お尻を見せたらダメ。
「良いなぁ。私もバイオマシン乗りたいなぁ」
ポロンちゃんの指導をしてると、後ろからそんな声が聞こえた。
「親の説得、頑張ろうね。複座で良いなら、僕の相棒に乗せてあげても良いし」
「ホントっ!? 約束よっ!? …………あれ、あの大きなシールドダングって最近買ったのよね? なら、元々何に乗ってるの?」
「デザートシザーリアだよ。かなりカスタムして戦闘機になってるけど」
「良いわねぇ! ガーランドの名物だもの! 国内だと此処でしか産出しない機体だし!」
ちなみに、国外なら砂漠用じゃないデザートシザーリアを産出する場所も有るそうだ。フォレストシザーリアとスミスシザーリアだったかな?
スミスの方はガッチガチの工作機で、テールさえも精密作業用のマニピュレータを搭載してるらしい。デザリアは砂漠での局地的作戦とかに使われる機体なので、専用仕様となってる。
フォレストシザーリアは森林伐採用で、アームで樹木を挟むとギャギャギャギャって大木を伐採出来ちゃう専用アームを持ってる。林業用の機体だね。
それぞれが割りとオンリーワンな能力を持ってるので、ある意味でそれぞれのシザーリアはその土地でだけしか産出しないユニークな特産物だ。
「ふっふっふぅ〜。こっちに乗って良かったぁ。美味しい約束しちゃったもの」
「まぁ、何時でもって訳には行かないよ? 僕もお仕事あるし」
「勿論よ! 同い歳でも、私はスクールに通う子供で、アナタは自分の手でシギルを稼ぐ大人だわ。子供のワガママで大人を困らせちゃダメって事くらいは弁えてるわよ」
本格的に良い人だな。これで、もし、水利権系の上流階級さんだったら僕はどんな顔をすれば良いのか分からない。怖くて聞けないな。
『どうですかッ!?』
「んー、四○点かな」
『厳しいですっ!?』
コースを終えて戻って来たポロンちゃんに採点する。友達に良い所を見せようと焦ったのかな。何時もより操縦が荒かった。
「ポロンちゃん。免許って言うのは、何時でも最低限は同じだけの動きが出来る人に発行する物だよ。じゃないと、免許を渡した後に条件次第で事故を起こしまくる人だったら目も当てられないでしょ? お友達が乗ってるからって、何時も通りの操縦が出来ないとダメだよ」
『あ、あぅ……』
「僕も、お友達の前でわざと辛口採点したい訳じゃないんだよ? でも、此処で甘くして後々に事故でも起きたら僕は責任が取れないし、ポロンちゃんの為にもならないからね。厳しくさせてもらうよ」
『…………ごめんなさいです』
「でも、凄く頑張ってるのは分かったよ。カーブの入りが滑らかになってたね。良く頑張りました」
『ッッ! はいです!』
後ろから「落としてから上げるのね。…………技巧派だわ」とか聞こえるけど気にしない。僕にそんなつもりは無い。
「それじゃ、せっかくだし軽く模擬戦でもする? 僕もダングは慣れてないし、アズロンさんのカスタムだから尚更だ。多少は良い勝負になるかもね?」
『や、やってやるですぅ!』
インスタンスエリアの中でポロンちゃんに攻撃通知を叩き付ける。すぐに受諾され、僕はモモさんに「舌噛まないでね」とだけ言って、油断してるポロンちゃんに突撃した。
『あわぁぁぁっ!?』
「ダングの突進は常に警戒した方が良いよ」
スロットルを最大まで開けてから前進ペダルを最後まで踏み、ウェポンドッグに体当たり。
ポロンちゃんは悪足掻きの砲撃を撃つけど、ダングの装甲に弾かれる。
ダメダメ、この場合はパルス砲じゃなくてプラズマ砲を使わないと。着弾した時点で最低限でも効果を見せるプラズマ砲じゃないと、ダングの突進を止めるには至らない。
「らぁッッ!」
『ひにゅっ……!?』
「そしてスライドロール!」
『潰れるですぅぅ!?』
ダングのスライド操作は、足周りをカスタムして無いなら機体ごと横回転するロールアクションだ。普通は積荷がグッシャグシャに成るから誰もやらないけど、空荷なら問題ないし、此処はVRバトルだ。
突進でウェポンドッグを正面から弾いて、それに合わせて潰す様にロールする。決まれば小型中級のウェポンドッグじゃ中型上級であるダングの『プレス』には耐えられない。
『嫌です嫌です逃げるですぅう!』
「お、回避出来たね。偉い偉い。でもお尻を見せたらダーメ」
『いぎゃっ--』
一目散に距離を取ろうとするポロンちゃんに、回頭したダングの砲撃をズドン。
おお、大型炸薬砲つっよ。一撃でウェポンドッグがひしゃげた。
『こ、降参ですぅぅう!?』
ビーッてブザーが鳴って、バトルエンド。僕の勝ち。
うん。まぁこんなもんだよね。
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