美少女と下校

 オレはつい流れで美少女と一緒に帰ること

 になった。

 

 …いいのかな。

 オレで。

 

 とりあえず美少女が来るのを待った。

 オレが美少女を待つ日が来るなんて想像も

 しなかったな。

 

 ドキドキドキドキ。

 

「あっ、おまたせー」

 向こうから美少女が小走りでやってきた。

 

 あ〜、美少女よ。

 なぜそんなにもいつも輝いているんだ。

 

 オレの心は美少女の笑顔で満タンに満たさ

 れた。

 

 ほんとは、ドキドキだったけどなんとか冷

 静を装い下校開始。

 

 あっ‼︎

 しまった。

 

 オレはオタクだぞ。

 …何話せばいいんだよ。

 

 あー、散々時間があったのに全然話すこと

 考えてなかったー。

 

 終わった…。

 明日からもう一緒に帰らなくて大丈夫とか

 言われるんだろう。

 ってか、そもそもいまもイヤイヤ防犯のた

 めにオレと帰るのを我慢している可能性だ

 って大ありだ。

 

 …

「紀田くん」

「あ、なんでしょう⁉︎」

 緊張のあまり思わず敬語になってしまった。

 だってオレ初めて女子と下校するんだぜ。

 しかも、相手は美少女って。

 

 緊張しない方がおかしいだろ。

 

「えー、なんで敬語?」

 クスクス笑う美少女。

「あー、ごめん。なんか緊張して」

「えっ、緊張?」

「うん。」

「なんで?」

「なんでって、美崎さんと一緒に帰るなんて

 普通ありえないでしょ」

「そっか。ならよかった。実はわたしも緊張

 してたんだけど紀田くんも緊張してたんな

 ら一緒だね。」

 と微笑む美少女。

 

「えっ、美崎さんも緊張してたの?」

「うん。でも、少し話したらなんか慣れてき

 たかも」

「あー、オレも」

 

 二人で顔を見合わせて微笑んだ。

 

 なんて素晴らしい下校。

 

 今まで何百回って下校してきたけど、こん

 な素晴らしい下校は、初めてだ。

 

「ねー紀田くんのさ、そのバックについてる

 マスコットすごくかわいいね。なんのやつ

 なの?」

「あぁ、漫画のキャラクターなんだ。主人公

 がドジっ子キャラでいつもヘマばっかりし

 てるんだけどそこがまたかわいくてね。第

 一話目から最高なんだよ」

 …あ、いけね。

 ついオタク話をベラベラと…。

 

「へー、それわたしも読みたいなー」

「えっ、なら貸そうか?」

「うんっ!借りたい‼︎」

 ということで本を貸す約束をした。

 

 えっ、なんかオレすごくない⁈

 美少女と友達みたいじゃん。

 

 過去のオレに教えてあげたい。

 未来に最高な友達できるぞって。

 

 それからもくだらない話は続いた。

 

 ほぼオタク話だったのに美少女は、嫌な顔

 ひとつしないでニコニコ聞いてくれた。

 

「あ、美崎さん」

「ん?」

「あのー、あんまり家の前まで送られると嫌

 でしょ?オレオタクだし家教えるの嫌だろ

 うから近くまで送るね。だから近場になっ

 たら言ってね」

 というと、

「えっ、オタク関係なくない?それに別に紀

 田くんに家ばれても嫌じゃないよ。むしろ

 ここまで来てくれて感謝してる。」

 という美少女。

「えっ、感謝…。それは言い過ぎだけど無理

 しなくていいからね」

「うん。してない。ってか、うちここ」

 あ、家の前までオレ来てたのか…

「海近いんだね。」

「うん!二階からみると絶景だよ。今度見に

 来て」

「え、うん…」

 …え?

 美少女の部屋⁉︎

 それはやばいだろ…。

 そんな現実あるかよ⁉︎

 

「紀田くん。」

「あ、はい‼︎」

「クスッ。今日はほんとにありがとね。」

「ううん。オレこそ楽しかったよ」

「え、ほんと?嬉しい!なら明日も一緒に帰

 ってくれる?ってか、そんなの迷惑だよね。

 わがまま言ってごめん」

 

 えっ⁉︎

 オレ美少女にわがまま言われた⁉︎

 最高じゃん‼︎

 

「全然嫌じゃないよ‼︎明日も明後日もずっと

 送りたい」

 オレはまた口走った。

 

 ずっと送るなんてオレはキモいじゃないか。

 と思い反省してたら、

「えっ、ずっと?嬉しい」

 と、美少女が喜び笑顔をオレに向けてくれ

 た。

「え、嬉しいの?オレでいいのかな…」

「うん!紀田くんがいい。じゃあ約束ね。毎

 日一緒に帰ろうねっ」

 

 あー、今日何回美少女の笑顔いただいたよ。

 最高なんっすけどー。

 

 しかも美少女と約束してしまった。

 

 …くっ。

 幸せすぎんだろ。

 

「じゃあ、また明日」

「うん!ありがとう。また明日ねっ」

 

 はぁ。

 最っ高に幸せー‼︎

 

 って事で次の日も一緒に下校。

 

 家の前で昨日話してた本を渡した。

 

「えっ、重かったでしょ。ありがとう。やっ

 ぱり紀田くんは、優しいね」

 

 またまた美少女からの素敵な笑顔をいただ

 いてしまった。

 

 そしてオレは美少女の家を知り後々また、

 動画でバズることとなるのでありました。

 

 

 続く。

 

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る