第4話 初めてのダンジョン探索(2)

 ダンジョンはとにかく広い。

 入り口こそ川べりの土手にあったが、ダンジョン本体はどこにあるのか知れたものではない。


 ダンジョンが「どこにあるのか」は探索者シーカーや研究者らがずっと調査を続けてきたが、いまだに解明されていないという。


 位置を特定するための様々な機器も適切に機能せず、ダンジョンの所在地は「異世界」なのではないかとも言われている。


 ともあれそれは、新米探索者シーカーの俺が気にするようなことじゃない。

 俺は道に迷わないことを最優先に意識しながら、ダンジョン探索を続けていった。


 途中、あの犬面のモンスターに二度ほど遭遇して戦った。

 余裕というほどではないが、いずれもどうにか無傷で勝利した。


 そうして、最初の遭遇と合わせて三体目のコボルドを撃退したときだった。

 俺の体に力が湧き上がってくるような感覚があった。


 ステータスを呼び出して確認すると、レベルが上がっていた。




六槍大地

レベル:2(+1)

経験値:12/30

HP :24/24

MP :21/21

筋力 :8(+1)

耐久力:8

敏捷力:7(+1)

魔力 :7

●スキル

【アースヒール】

残りスキルポイント:1(+1)




 レベルが1から2に上がって、筋力と敏捷力が1ずつ上昇。

 あとスキルポイントが1ポイント増えている。


「次のスキル、どうするか。せっかく槍を買ったんだから【槍攻撃力アップ(+2)】を取ってもいいんだが……」


 少し迷ったあと、俺は【マッピング】のスキルを獲得した。

 それからステータスを呼び出すときと同じように、スキル名を口にする。


「【マッピング】」


 すると俺の視界に、ステータスボードを少し横に押しのけて、マップ画面が表示された。


 正方形の半透明のボードに、俺の現在位置と、これまで辿ってきた順路、それにダンジョンの入り口である魔法陣の位置が映し出されている。


 まだ歩いていない場所は表示がないが、それはこれから埋めていくべき部分だ。


「よし。このスキルは必須だよな」


 はっきり言って、今一番怖いのは、コボルドとの戦闘よりも「道に迷うこと」だ。

 何なら【アースヒール】より先にこっちを取っておいても良かったかもしれない。


 レベルが上がり、スキル獲得も終えた俺は、さらに先へと進んでいく。

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