人喰い武装。



 脳内で理性が殴りあってると、逆転の発想を得る。


「じゃぁ、もうむしろ、もっと可愛いシリアスを大量に見せて飽和させてよ。慣れたら平気かも知れないし」


 そしてそのまま口に出したら、シリアスに変な顔された。


 …………え、シリアス、そんな顔も出来たの? かわいっ! すき!


『シリアスはラディアを無条件で信頼したいと思って居る。実際に信頼して居る。そして、ラディアの当該発言が当てに成らないと言うダメな方向への信頼も厚い。よって、実行非推奨。ラディアはきっと、「本望」等と発言しながら瀕死になる』


 あ、はい。僕の事を僕よりご存知だ。


 ハッピーになれるおクスリ『シリアス』の過剰摂取で頭ぶっ飛ばしてると、冷静に突っ込まれてしまった。


 しかし、こうやって女の子シリアスとイチャイチャするのクッソ楽しいな。

 

 メカのシリアスも当然最高だけど、やっぱり同じ生物規格に成ってくれると親近感も持てて良い。

 

 まったく、シリアスは一粒で何度美味しいのか。良い加減にしてくれ僕が死んじゃうだろ。


「さて、まぁ真実に近い茶番は置いといて。今日はどうする? ロコロックルさんからは連絡無いし、剣闘士でもやる? それとも昨日の子達と早速遊ぶ? 地元民が居たら都市観光も楽そうだし」


 子供目線の観光も中々乙かも知れない。大人目線では気が付かないポイントとか知ってそうだし。

 

 ネマはこう言う時、意見があると眠そうでも積極的に発言するけど、無い時はインテリアの人形みたいに大人しくなる。つまり今だ。

 

 コイツ、美少女としての完成度は神話級だから人形っぽさも凄い。喋らないと『揺れる機能付き実寸大愛玩ドール』に間違われそう。


『提案。ウェポンガレージ機兵武装店へ行きたいと思う。シリアスはマンイーターの早急な購入を推奨する』


 …………なんて?

 

 マンイーター? 人喰い? いや、知らない物だ。

 

 僕も色々調べて勉強は続けてるけど、その言葉はまだ知らない。

 

 それを察してくれたシリアスは追加で説明してくれたのは、つまりはバイオマシンに装備する対人兵器の事だ。

 

 この対人兵器って言うのは、『人が乗ったバイオマシン』を相手にする意味の『対人』では無く、サーベイルまでの旅路で殺しまくったバンザイアタック大好きなクレイジー達の様な生身の人間を殺す為の『対人』だ。


「あー、そうだね。ロコロックルさんの商売が何時終わるか分からないんだし、それは必要だよね。生身の人間をプラズマブラスターとかで殺すのコスパ悪すぎる…………」

 

『肯定。生身の盗賊を殺害する場合は、現在のシリアスに搭載された武装類では逆に不適切。オーバーキルは自身の財布もオーバーキルしてしまう模様』


 おっとぉ、シリアスが面白い事言ってるぞあははははちくしょう!

 

 生身でライフル撃つの下手でごめんねぇぇえ!?


『盗賊に対応するならば、低価格な炸薬式の連筒機関砲ガトリングで充分。弾薬費も安く済む。人間の携行規格弾薬ならば四桁単位で装弾可能』

 

「そうだねぇ。て言うか、人を撃つだけの炸薬銃の弾薬なら、そう特殊な金属も使ってないし、弾薬生成用レプリケーターと弾薬用のマテリアルカートリッジを買えば良いもんね。その分ちょっと高くなるけど、その後は補充も容易になるし、マテリアルの状態で積めば積載量的にも助かるし」

 

『機体への装備はシリアスがセルフで行える』


 と言う訳で、シリアスの提案通りにマンイーターを買いに行く事になった。

 

 武装の購入なんて最後で良い、とか思ってたらロコロックルさんが仕事を終えて明日にでも「さぁ帰るぞ!」ってなるかも知れない。

 

 流石に前日の知らせで翌日帰るとかは無いけども。でもそうなってから買いに走っても間に合わ無い可能性も有るのだ。

 

 拘束費を貰ってる立場で、ロコロックルさんに待ってもらう訳にも行かない。

 

 だから、今の内に用意して置くのがベターだ。そうしてロコロックルさんが仕事を終えたら僕もササッと帰れる様にして置くのが、拘束費を貰って過ごしてる傭兵の正しい姿だ。


「じゃ、人喰い武装マンイーターを買いに行こうか。予定は炸薬式の安い奴だけど、良い物があったら他のでも買おうね」

 

『肯定。極小型なら逆に、プラズマ兵器も視野に入る。大きさ故にエネルギー消費も少なく、弾薬費が掛からず、装填作業も必要無い。プラズマ弾は多少弱くても人間には致命的』

 

「なるほど。…………いや、聞けばそっちの方が良さそうにも思えるね」

 

『しかし、やはり炸薬兵器と比べて高額。輸送任務でしか使わない様な武器に資金を投じる理由が薄い』

 

「…………ああ、そうか。この仕事終わったら最悪はもう使わない可能性もあるのか」


 ふむ、悩みどころだな。

 

 取り敢えずネマにお願いしてシャムを出してもらう。目的地はシリアスが調べてくれた場所で、ギルドのお兄さんから貰った情報にもその店が有ったから優良店では有るのだろう。

 

 駐機場を出てすぐメインストリートへ。朝に見るサーベイルも中々綺麗だ。


「……わりと、ちかぃ」


 ネマの言う通り、目的の店舗は近かった。メインストリートに出て五分で到着だ。

 

 サーベイルの特徴の一つとして、僕らが寝泊まりしてる契約駐機場の様な特殊な建物で無ければ、どのビルも見た目がそこまで変わらない事が挙げられる。

 

 しかし、あくまでも『そこまで』であって、完全にコピービルが建ち並んでる訳でも無い。

 

 ネマが駆るシャムで辿り着いたのは、そんなちょっとした差が逆に目立っている場所で、濃い鈍色が目立つビル群に於いてソレはまさかのボーダーカラー。

 

 ハッキリと色を変えてる訳じゃないけど、薄い鈍色と濃い鈍色が交互に重なったカラーリングの極太ビル。


 どうやら、ここが目的地らしい。


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