第13話 体力測定
7月中旬。岡西中学では2時間の授業を使って体力測定が実施された。
種目は、握力、上体起こし、長座体前屈、反復横跳び、50メートル走、立ち幅跳び、ボール投げ、20メートルシャトルランであった。
1時間目。潤一の結果。
握力60kg 点数10点。
上体起こし45回 点数10点。
長座体前屈75センチ 点数10点。
立ち幅跳び2メートル90センチ。点数10点だった。
2時間目。
まず、50メートル走。
潤一と一緒にスタートする人間は4人存在した。
その内、2人が陸上部、残り2人がサッカー部だった。
「位置についてよ~い」
体育教師の合図により、全員が自分なりの走る構えを作った。
数秒の沈黙と緊張感が周囲にもひしひしと伝わった。
「ドン!」
全員が最高のスタートを切った。
潤一はスタートから前方に飛び出すと、必死に歯を食いしばり追い上げる4人を取り残して、1着でゴールした。
タイムは6秒1 点数10点。
次は、ハンドボール投げ。
このボール投げはハンドボールをどの程度飛ばせるかを測定する種目である。
「「「おっしゃ!こーい」」」
球拾いとして待機している体育会系の男子生徒達がスポーツの試合の煽りのように大きな声を上げた。
現時点での最高記録は野球部の生徒の37メートルであった。
潤一は勢いよく腕を振り上げ、ハンドボールを前方に投げた。
ボールは美しい弧を描き、ぐんぐん距離を伸ばしてゆく。
「お、おいおい。これは飛びすぎだろ」
男子生徒たちは皆、ボールを目で追いながら、先ほど居た場所から離れ、後ろにずんずんとバックしていた。
ボスンっと潤一の投げたボールが重力に引き付けられ、地面に落下した。
男子生徒たちが唖然とした後、即座に記録測定を試みた。
「ご、50メートルです!」
最高記録を叩き出した野球部の生徒が教師に聞こえるように大きな声で測定結果を伝えた。
ハンドボール投げ 50メートル。点数10点。
場所は移り、体育館。20メートルシャトルランでは。
「きゃぁーーすごーーい!」
「本当に!体力やばいよね!運動部が全員負かされちゃったよ!!」
体育館では黄色声援が至る所で留まることなく噴出していた。
「はあはあ。まじで。あいつまじでやべえよ」
「はあはあ。本当に。帰宅部なのに何であんな常軌を逸した体力があるんだよ」
潤一は体育館に身を置いた全生徒からの熱い視線を受けながら、汗1つ垂らさずに体育館のラインとラインの間を往復していた。
「キャー。150回突破したー!」
体育館にプロのスポーツ観戦レベルの歓声が創造された。
男子達(主に運動部)はその光景を苦虫を嚙み潰したような顔で眺めていた。
「お、おい。そろそろいいだろ。このぐらいにしとけ」
体育教師が止めに入った結果、潤一の足は止まり、会場も呼応して鎮まり返った。
20メートルシャトルラン 150回。点数10点。
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