に並んで歩きながら、岡西中学の最寄りバス停に足を運んだ。
バス停に到着し、数分待つとバスが来て、彼らは乗車した。
バスに揺られて30分。潤一達は海水浴が可能な岡山の海の最寄りバス停で降りた。
「うわーすごい人だね」
愛莉は海辺に存在する人々を視認して、感嘆した。
「そうだね。平日なのに。やはり夏休みだからか」
潤一も愛莉と同じように感嘆した。
「じゃあお互いに着替えて来ようか?」
「うん。了解」
潤一と愛莉は海辺に設けられたそれぞれの着替え専用の建物に向かった。
潤一は私服の下に水着を履いていたため、服を脱ぎ、持参した夏用の薄いパーカーだけを羽織って建物を後にした。
潤一は自身のお金を払って、パラソルとブルシートを借りた。
そして、適当な場所にパラソルを立て、その下にブルーシートを敷いた。
「さすがに遅いな?ちょっと確認しに行くか」
潤一はビニールシートから立ち上がり、女子専用の着替えができる建物に向かった。
潤一がパラソルから離れ、屋台の近くに到着すると、3人の男性に囲まれたボン!キュ!ボン!の男の理性を狂わせるスタイル抜群の女性がいた。
「ねぇねぇ君。超かわいいね。俺達と一緒に海を楽しまない?」
男の1人が愛莉の身体を舐めるように見ながら、彼女を遊びに勧誘した。
「だから、それ何回言うのよ!それと嫌らしい目で見るな!!」
愛莉は腕を組み、不機嫌な顔をおくびにも隠さず露にしていた。
「ひゅー。そんな気の強いところも魅力的だぜ!これは逃すわけにはいかねぇな」
もう1人の男が愛莉の細く雪のような純白の腕を掴んだ。
「ちょ!?やめて!触らないで!!」
愛莉は手を振り払おうとしたが、力不足でそれは叶わなかった。
「ちょっと、彼女から手を離してくれないかな?」
潤一が愛莉と男の間に割って入り、その男の腕を掴んだ。
「あ!?なんだお前?関係ない奴は引っ込んでろ」
男はドスの効いた声を出し、不機嫌そうに眉間に皺を寄せた。
「関係なくはない。だって、俺はこの女の子と一緒に海に来たんだから。ね?」
潤一は愛莉に目配せした。
愛莉はその合図を理解し、コクンっと首肯した。
「この反応を見てわかっただろう。だから、手を離せ!」
潤一は腕にありったけの力を注入した。
「いてっ。いてーー」
腕を握られた男が顔を歪め、悲鳴にような叫びを上げた。
「残りの2人も痛い目に遭いたくなければ、この場から立ち去ってくれないかな?」
潤一は真顔で呆然と光景を眺める2人の男に目線を移動させた。
男達は冷や汗をかきながら、機械のように頭だけを何度も振った。
「わかった。わかったから。もうこの子から離れるから。だから、手を開放してくれ~」
男は潤一に懇願するような瞳を形成した。
「わかった。破るなよ。約束だからな」
潤一は男から手を解放した。
まだ痛みが生じるのか。男は手を押さえながらも、連れの2人と共に駆け足でその場を去就した。
「それじゃ!行こうか」
潤一は男達の立ち去る光景を見送ると、愛莉を安心させるために笑顔を作った。
「中森君。さっきは助けてくれてありがとう。また助けてもらって感謝しかない」
愛莉は潤んだ瞳で潤一に感謝の言葉を伝えた。
「い、いやそんなに畏まらなくてもいいよ。それに悪いのはあいつらだから」
潤一は首を2、3度左右に振った。
あいつらとは今田と先ほどの3人の男達を指していた。
「それで・・・あの〜。さっき助けてくれた中森君には申し訳ないんだけど、これから日焼け止めを塗ってくれない?」
愛莉は恥ずかしそうに日焼け止めの入った容器を潤一に差し出した。
「はい?それってどういうこと?」
潤一は意味が理解できなかった。
いや、実際には理解はできたのだが、愛莉の言葉が真実なのかを確かめる必要があった。
「・・・うん。1人で日焼け止めう塗るのは難しいから、私の全身に中森君が日焼け止めを塗ってほしいの」
「そうか。確かにそうだけど。う〜ん」
潤一は髪を掻きながら、困ったような顔を浮かべた。まあ、実際に困っているわけだが。
愛莉が要請した内容は童貞の男達にとっては願ったり叶ったりの事柄であろう。
なんせ女性の肌に好き放題触れられるのだから。
潤一もその点には魅力を感じていた。
しかし、罪悪感というかやってはいけないというかといった複雑な感情も潤一の胸中にはあった。
しかし、潤一は愛莉のためにも返答はもう1つしか存在しなかった。
「わかった。やるよ」
潤一は覚悟を決めて日焼け止めを愛莉から受け取った。
「ちょっと待ってて。寝転がるから」
愛莉はブルーシートにうつ伏せになり、ビキニの紐を器用に解いた。
彼女の裸体の一部であるシミやニキビが一切ない真っ白な背中が剥き出しになった。
ビキニが愛莉の2つの胸だけを覆っていた。
「では・・・。いくよ」
潤一は生唾を飲み込んだ。
「ど、どうぞ」
愛莉はブルーシートだけを直視しながら、返事をした。
潤一は右手に日焼け止めを取り、肌に馴染ませてから愛莉の背中に塗った。
「ひゃう!?」
潤一の両手に柔らかく、男を安心させる肌の感触が生まれた直後に、愛莉が感じたような軽い悲鳴のような声を漏らした。
「だ、大丈夫!」
潤一は即座に愛莉の背中から手を引いた。
「や、やめ・・・ないで。少しくすぐったくて・・冷たかった・・だけ・・・だから」
愛莉は片目を閉じ切り、身体をピクピクさせながら潤一の方を見つめた。
彼女の表情は誰が見ても妖艶だった。
「わ、わかった。じゃあ、もう1回行くよ?」
「う、うん」
潤一は再び、日焼け止めを手に取り、肌に馴染ませてから、今度は愛莉の腰辺りに塗った。
「くぅ。あ、あん。や、優しい。なんか気持ちいい」
愛莉は甘い声を漏らしながら、身体を左右によじらせた。
潤一はその後、愛莉のおへそ辺りや顔、足まで日焼け止めを濡らされる羽目になるのだが、潤一が手を這わす度に、愛莉はあんあんと気持ち良そうに口にしていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます