みんなの優しさ
とりあえずオレは体験見学させてもらうこ
とにした。
ドドーン!
練習が行われているという場所は…
それはそれは大きなビルだった。
このビルに会社も練習場もあるらしい。
と、とりあえず二三階を目指しエレベータ
ーを待った。
そしてエレベーターが一階で止まった。
ウイィーン
ドアが開くと同時に…
⁉︎ ⁉︎ ⁉︎
こ、このお方は人気アイドルニャンニャン
サラサラピンク姫サマ⁉︎
オレはオタクだ。
しかし‼︎
このお方はオタクじゃなくてもみんなが知
ってる人気アイドルだ‼︎
そ、そうか。
ここの事務所のお方なんだ。
少し前ならもうパニックだった…。
なんなら空想の世界では彼女の一人だった。
でも…
今はオタクはオタクでも少し違う。
そう。オレの心の中には、バーチャルじゃ
ないリアルな好きな人がいるから。
でもやっぱりアイドルは、かわいいしオー
ラがすごいなと思うのでありました。
そして二三階に到着。
…ドキドキ。
あー、なんか変な汗出てきたんですけどー。
よし‼︎
思い切ってドアをノックして中にお邪魔さ
せていただいた。
すると、
「おー‼︎ついに現れたー‼︎」
とグループの方々がオレのところに集まっ
てきた。
「動画みたよー。すごいねぇ、あとであの技
披露してくんないかなぁ。マジカッケーよ
なー」
とみんなこんなオレに群がってくれた。
…なんかみんないい人っぽいな。
ってか、普通の人間なんだなって思ってほ
っとした。
それから稽古が始まるからって事でオレは
見学させていただいた。
おぉー。
すげー‼︎
何かのドキュメンタリーを見ているかのよ
うだ。
リズム感がやっぱりすごいなー。
カッケー‼︎
そしてガッツリ稽古を見終わったあとダン
ス講師の先生がワレもいらっしゃいと手招
きしてきた。
…ワレって。
そしてワレも試しに踊ってみなと言われた
ので一緒に混じって踊らせていただいた。
とても光栄だ。
じっくり見させてもらったから脳内では完
璧なんだけどちゃんと動けるかな…。
でも、こんな事そうそうないのだ。
ありがたく踊らせていただいた。
曲が始まりとにかくさっきみたとおりに一
生懸命踊らせていただいた。
はぁ、はぁ。
曲が終わると講師の先生は、ワレのみこみ
早いねー‼︎才能あるよー。
とお褒めの言葉をいただいた。
そしてメンバーの皆さんが拍手を送ってく
れた。
ウワー…
すげー鳥肌ー。
みんなすげーいい人なんだけどー‼︎
しかもみんなと振り付けが揃うのがなんと
も心地いい!
最高っす‼︎
ということで毎週通わせてもらうことにな
った。
オタク友達には、オファーの話をした。
あと、アイドルに合ったこともはなした。
するとみんな目をキラキラ輝かせながら、
真剣に聞いてくれた。
しかもアイドルと至近距離で遭遇したとの
事でみんながオレの周りの空気を存分に吸
った。
…もう何日も経ってるんっすけど。
って言ったのにそんなのは気にしないと、
全くオレの話を聞いていない友だちたちだ
った。
それと毎日一緒に下校してる美崎さんにも
話した。
そしたら
「えっ、すごいじゃん‼︎」
と言ってくれた。
美崎さんは、メンバーの誰が好きってわけ
じゃないけど、そのグループが大好きなん
だそうだ。
みんな最初は、驚いていたけど応援してく
れている。
そして、特に口止めしたわけじゃないけど
みんなは、言いふらしたりしないでいてく
れた。
友達ってほんとありがたい。
でも、前に社長が学校に来たのを誰かが目
撃していて、オレがデビューするとの噂は、
ちらほら出て来ていたのである。
下校途中美崎さんは言った。
「紀田くんが、どんどん遠くに行っちゃうな
ー。」
って。
み、美崎さん…。
そんなこと言われたらいくらオレでも少し
期待しちゃうじゃないか。
オレがいないと寂しいって言われてるみた
いじゃないか…。
まぁ、そんなわけないのはわかってる…。
でも‼︎
オレは卒業と同時にあることからも卒業し
ようと思っている。
ま、まだまだ卒業じゃないけどな。
続く。
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