予定調和ガール
私、秋本のぞみは怒っていた。
となりの席の男とそんなやつに騙されて恥をかいた自分に対してだ。
昨日のブーブークッションのことを家に帰ってから恥ずかしくなって何度悶え苦しんだことか。
「ぐぬぬ」フラッシュバックした記憶が更に追い打ちをかける。
それにも関わらず、素知らぬ顔で授業を受けているこの男はなんだ。
ムカつく以外の感情が出てこない。
だがしかし、思い返してみれば私も悪かったところがあった。
あの時、となりのこいつに予言なんてしなければこうはならなかったのだ。多分。
いや、私の席のとなりにこいつがいること自体が問題だったのか?
小さい頭で一生懸命考えてみたが、正解は出そうにない。
うまく物事が運ばないことにもイラつきを感じたのでおやつの「さくさくパンダ」を1つ食べる。
「あぁ、しあわせ〜。」
このパンダのデザインと甘くて幸せ度数高めのチョコ、そして何よりさくさくなビスケットが完璧な比率で組み合わされている。
開発者神だろぉ。って思いながら味を噛みしめる。
「ん〜おいひぃ」
もうあんな男どうでもいいや。このパンダと私は生きていこ。そう思った。
あ、そうだ。
私があの変態男を予言したのにも理由とかあるんだよね。
だって普通、理由もなしに変態に声かけないでしょ?というか理由あってもかけないね。
実は私には変な癖みたいなのがあるのよ。
それは予定調和。つまり思ったとおりに事が進むことが好きなのよ。
ゴミ箱に紙くずを投げて入ったときの高揚感みたいなのがたまらなく好きなの。
だから毎年クラスが変わるときに誰かに予言をしてそれが当たるのを待つことにしたの。
中学の時に隣の席になったイケメンの成田くんには「君はモテ期くるよ、マジで。」みたいなことを言って周りの人にその人を好きになるように促したりしてたの。
成田くんが修学旅行で告白されていたときなんて予定調和指数が高すぎて最高に心地よかったの。その日は頬が緩みまくってまともに眠れなかったのを覚えているわ。
ちなみに2週間後には成田くんは別れてましたけども…。
まぁ私としては予定調和したからもう、どうでも良かったんだけどね。
話を戻すと、こういう経験からの予言をしてみたの。
そしたら、ゴミ箱の紙くず投球よりも楽しくなるでしょ?みたいな軽い気持ちだったのよ。
それがまさかあんな変態だったなんて…
たしかに私も友達できない宣言は可愛そうだと思ったのよ。
だから1人くらいは友達に入れてあげたのに、あの変態め。
あれからずっと私をからかってくるじゃないか。
今もとなりで澄ました顔で授業を聞いてやがるし。
爽やかな横顔しやがって、口にわさびでもつっこんでやろうかしら。と私が軽く睨んでいると、変態は気づき、ニヤニヤしてこちらに手を降ってきた。
「ふんっ!」とわざと無視したのだが、男は更に嬉しそうな顔になった。
さすがに身の危険を感じた。
そしてこのときに私は悟ったのよ。
外的は削除しなければいけないってね
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます