ヲタ芸で…

 今年の文化祭もやっぱり出なきゃならない

 オレ…。

 

 ま、出るからには全力でやらせてもらう‼︎

 ヲタ芸好きだし。

 

 ということで練習をみんなでみっちりとし

 た。

 

 去年は、オタク仲間だけだったんだけど…

 

 今年は志願者が増えた。

 ま、迫力が出ていいかもしれない。

 

 去年は、美少女を忘れる為全力でやったけ

 ど…

 ぜんっぜん吹っ切れなかったなー…。

 

 まー今年は美少女美崎さん、オレなんかみ

 てくれないだろう。

 去年は、隣の席だったし少し仲良くなった

 から義理でみてくれていたのかもしれない

 し。

 

 そもそも体育館にすら来ないかもしれない

 な。

 

 ま、あたりまえだ。

 ヲタ芸なんてわざわざみてもな。

 

 

 って事で文化祭当日。

 

 すれ違う人たちに今日応援に行きます!と

 か、これ振りながらみます‼︎なんて手作り

 のうちわを用意されたりした。

 

 えと…なんかハズっ。

 思ったより、楽しみにしてる人いる…のか

 な。

 

 

 そしてそろそろ出番がやってきた。

 

 真っ暗の中ポーズをとった。

 すると、ソウター‼︎って掛け声が上がった。

 

 アイドルかよ…。

 

 曲が流れ出すと一気に湧いた。

 

 チクショー‼︎

 今年も全力でやってやるー‼︎

 

 オレはヤケクソで全力踊りした。

 

 バク転も側転もバッチリだった。

 

 で、最後にみんなで観客席にペンライトを

 投げた。

 

 そして一番光るペンライトを最後にオレは、

 投げたんだけど…

 

 それを偶然キャッチしたのは、美少女美崎

 さんだった…。

 

 暗くてもライトで美崎さんの顔がわかった。

 

 あ…体育館に居たんだ。

 

 …オレたちは、付き合っていないが、勘違

 いしている人たちがオレの投げたペンライ

 トを美少女美崎さんがキャッチしたもんだ

 から

「きゃ〜‼︎ステキ〜♡」

 と勝手に盛り上がった。

 

 …偶然なんっすけど…。

 ま、オレもビックリしたけどさー。

 

 って事で、文化祭が終わるとやっぱりあの

 二人は、ラブラブなんだと噂された。

 

 …  …  …

 

 で、またまた誰かが動画を配信したらしい。

 

 なのでオレは学校以外でも有名人になりつ

 つあった。

 

 

 

 しかも編集してあって最後にペンライトを

 彼女がキャーッチ‼︎

 ってなっている。

 

 …誰だ。

 配信してるやつ…。

 

 

 文化祭後の数日後

 

 うっかり美少女にばったり遭遇してしまっ

 た。

 

「あ、…なんか久しぶり…」

「あー、うん。久しぶり…」

「…ペンライト、文化祭で投げたら…ね、偶

 然最後にね…なんかごめん」

 と、オレは謝った。

 すると、

「えっ、なんで謝るの?嬉しかったよ」

 なんて笑顔を向けてくれた美少女。

 

 なんていい人…。

 

「あ、そういえば私たちの噂知ってる?」

「あー…付き合ってるってやつだよね…。」

「うん。あれさ、私否定してないの。ごめん

 ね」

 なんて謝られた。

 オレも否定してない。

「実は、オレも否定してないんだ。」

「えっ」

「だって、そのほうがお互い都合良くない?

 告白とかされなくて済むってかさ…」

「あー…そっちか。…うん。ま、たしかにそ

 うだよね。お断りするのもつらいもんね」

「うん。じゃあ、お互いそのままにしとこっ

 か」

「そうだね」

 美少女は、にっこりした。

 

 そうだよな。

 美少女だってその方が都合いいに決まって

 るし。

 他校に彼氏いるんだし。

 

 ま、オレなんかと噂されんのはイヤだろう

 けどさ。

 

 あーあー…

 なにやってんだろーなー。

 オレは。

 

 …特にやりたい事も夢もないオレ。

 しかし先生にそろそろ進路表提出しなさい

 とせかされていた。

 

 ヲタ芸って書いたら怒られんだろーなー…

 

 ダンサーとか書いとこっかなー…

 やっぱり、怒られんだろーなー…。

 

 そんなこんなで適当に近場の大学の名前を

 書いておいた。

 

 …オレは何がしたいんだろう。

 自分のことなのに全くわかんねー。

 

 誰か教えてくんねーかな。

 

 

 特に何も夢がないまま時は過ぎる。

 

 オタク友達に夢あるか聞いてみた。

 するとみんな意外とやりたい事とか行きた

 い大学があったりした。

 

 そっかー…。

 

 落ち込んでるオレを見てオタク友達は、

「まー、でも美人な彼女がいるんだからいい

 じゃねーか」

 なんて言ってきた。

 

 …あー、ほんとは付き合ってないのになー。

 

 続く。

 

 

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