第4話 初めての魔法


 僕がタイガ先輩と付き合うようになって、朝のラブレターの数は、少し減ったような気がする。


 でも、まだまだ下駄箱のラブレターの数は多かった。


「今日も多いじゃねーか?」


「先輩程じゃありませんよ?」


 タイガ先輩のラブレターは、僕の倍以上はあった。


 僕と付き合っているにも関わらず……タイガ先輩の人気は変わらなかったようだ。


 同性同士だからなのか分からないけど、この学校では、複数人と付き合うのが普通みたいで……特に男役が人気が高く、中には五人の女の子と付き合っている先輩なども普通にいた。


 僕や、タイガ先輩みたいな人は少数派で、二人以上と付き合う方が多数派になっていた。


 僕が女の子が好きだったら、本当に天国みたいな学園だった。


 僕は、男役の生徒は男だと思うようにした。


 特にタイガ先輩の事は好きなので、男として好きだと考えておかないと……僕が男の子になってしまう恐れがあるからだった。


 この体質?呪い?は、誰にもバレてはいけない。


 多分……僕が先輩とエッチしようとしたら……僕は男になってしまうだろう。


 今はまだ……そういう事になりたく無い。


 僕は、男として……男の子だった先輩が好きなんだから。


 先輩の夢に僕もついて行きたいから……。


 貰ったラブレターは、捨てるわけにもいかないので、全部持って帰っている。


 この手紙一通毎に、書いた子の思いが詰まっているのだから……。


 捨てられたりしたら、気の弱い子は何日も寝込んでしまうかも知れない程のデリケートさがあった。


 だから、一通一通丁寧に対応するのが日課になっていた。


「好きです!二人目でもいいので付き合って下さい!」


「二人目でいいって?ごめん……今は、二人目は考えてないんだ……君は可愛いし、ステキだと思うけど……ごめんね?」


「うううう……ラターシャ様ぁ!」


 抱きつかれても困るんだよ?


 僕は、男役の子が好きなんだから?


 ん?あれ?違うよ?


「ラターシャ?聞いてるか?」


「え?……あ、先輩何でしたっけ?」


「今日の放課後だが……迎えに来いよ?」


 先輩は、そう言うと……僕に顔を近づけて……いきなりキスして来た。


「んん……♡」


「じゃ!待ってるぜ♡」


「きゃああああああ!!キスですわ!!」


 教室の前でするなんて……大胆すぎるよ?先輩……。


 なんか……見せつけるようにしてない?


◇◇


 そして放課後、僕は言われた通り、先輩の教室に迎えに行った。


 学園の校舎は四階建てで四階には四年生と五年生の教室があって、三階に二年生と三年生の教室がある。


 僕の教室は二階なのでで、先輩がいる三階に行くために階段を登っていった。


 当然のように上の階にも、女の子しかいない。美少年はいっぱいいるけど……大抵の男役の美少年の周りには、取り巻きの女の子が二、三人付いていた。


 先輩や僕みたいに一人で歩くのは、逆に目立って仕方が無い。


 先輩がいる教室を覗くと……。


 先輩は机で寝ていた。


 って、起こしてくれって意味だったのか!?


 まぁ……いいけど。


「失礼します……」


「あら……貴方は一年の?」


 教室に入ると、綺麗な女の人に声をかけられた。


「はい!一年のラターシャ・シグレイドです!」


「ああ……タイガ様のお気に入りって貴方ね?」


「はぁ……」


「うふふ……今朝も教室の前で熱いキスをしていたって噂になってるわよ?」


「ええええ!?」


 ここまで噂が広まっているの?恥ずかしい!!


「私ともしてみない?……キ・ス♡」


「け、結構です!」


「ええ?いいじゃ無い?減るものじゃ無いし?」


「そこまでにしてくれるか?ユカリエ」


 僕がオロオロしていると、タイガ先輩が目を覚まして僕を庇ってくれた。


「ラターシャが減ってしまう。それに、ラターシャは、僕の物だ」


「先輩はそう言うと、僕を胸に抱きしめてくれた……」


 先輩のおっぱいは、結構大きい。


 男装してても、その大きな胸は隠せない。


 ダメ……これ以上は……僕が耐えられない。

 下半身が男の子になる気配がしたので、僕は先輩から離れた。


「もう、先輩?迎えに来ましたよ?」


「悪いな?どうやら……僕は寝てしまったようだ」


 先輩は、僕の前でだけ夕人先輩になってくれるんだ。


 今は、夕人先輩はタイガ・エルドランを演じている。……僕にはそう見えた。


「行きましょう?」


「ああ!今日も、いっぱいしごいてやる!」


 ああ、しごいて下さい!先輩♡

 おちん○んは付いて無いけど♡


「僕より先に行くなよ?」


 イきませんよ!?


「ダンジョンは、まだ危険だ……俺の後をついて来い」


 あ、そっち?


「はい……」


 先輩は夕人先輩に切り替わって、僕は昨日の秘密の特訓場へと連れて行かれた。


 地下訓練場へ到着すると、先輩は立ち止まった。


「そろそろ、お前の魔力も大分増えたはずだ」


「そうでしょうか?」


「そうだな……まずは簡単な魔法から教えよう」


◇◇


 先輩が教えてくれた事を簡単にまとめると、魔力というのは魔物を倒す度に少しずつ増えて行き、レベルアップを体感すると魔力の吸収上限が上がるらしい。


 魔力はゲームのように寝ただけでは回復しないものらしい。


 そうだよね?寝て回復する方がおかしいんだ。


 体内で生成しないなら尚更、食べたり、吸収しなければ増えることは無いんだとか。


 僕は、生活魔法と呼ばれている初級魔法を教えて貰った。


 なんでも、初級魔法なので魔力消費量が極端に少ないんだとか……試したのかな?


 生活魔法は、火をつけるくらいのライターのようなもの、手を洗えるくらいの水魔法、うちわを扇ぐような風魔法、畑を耕すのに使える土魔法だった。


 うん、確かに生活するのには便利そうだよ?


 夏は扇風機の代わりになるし?


 水は生きて行くのに必要だし?


 料理するのに火は必要だ。


 畑仕事に力を使わなくてもいいし?


 でも、戦闘には使えないものばかりだった。


「まぁ……初歩の魔法だ。慣れるまでは初歩の魔法を繰り返し練習するんだな」


「分かりました……先輩!」


「よし!ダンジョン潜るぞ!」


「はい!」


 そして、この日もダンジョンに潜り、レベルアップと魔力の吸収による魔力補給に精を出すことになった。


 精○は出ないよ?女の子だからね……。









読者様へ


ここまでお読みいただきありがとうございます。


これは、男の子が好きな男の子が女の子に転生して、女の子しかいない世界で男役として頑張る物語です。……まだ謎は多いですが?


続きが気になると感じて下さいましたら、

☆♡にてコメント、応援よろしくお願いします。

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転生リセマラで女の子に転生した僕、男の子が好きなのに、女の子しかいない世界で女の子にモテても困るんだけど? 蒼真 咲 @soumasaki

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