僕の人生。
『ぜ、全然戦いに成らなかったです……。お父様だと良い勝負なのに、同じ子なのに…………』
「これでも現役だからね。…………さて、ポロンちゃん、お疲れ様」
その後は、予定通りに野良バトルで慣らしてから、ランクマッチに乗り込む。
その間僕はポロンちゃんの方のコックピットにお邪魔して、リアルタイムで指導しながらの戦いだ。対戦相手も察してくれて、偶に接待バトルになった。まぁ勝ちは持ってかれるんだけど。
「勝てないです!」
「頑張ろうね」
「…………ボクから見たら、ポロンでも充分動かせてる様に見えるけど、これでもダメなの?」
「現役の傭兵ってそれだけ凄いって事なんじゃない? 誰でも出来るなら皆が傭兵やってるわよ」
「それもそうか…………」
「稼ぎが違うもんね! マルも傭兵になったら、アレもコレも買えちゃうのかなぁ……?」
一通りレッスンを流して、今はセルバスさんが淹れてくれたお茶で休憩だ。
ネマもセルバスさんがテキストを凄い勢いで捌いてる。やる気があって良き良き。
「ネマ、調子はどう?」
「…………あと、よっか。くれたら、よゆう」
マジかよ。
頑張れば三日って言う判断は、あくまで大人の能力を前提にしてる。それを四日で行けると豪語するネマは、それが自己の過大評価で無いなら天才の部類に入るのでは?
「にしゅうかん、くれたら、せんとーきも、いける」
「マジで言ってる?」
「できる。…………だから、やと、って?」
本当にそれが可能ならコッチからお願いしたい。
八歳からバリバリ仕込んで行けば、ネマは類稀なる傭兵に育つだろう。それを今からツバ付けられるなら、無利子無担保で約三○○○万シギルのダングを立て替えるとかお釣りが来るよね。
「〝下さい〟を付けろよデコスケ野郎。でも本当に二週間で戦闘機免許取れたら、祝い金で一○○万あげても良いよ」
「………………むふぅ、ほんき、だす」
僕が突然デコスケ野郎とか言い出したからお嬢様組がちょっと引いてるので、この気安いやり取りをネマが気に入ってて、やらないと寂しそうにする事を教えて弁明する。
「僕もネマの歳より二年も下から苦労したんで、ネマが幼いからって手加減するつもりも無いんですよ。雇用主に敬語使えよって言い続けたら、なんかネマが気に入っちゃって」
「…………うん、なんか、傭兵っぽいやり取りではあったわね」
「マルも言おうかな? スクールで絡んで来るサトリナス家の奴に『このデコスケ野郎!』って!」
「元はフィクションブックの台詞なので、知ってる人も居るかもですね」
明らかに上流階級が通うスクールなんだろうけど、そんな場所で『デコスケ野郎!』が流行っても僕は責任取れないよ。でもちょっと楽しそう。
あー、良いなぁ。僕もスクールに通いたかったな。
「スクールには、バイオマシンの授業とか無いんですか?」
「ん? あるよ? 選択制だけど」
有るんかーい。
なら、なんでポロンちゃんは僕に依頼したんだ? スクールで良くない?
「親の許可が無いと選択出来ない授業の上に、教師が縁故採用で腕が悪いのよ。アレに教わっても免許取得とか無理無理。行けても運次第よ」
「一応、その先生も
「良い乗り手が良い教官に成るとは限らないのよ。それなのに腕も悪かったらお察しね。見た感じ、今のポロンより多少マシってレベルの
そんな人居るのかよ。
でも、僕からするとコネも大事な能力の一つだし、足りない実力でも仕事を取ってこれるならソレはソレで優秀って事だと思う。
コネだけの無能って言っても、世の中にはコネさえ無い無能も沢山居る訳で、ならコネが有るなら無いより良いと思う。
勿論コネの太さに胡座をかいて干されたら結局無能なんだけどさ、現状を維持してるなら最低限の能力はある無能って事だし、充分じゃないかな?
「--と、思う訳です」
「…………そんな考え方も有るのね」
「シビア」
「僕って結局、コネも無い無能側だったからさ。コネで仕事を取ってくる人に何か言えるほど偉くないよ」
「ぽ、ポロンは、ラディアさんを無能だなんて…………」
「ああいや、僕だって自分を今も無能だとは思って無いよ。シリアスのお陰で人生上向きだしね」
「…………ラディアさんは、どんな人生を送って来たのか。ボク、気になって来た」
気にされたので、別に隠す事でも無いから語って見せる。
五年前にこの町に来て、四年前に父親が僕を置いて国境の戦場に行き、そして死んだ事。
それからタクトに助けられ、おじさんに助けられ、何とか生きて来た。
そしてやっと報われる。シリアスに出会って、僕は
「波乱万丈…………」
「電脳小説かフィクションブックが書けるんじゃないの……」
「お、オリジンって本当に居るんだね……」
「ラディアさん可哀想ですぅぅ……!」
そうだろうか? あー、でも、シリアスに出会った所はまさにフィクションブックの導入だよね。そこだけ見れば確かに僕の人生はフィクションブック並にヒロイックかも。
「まぁそんな感じで、僕ってスクールにも通った事が無いんですよ。ある程の教養とか知識は、全部人を見て覚えたり、人から教わって身に付けました」
「ソレはソレで凄いこと」
「て言うかまた敬語」
出ちゃう敬語については許して欲しい。そう言う性分なんだ。ネマには最初からアレだったけど、最初は不審者だと思ってたからね。
「だから、スクールの友達と遊んだりとか、ちょっと憧れてたり」
呟いた僕は、その時どんな顔をしてたのかな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます