学生最後のヲタ芸

 そしてついにヲタ芸披露の文化祭がやって

 きた。

 

 去年に増してなんか…

 なんか…

 

 そして朝イチ学校の門をくぐった瞬間

 

「あっ、先輩!ヲタ芸楽しみにしてます‼︎わ

 たし先輩推しです‼︎ほらっ」

 と、見せられたうちわには…

 あ…壮太ラブってかいてある…。

 

「あぁ、ありがとう」

 と一応返事をしておいた。

 

 そしてちょっとトイレに行こうもんなら数

 分に一度誰かに捕まりヲタ芸の話を振られ

 る。

 

 …そこまで期待されるとなんかプレッシャ

 ーなんっすけど。

 

 まだ登校して間もないというのに…

 

 はぁ。

 

 まだ朝の八時半だぞ。

 なぜそんなにみんな朝から元気なんだよ…

 

 天気がいいからか?

 爽やかな青空だから心も清らかに清々しい

 のか?

 

 よくわからないけどそう考えると外の空気

 が吸いたくなった。

 

 さっき教室に入ったばっかりだったけど、

 また外に出た。

 

 人混みの少ない場所で足を広げて手を大き

 く広げた。

 スーハー、スーハー

 オレは息を吸ったりはいたりして深呼吸し

 た。

 

 あぁ、爽やかだ。

 

「おっ、どうした⁉︎緊張してんのか⁉︎まだ朝

 だぞ!いまからそんなんで大丈夫か⁉︎しっ

 かりしろよ」

 バシッ

 

 先生がオレの背中を軽く叩いて喝を入れて

 くれた?…らしい。

 

 …別に緊張してたわけじゃないっすけど…

 と言いたかったがまぁ、面倒だったので

「うっす」

 とだけ返した。

 

 そしていよいよヲタ芸を披露する時間が近

 づいてきた。

 よし、そろそろ準備するか…。

 

 みんなで黒の衣装に着替えて準備していた

 ら女子たちが写真お願いしますとお願いし

 てきた。

 

 ヲタ芸をモテ目的で入ったやつもたくさん

 いる。

 ってか、新規で入った人はほとんどそれが

 目的だった。

 

 なので

「「「おぉおぉー‼︎撮ろうぜー‼︎」」」

 とみんなテンションが上がった。

 

 そしてヤル気マックスでみんなヲタ芸を披

 露した。

 

 ヲタ芸中盤あたりでオレは美少女美崎さん

 に向けてとあるメッセージを送った。

 美崎さんにもそんなことは、伝えていない。

 

 

 どうせだれも気づくわけもない。

 それに成功するとも限らないただの自己満

 なパフォーマンスを披露した。

 

 

 すると一気に見ている人たちの歓声。

 あ、成功した?

 ってか、みんな気づいたんだ…

 こんなに大騒ぎになるとは思わなかったん

 だけどな…。

 

 オレが一体何を披露したかというと、口に

 ライトをくわえて二回連続宙返りをしたの

 だ。

 

 すると、うまくいけばライトの光がハート

 に見えるという仕組みだ。

 

 家で練習した時は、数回に一度成功すると

 いう状態だった。

 

 でも、この歓声からすると成功したに違い

 ない。

 

 放課後美崎さんに、

「すごかったよ!めちゃくちゃかっこよかっ

 た‼︎」

 なんて褒めてもらえた。

 

 あと、あのハートすごいねと。

 

 あー、美崎さんにこんな褒めてもらえる日

 が来るなんてなー。

 

 幸せだ。

 

 あのハートは、美崎さんのためにやった事

 だったけど、それはオレだけの胸にそっと

 しまっておくことにした。

 

 オレたちが付き合ってると思ってる人たち

 は、オレが美崎さんにメッセージしたもの

 だと思い込んでいた。

 

 ま、間違いじゃないけど…。

 

 

 美崎さんの防犯上オレたちは、三年生にな

 ってからも一緒に下校していた。

 

 そして、数日後…

 

 また、動画がバズった。

 

 …うん。

 この動画のおかげでオレも無事ハートを確

 認することができた。

 

 ってか、一昨年も去年のも階段駆け登るの

 も数字伸びてんな…

 

 でも、抜群にバズってるのは最近のやつだ

 った。

 

 …すげーな。

 

 ま、だからどうしたってことだが…

 どうもない。

 と思ってたオレ。

 

 しかしまさかのことがこれから起きようと

 していたのだった。

 

 

 オレは先生に昼休み相談室に来るよう呼ば

 れた。

 

 …えっ⁉︎

 相談室…。

 

 オレなんかしちまったのか⁉︎

 どうしよう…

 何したんだよ⁉︎

 オレー⁉︎

 

 とにかくわけもわからないまま相談室に向

 かった。

 

 ドキドキ…

 

 相談室のドアに手を掛けた。

 …よし。

 いざ‼︎

 

 コンコン。

「失礼します」

 

 ドアを開けるとそこに座っていたのは…

 

 

 えっ⁉︎

 

 続く。

 

 

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る