打ち合わせの後

 オレの男好き騒動も落ち着いてきた。

 

 そして順調に仕事が進む。

 

 本日も打ち合わせ。

 やっぱりサキさんの作品は、どれも素晴ら

 しい。

 

 打ち合わせ中二人きりになる時間があった。

 

 すると、

「紀田くん、今度ゆっくりお話しできないか

 な?」

 と美崎さんからまさかのお誘いを受けた。

 

 マジか⁉︎

 オレは美崎さんが既婚者だと思っていたか

 ら遠慮していたのだけれど、向こうからお

 誘いしてきたのだからここは、遠慮なくお

 受けしてもいいだろ。

 

「うん。いいよ。なら次の打ち合わせの後な

 んてどうかな?」

 と言うと、

「わかった。ありがとう」

 と美崎さんは、ニッコリ微笑んだ。

 

 相変わらずかわいいんだよなー。

 ってか、ひと様の奥さんだぞ。

 

 何を考えているんだ。

 オレは…。

 

 それから次の打ち合わせまでオレはソワソ

 ワしていた。

 

 久しぶりの美崎さんだぞ?

 ってか、二人きりとか何年振りだろうな。

 

 あ、昔美崎さんから借りた本映画になった

 んだよな。

 懐かしい話しで盛り上がりそうだな。

 

 そして打ち合わせ当日。

 

 順調に仕事が進んだ。

 そしていつもよりも少し早く打ち合わせ終

 了。

 

「サキさん、このまま直行で大丈夫?」

「うん!大丈夫。」

「なら、ロビーで待っててくれる?」

「わかった」

 

 オレたちは、仕事終わりに待ち合わせた。

 

 急いでロビーに向かうと美しいシルエット

 のサキさんがいた。

 

「あ、お待たせ。み…じゃなくてサキさん」

 クスクス

「二人きりの時は美崎でいいよ。そっちの方

 が呼び慣れてるものんね」

 にこやかに美崎さんが言った。

「なら、お言葉に甘えて」

「うん」

 

 ということで二人で近くのレストランに向

 かった。

 

 一応予約をしてみた。

 

 …女性と二人きりでご飯とかなんか恥ずか

 しいな。

 

 でも、美崎さんはあまり緊張していないみ

 たいだ。

 

「ねー、紀田くん」

「ん?」

「この間、社内メールの一斉送信あれってや

 っぱり昔言ってた高嶺の花の人をまだ好き

 だったりするのかな?」

 と聞いてきた。

「あー…」

「ごめん。別に言いたくなかったら大丈夫だ

 から。」

「うん。まぁ、うーん。オレも今はよくわか

 んないんだ」

 と笑った。

 すると美崎さんが、

「そっかー」

 と言いながらドリンクを飲んだ。

 

「美崎さんは、結婚されたんだよね」

「えっ⁈してない、してない」

 と手と首をブンブン振った。

 

「え⁉︎結婚してないの⁉︎」

「…うん。お恥ずかしい」

「イヤイヤ、そんな…ってかそっかー」

「でもさ、なんで結婚したと思ったの?わた

 し指輪してないのに」

「あー、なんかこの間初めて同窓会に行った

 んだけど、そこで噂聞いたからさ」

「なるほどねー。噂ってすごいよねー」

「んー、だな」

 

 あっ、待てよ。

 

 て事は…

 美崎さん結婚してないんだ。

 じゃあ、海外に旦那さんもお子さんもいな

 いって事じゃん‼︎

 

 それからオレたちは、食事しながら昔の話

 にはなを咲かせて楽しく過ごした。

 

 

 そして夜道を二人で歩いた。

 

 懐かしい。

 二人で歩くなんて。

 

「美崎さん」

「ン?」

「卒業まで一緒に帰れなくてあの時は、ごめ

 ん」

 

 やっと直接謝ることができた。

 

「ううん。紀田くんは、ほんとに優しいよね。

 あの後お友達にお願いしてわたしのことき

 ちんと見守ってくれてたんだもん。わたし

 こそありがとう」

 と逆にお礼を言われてしまった。

 

 ところで美崎さんは、オレと食事してもう

 帰るところだけどなんか話あったんじゃな

 いのかな?

 

 普通の話しかしてないけど大丈夫かな⁈

 

 

 続く。

 

 

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