パルグロンデ•スライム、ッス……。
——クェローム、トゥルーム、モールの三神は、木の魔素を凝縮させ
そこで三神は、自分たちのからだで世界を創ることにした——。
「なるほどッス! つまり空がクェロームで、大地がトゥルーム、海がモールッスね!」
「うーん。近いんだけど少し違う、かねえ?」
違う? どう違うのだろうか。というか、少し気になる部分があった。
「もしかして、そのうまれた生き物って、スライム、ッスか?」
「おお、よくわかったねえ。その通りだよ。その名も原初のスライム『イーモヌトゥ•スライム』さ」
うげ、やっぱり。
誓っても良いが、アタシは生き物の見た目には
でも、スライムだけは、本当に駄目なのだ。
とくに「パルグロンデ•スライム」なんて、まるで狂気。
複数のスライムが集まり
そしてそれらが普通のスライムのようにうごめいているのだ。想像しただけで鳥肌が止まらない。
うん。もう想像するのはよそう。
「そ、それで、神サマたちはどうやって世界を創ったッスか?」
「そうだねえ。
「え!?」
——三神はそれぞれ、自分たちのからだを細かく、分裂させた。それらは天空の精霊、大地の精霊、海洋の精霊となる。
天空の精霊は天空の魔素と光を生み出し。
大地の精霊は大地と火と雷の魔素。
海洋の精霊は天空と大地、そして水と木の魔素を生む。
一度拡散した精霊たちはもともとクェローム、トゥルーム、モールであるため、それぞれを愛し、また集まり、沢山のグループを作った。
それらのグループが更に集まり、物質が生まれ、空と大地と海が生まれる。
そして、世界が生まれた——。
「や、ややこしいッス」
「あはは。要するに、だねえ。一度分かれた神サマたちがまた集まって世界ができた。つまりこの世界は、一つの大きなパルグロンデ•スライム、ってことさ」
「……そういえば、前々から疑問だったんスけど、海洋の精霊がいて、『海洋の魔素』がないのはどうしてッスか?」
「ああそれは、モールが、クェロームとトゥルームの交わりで、産まれたからさ。イネスちゃんやオヤカタさんも、お父さんとお母さんのはんぶんこ。それと似たようなもんさね。ま、しょせんは大昔の神話、話半分に聞いてくれれば良いわさ」
「むむう。でも、信憑性あるッス。きっと海洋の精霊の『海洋』って呼び方も、その神話が広まってできたって考えれば
「まあアタシたちエルフは長生きだからねえ。大昔に広まったって説は、たしかにあるかもね?」
「でも、まだ
「良いよ。なんでもお訊き?」
「こんなお話があるのに、なんでエルフは『混血を嫌う』ッスか?」
言ってみればこの神話、神サマや精霊が「混ざりあって」沢山のモノが産まれたお話だ。近親相姦の部分で純血にこだわるような種族が、なぜ混じり合う部分を軽視しているのだろう。
アタシはとくに憤ったわけでもなく、ただ純粋な疑問を口にする。
「そう、さね。ここからは歩きながら話そうか? あとは道に沿って帰るだけだから、つまずいて転ぶようなこともないだろうしさ」
セリーヌさんは、ぱんぱんっとお尻を払い、立ち上がった。
「そうッスね。ちょっと汗も、冷えてきたッスから」
ちょっと歩いて道に合流したアタシたちは、また会話を、再開した。
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