都合の良い幸運。
僕らは稼いだ。それはもう、大いに稼いだ。
おじさんなんて、一億ちょいを総取りだもん。僕はシリアスと折半したけど、おじさんはウハウハのはずだ。
タクトも稼いだ。正確には『タクトグループも稼いだ』が正解だけど、僕としては報酬を支払ってる相手がタクトで、その後タクトが勝手に分配してるって意識なので、やっぱり僕的には『タクトが稼いだ』で合ってる。
そんな僕らだけど、突然の大金をどうしましょ。そんな話し合いをした。
シリアスのカスタムに殆ど使う予定の僕は良い。他に使い道が有るとしても、その場合でもどうせ傭兵業に関わる何かに使う程度だ。
で、問題はおじさんとタクト。
まぁ貯金って選択も、大いにアリだ。少なくとも無駄に消費しない時点で、マイナスには成らない有意義な選択と言える。
「移転作業が終わらん。ちょっとシリアスを貸してくれ」
「シリアスに聞いてくれます?」
『了解した。オジサン・サンジェルマンには、ラディア共々お世話になっている。手伝いは
だけどおじさんは、パァーっと使う事を選んだ。
整備屋サンジェルマンの改装だ。と言うかもっと広い建物に変えての新装開店だそうだ。
「いやなぁ、此処でも文句はあんまり無いんだがよ。それでも強いて言うなら、デカい機体が入らねぇだろ? 今回の事で、やっぱダングの利便性には思い知らされたからよ。ダングの仕事を受けられないガレージだと、この先ちょっとな?」
と、言う訳で。おじさんは一億の殆どと、これまでの貯金を注ぎ込んでサンジェルマンの新装開店をする。
予定では、大型四機、中型六機、小型十機分のハンガーを備えた大型ガレージを用意して、作業用ボットも最新鋭の物を山程買うらしい。
確実に、個人が所有するガレージでは破格の大きさだ。
中型までを六機格納出来た現状でも個人所有のガレージとしては大きかったのに、その何倍にもなるガレージなんて、むしろ一人で扱えるのかと心配になった。
しかし、その大きさでも一人で捌くために最新鋭の作業用ボットを買うのだそうだ。
作業に使える自分の手足さえ増えるなら、いくらでもガレージをデカく出来ると豪語するおじさんは、多分ガーランドで一番の腕利きなのかも知れない。
「せっかくだから、俺らの拠点もサンジェルマンの近くにする。テント村から新拠点へ引越しだ」
タクトも、ある程度のお金を放出する事に。
お金が有るのにテント村で侘しい生活を続ける意味が無いからね。おじさんと違って建築からでは無く賃貸になるけど、スラム孤児からの大躍進である。
機体も手に入ったので、何かと利用が増えるだろうサンジェルマンとの関係や距離を考えて、新しいサンジェルマンの近くを借りるそうだ。
でも、小型とは言え十三機も格納出来る拠点とか、早々無いと思うけど?
「そこはほら、別に整備機能の有るハンガーじゃなくて、普通の駐機場で良いからな。居住用と別に近くのスペースを借りれば良いだろ。修理も整備も補給も、サンジェルマンを使えば良いし」
って事らしい。
そして僕。
「ダング欲しい。ダングが有ると凄い稼げる。そりゃ人気もある筈だよ。大きくて沢山積めるってだけで可能性の塊だ」
とまぁ、こんなお話しを三人でしたのが昨日の事。
そして今日、旧サンジェルマンのガレージにて。
「いや、昨日の今日で都合の良いパイロット見付けて来るとか、お前の運命力はどうなってんだ? もしかしてフィクションブックの出身か?」
「誰がご都合主義の幸運か」
ひどい言い草だ。自分でもちょっと思ってるけど。
「で? そいつが?」
「うん、ダングのパイロット候補」
そう、僕はダングが欲しかった。
そしてさっき住処を解体しに行ったら、ダングに乗れそうなパイロットがタケノコの様に生えてたのだ。激運が過ぎる。
確かにフィクションブックの主人公見たいな幸運だな。否定出来なくなって来たわ。
「ほら、ネムネマ。挨拶は? ちょっと怪しいお顔の人だけど、メチャクチャ優しい人だからね? この人に失礼ぶっこいた瞬間、僕は君のこと捨てるからね?」
そんなこんな、とりあえずネマに挨拶をさせる。礼儀については幼いから見逃して欲しい。
「………………よーひく、おにゃがーひまふ」
と、思ったら噛み噛みだけど敬語を喋りやがったぞコイツ。
「ゆっくり喋っても噛めるもんなんだな。初めて知ったわ」
「ネムネマお前、敬語知ってたのかよ。なんで僕には頑なに使わないの?」
テント村でスピカに洗ってもらったネムネマは、まぁ可愛らしい女の子に化けた。
服もシリアスが演算して選んだ物だから似合い過ぎてるし、何より顔立ちが半端無く綺麗だ。
美しさを兼ね備えた可愛さが迸ってる。人に好まれる顔面を演算してレプリケーターで作ったのかって思うくらいに可愛い子だった。
光に輝くプラチナブロンドが絹の様にサラサラストレートで、長い前髪が掛かる顔は常に眠たそう。顔がもう「
着てる服は、ディアラちゃんがVRバトルで着るのと似てるゴスロリワンピースで、帽子役のアイテムはフリルとレースがあしらわれたモノクロのゴシックなヘッドドレスだ。
ヘッドドレス程度で陽射しを防げるのか心配だったけど、何やら超凄い技術でしっかりと保護されてるらしい。マジか。
出来ればその技術を是非とも都市防衛用パルスシールドにもお願いしたい。そうすれば帽子要らないのに…………。
「と、言う訳なので。ダング買います」
まぁ良いや。とにかく今はダングだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます