オレの気持ち

 美少女と一緒に下校中。

 

 今日も他校の女子生徒がオレ目当てで門の

 前に数名立っていた。

 

 でもオレには強い味方がいるから大丈夫。

 

 ありがとうと心の中で美崎さんにお礼を言

 った。

 

 しかし美崎さんは、その状況を快く思って

 いなかったようだ。

 

「あのさ、紀田くん」

「ん?なに?」

「あの、なんかわたし紀田くんに迷惑ばっか

 りかけてていつもごめん」

 なんて言った。

 

 …今にも泣き出しそうな表情の美少女。  

「えっ、迷惑なんて思ってないよ。それにオ

 レは、こんなオタクなのにいつも美崎さん

 によくしてもらってありがたいと思ってる

 んだ。だからそんな顔しないでよ」

 

「でもさ…ただでさえ毎日送ってもらってる

 のに、この前なんか死んじゃうかもしれな

 かったのにそれなのにわたしの家族守って

 くれて…今も、たくさんの女性が紀田くん

 に会いにきてくれてるのにわたしがすべて

 邪魔して…すごく申し訳なくて…」

 

「それなら大丈夫。オレ人助け好きだし、そ

 れに誰とも付き合う気ないんだ。」

「えっ」

「あのね、オレ好きな人がいてその人はオレ

 にとっては高嶺の花なんだけど、いつも気

 さくで素敵な人でね。だからオレはその人

 を大切にしたいんだ。その人のそばにいて

 笑顔を見ていたい。そんな感じだから気に

 しないで。」

 と言った。

「…そっか。その女の人紀田くんにそこまで

 思われて幸せだなー」

 って空を見上げた。

 

 うん。その女の人は、君だよ。

 とオレは心の中でつぶやいた。

 

 でも、そんな事言って美崎さんを困らせた

 くない。

 あと、この関係が終わってしまうのがオレ

 は、怖かった。

 

 

 そしてオレがこうしている間にもヲタ芸と

 津波の動画は、数字を伸ばし続けていたの

 である。

 

 

 オレはオタク友達とよく集まって好きなキ

 ャラクターの話で盛り上がる。

 

 仲のいい友達には、美少女との非交際を打

 ち明けている。

 美崎さんにももちろん了承いただいている。

 

 

 みんなでワイワイしていたら友達の一人が、

「紀田は、有名人になってもオレたちを見捨

 てないでこうやってオタク同好会に参加し

 てくれるんだからほんといいやつだな」

 なんて言い出した。

 

「はぁ?あったりめーだろ」

 と、オレは笑った。

 

 みんなもいい顔をしていた。

 

 有名人になったからって友達を捨てるわけ

 がない。

 むしろみんなの方がオレを見捨てないでい

 てくれてありがたい事だ。

 と、オレは心から感謝している。

 

「あーあー。進路決まってないのオレだけな

 んだよなー。」

 オレはボソッと呟いた。

「ならダンサーになればいいじゃん」

「へっ?」

「あぁ、いいねー。」

「うんうん。そしたらオレ応援するよ」

「「「「「オレもー」」」」」

 

 みんなが応援してくれた。

 

「ないない」

 なんて言ってみんなで笑いあった。

 

 そしてあっという間に三年生になった。

 

 …今年もヲタ芸やんなきゃダメかなー…

 

 …うん。やっぱり空気的にやらなきゃダメ

 な感じだった。

 

 

 ということで一年生の時にやったヲタ芸と

 は少し違いだいぶ人数も増えてのヲタ芸練

 習を開始することとなった。

 

 今年最後という事で三年生は、気合い充分

 だった。

 

 よし‼︎オレも頑張ろっと!

 

 オレはヲタ芸のとき、一人で少しだけ披露

 するところがある。

 

 そこで少し自己流にあることをやることに

 した。

 

 誰にも気付かれないようにそして美崎さん

 にも気付かれないように、ただの自己満だ

 けど…やりたいことがあった。

 

 ま、大したことじゃないのだけれど。

 

 そしてヲタ芸披露までみんなで練習を頑張

 った。

 

 一応オレたちは、三年生だから立ち位置や

 さまざまなことを下級生に教えた。

 

 今年で最後だ。

 

 美崎さんは、

「頑張ってね!今年も応援するからね」

 と、天使の笑顔をこんなオレに向けてくれ

 た。

 

 結局美崎さんは、毎年みててくれるんだな

 ぁ。

 ありがてー。

 とオレは心から感謝した。

 

 美崎さんがいてくれたおかげでオレは楽し

 い高校生活が過ごせた。

 

 

 一年生の時は、美崎さんが金髪彼氏と付き

 合ってると勘違いしてヤケクソにヲタ芸を

 披露したっけ。

 

 そして二年生では、どうせ美崎さんが見て

 くれているわけないと思いながらヲタ芸を

 披露したっけ。

 

 オレの頭ん中は、いつも美崎さんがいるな

 って改めて思った。

 

 そして今年は…

 今年は、オレ美崎さんのためにヲタ芸を披

 露するよ。

 ま、それは美崎さんには、言わないけど…

 

 

 続く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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