第2話
わたしはうs「助けて!」
わたs「おばさんってば! 助けてよ!」
わt「“お姉さん”!! 」
こほん。わたしはうさぎ。
今はねずみさんとふかふかしているの。
わたしのまふまふにつつまれて、ねずみのぼうやはもうぐっすりよ。
よほどおなかもすいてたみたいね。
わたがしもぱんも、むせるほどお口につめこんでたわ。
とったりなんかしないんだから、今はただ“お姉さん”と、ゆっくり休んでちょうだいな。
「お姉さんさっきはありがとう。おかげで久々に眠れたよ 」
「きゅ」
「これもすっごく美味しいね!甘くてふわっふわ! 」
「きゅっ。──きゅきゅ? 」
「うん……そう。追われてたんだ、猫に。
きょうだいも最初はたくさんいたんだけど、今はもうみんなバラバラ。
昨日集合場所に戻ったのも僕だけだったし、あんまり考えたくはないけど、おそらくみんな……。
……どっかで元気にしてればいいんだけどね!」
「きゅー。 きゅーぅ?」
「いないよ。パパとママも死んじゃった。
パパは僕が生まれてすぐの頃、猫に食べられて。
ママも、僕らを守ろうと猫とたたかって、ヘトヘトなところを車にひかれちゃった。
兄ちゃんが言うにパパの時とはちがう猫だったみたいだけど、あの猫さえいなければママだって……。ぐずっ、ごめんなさい。もうお話はやめるね」
猫。 ひょっとしてチャックさんかしら。
今までのはただの夢じゃない?
チャックさんは本当に生きてる猫ってこと?
今もこの近くに?
……だめだめ。気になるけど、この子には聞けないわ。
わたしはうさぎ。まふまふは癒しの力、母の愛でもあるの。
「きゅ」
「うう……!姉さんっ! 」
いいこいいこ。もっと近くにおいでなさい。
ぼうやもわたしの、かわいいこども。
あっ──
「ほれ、もう大丈夫だぞ。ネズミはいなくなったからな。よ~しよし」
そうだった。
わたしはうさぎ。おうちのうさぎ。
ヒトと暮らしているの。
ヒトに頭をナデナデしてもらうのも大好き。
でも“なわばりいしき”は強いから、ふだんはいちわでいいの。
──ええ、いちわで。
「どうした? 今日はやけに甘えてくるじゃないか。余程あのネズミが怖かったんだな。
だいじょうぶ、だいじょうぶ。よ~しよし」
なでられちゃうと、もうウトウト。
わたしはうさぎだもの。
お願いしなくても守ってもらえる可愛いお花。
さみしいと死んじゃうなんてのは嘘。
“いちわ”でいいの。“いち”だけでいいの。
もふもふのまっふまふ。
わたしだけのいやしのゆりかご。
ふぁ~あ。あたたかい。
カサカサカサカサ
ゆらゆらゆら
「「わーい!また新鮮なネズミだぁ~!
いっただっきまーす!!」」
──ムシャ
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