眼鏡の男の子

 オレたちは、教室に戻ろうとしていた。

 

 すると下級生の眼鏡をかけた男の子がいき

 なりオレたちに向かって

「あのっ」

 と、声をかけてきた。

 二人してその男の子の方を振り向くと、

「実は僕、二人の秘密知っているんです」

 と言いながら眼鏡をクイっと直した。

 

 …え、まさか付き合ってないって知ってた

 りするのかな…?

 

 オレと美崎さんは、顔を見合わせた。

 

 …どうすっかなぁー。

 

「あの、何を知ってるの?」

 と質問したオレ。

 

 すると…

 

「あなた方おふたり実は…ほんとうは…」

 

「うん、ほんとうは?」

 

「一年生の頃から付き合っていますよね」

 なんて言い出した。

 

 あー、なんかホッとしたわー。

 

「うーん、どうだろ。想像にお任せするよ。

 でも、なんでそう思ったの?」

 男の子に聞いてみると、

「実は僕の姉上は、三村という名前でして」

「えっ、もしかして三村さんの弟くん?」

 美崎さんの言葉に男の子は、

「いかにもです!鋭いですね」

 と言いながら眼鏡をクイっと直した男の子。

 

「集合写真を姉上に見せていただいたとき、

 僕はピンときたのです。この二人付き合っ

 てるなと。で、姉上に聞いたら付き合って

 るかわからないけど、よく二人で話してる

 な。と言われたのです。だから‼︎あなた方

 一年生の頃からずーっと交際している‼︎」

 

 名探偵並みの発言。

 

「うーん、まぁ、自由に想像して構わないよ。

 じゃ、チャイム鳴るから行くね」

 

 男の子は、眼鏡をクイっと直したあと教室

 に戻って行った。

 

 ふぅ。

 

「なんかびっくりしたね。付き合ってないっ

 て言われるかと思ったね」

「うん。ってかなんで三村さんの弟は、わた

 したちが付き合ってるって思ったんだろう

 ね」

「あー、たしかに」

 

 …三村くん恐るべし。

 

 不思議な三村くんだったので一度見ただけ

 でもう顔を覚えてしまった。

 

 あ、三村くんだ。

 

 オレは数日後三村くんに学校であった。

 

「三村くん」

「あ、これはこれはヲタ芸の大先輩紀田先輩

 じゃありませんか。」

 …呼び名長っ。

 

「この間は、どうも」

「あ、どうもです」

「あのさ、この前気になったんだけど、オレ

 たちがどうして付き合ってると思ったのか

 な?」

 一応聞いてみた。

 すると、

「もちろん勘です。あと、ただ単に美男美女

 だから惹かれあう可能性が高いと思ったま

 でです。」

 と言ってくれた三村くん。

「おー、そうか。三村くんいいやつだなー」

「えっ、いいやつなんて光栄です」

 と三村くんは、喜んだ。

 

 しかしもっと喜んだのは、もちろんオレだ。

 

 …たしかに背も高いし髪もサラサラだった

 けど、とにかくオタク愛が強くて今まで女

 子に相手にされてなかったオレだけど…

 

 そもそもバックにかわいいマスコット付け

 たりしてるし。

 やばいやつって思われてたはず。

 

 …うーん。

 わからない。

 というか、背もだいぶ伸びたしルックスも

 いいってよく言われるようになったよな…

 

 モテる前は、マスコットをつけていてきも

 がられていた。

 女子の表情で伝わってきた。

 

 でも、モテ出してから急にそのマスコット

 かわいいね。

 なんてわざとらしく言ってきた女子とか多

 かったな。

 

 でも、あの美少女美崎さんだけは…

 美崎さんだけは、オレが開花する前から自

 然にキモがらないで接してくれてたな。

 

 …あ、美崎さん。

 

「紀田くん、三村さんがこの間は弟がお世話

 になりましたって言ってたよ」

 と、ニッコリ話しかけてきた。

「あー、お世話ってわけじゃないけどね」

「ふふっ。」

 …

「ねー、美崎さん」

「ん?」

「オレさ、オタクじゃん。キモいとか思わな

 かった?」

「ううん。全然。むしろ兄とかもかわいいマ

 スコットとかみるとかわいいって言ってる

 し。まぁ、昔よくわたしとお人形遊びして

 くれてた影響だと思うんだけどね」

「あー、お兄さんと仲良さげだもんね。一緒

 に帰ったり」

「あ、あれはわたしが強引にね…」

「えっ…強引…」

「うん。ま、誰かにつけられた時だけお願い

 してるんだけどね」

「つけられる⁉︎」

「うん…どうしても怖い時は、兄にお願いす

 るの」

「ちょっとまってよ!危ないじゃん‼︎なら毎

 日オレ送るよ‼︎」

 

 …オレは勢い余ってついすごいことを言っ

 てしまったような気が…。

 

「え、いいの?」

「う、うん。もちろんだよ」

 

 と、言う事で今日から一緒に帰ることにな

 ったのであります。

 

 続く。

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