第15話 自作アイテム

 ナイフを使ってゴブリンの死体から素材を切り出す。解体の途中、血が服にべっとりとして生臭い匂いが服に染み付いてしまう。


 最初はオエオエと吐きかけてたが、もう後半らへんは無心で作業していた。


「んー、これぐらいかな」


 ゴブリンを未熟ながら解体し終え、手に入れた素材をポーチに突っ込む。


『ゴブリンの核

ランクF 品質D

ゴブリンの魔力が結晶化してできた核。魔法を使用する際のアシストに使用したり、魔道具の材料に利用できる』


『ゴブリンの大骨

ランクF 品質C

ゴブリンの骨。かなり頑丈で叩くと独特な音を出す』


『ゴブリンの肉

ランクF 品質F

ゴブリンの肉。味は酷く生臭く、食べるに値しない。だが、変食家の貴族に売れるかもしれない』


 これらをそれぞれ3つずつ手に入れた。


「んー、臭いな」


 自分の服の匂いを嗅ぐとかなり臭ーいスメルがする。これでは衛生的、精神的に辛い。


「川を探すか」


 俺は川を探しに子鬼の森の奥へ進む。



……



「グキャ!」


「甘い!」


 俺は体制が整っていない斧を持つゴブリンの首に向けて剣を放つ。剣はゴブリンの剣を正確に捉え、骨を切断して首を空中に舞わせる。


 首をなくした胴体はおびただしい程の血を垂れ流しながら横たわる。


『剣術レベルアップ!2→3』

『レベルアップ!1→2』


 頭の中でアナウンスが響く。どうやらレベルアップを果たしたようなので確認してみる。


『名前 カジ

種族 獣人(きつね)

レベル2


能力値

HP 12『UP↑2』

MP 10

力 4(+2/+1)=6/5 

防御 3

器用さ 4(+1/+2)=5/6 

速さ 7 『UP↑1』

魔力 3


スキル

罠生成 2

罠設置 1

剣術 3

弓術 2

鑑定 1


アーツ

なし


装備

胴 ボロいシャツ

脚 ボロいズボン

腰 ポーチ

足 靴

武器 ソード/弓』


 順調に育ったようだ。これからどんどん敵を倒してレベルを上げていこう。


 解体とステータス確認を終え、森を歩くと、光が通るひらけた場所に着く。


「おお、川だ」


 その場所には透明な水の流れている川があり、休憩できそうだ。


 川の近くに座り込み、体を衣類を洗う。それと歩いて喉がカラカラになっていたので、川の水を直接飲む。


「ぷはぁ、生き返る」


 川の水は冷たく、綺麗で飲み込むと乾いた喉をしっかりと癒してくれる。あまりに美味しいので水筒にこの川の水を入れておく。


 休憩を終え、俺は自作のアイテムを作ってみることにする。俺は今のところかなりの金欠であり、あまりアイテムにはお金を出せないからだ。


 ポーチから採取したものを並べ、自分の感覚にピンときたものを2つ選ぶ。


『ホットの実

ランク2 品質D

食べると舌が焼けるほどの辛さを感じる赤い実。中に粉状の辛味成分が凝縮した物が詰まってる。料理のアクセントに使われることがある。』


『丸まり草

ランク2 品質E

葉がくるくると丸まっている草。だが、ある程度の衝撃を加えるとくるくると丸まっている葉が開く性質を持つ。』


 これらを使ってアイテムを作ってみよう。完成形としては投擲武器的なのにしてみたい。


 俺はナイフを使ってホットの身を割ろうとする。だが、かぼちゃのように硬く思ったより歯が通らない。


「ふーぐぐぐ」


 自分の頼りない力を存分に込めてようやく割ることに成功する。割った中身からは赤く、細かい砂みたいな粒が入っていた。試しに1口舐めてみる。舐めるとほのかに甘い。説明と違うなと思った時、味覚に変化が現れる。


「うううう!?」


 甘いと感じた味が徐々に辛さに変わってきたのだ。段々と辛味を増していき、俺は自分の舌と喉が焼けるのを感じた。


 急いで川に口をつけ、バキュームのように水を飲むとどうにか辛味は引いていく。唇は腫れてしまったが……。


 だが、これがかなり有効だということが分かった。これを相手の目に当てれば、相手は悶絶不可避だろう。


 気をとりなおして、俺はホットの身の粉を丸まり草のくるまっているところに詰める。これがこぼれないよう他の丸まり草で縛って完成だ。


『辛玉

ランク3 品質D

辛味成分の詰まったホットの身の粉を丸まり草で包んだもの。対象にぶつかると丸まり草が開いて中の粉が周囲にばら撒かれる危険な代物』


 中々なものができた。これでいざとなれば安心だろう。


 作り終えた後、後ろから草が揺れる音が聞こえ、俺は後ろを振り返る。すると巨大な生物が存在していた。巨大な生物とは血に塗れたクマだ。体長は俺よりはるかに大きく、顔や爪には返り血がべっとりとついている。そんなクマが俺を凝視して大きく吠えた。


「ガアアアア!」


「やばっ!?」


 クマは俺に向かって突進してきた。

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