ガチガチ。



 だんだん、なんと言うか、こう、天使さんにガチ告白してしまった件については、もう開き直った。


 古代文明人ならまだしも、技術力に劣る現代人の、それもなんの力も無いクソガキには、一度口に出して相手に聞かれた言葉を無効にすることなんて出来ないんだ。


 古代文明人なら、なんかこう、時間とか巻き戻して無かったことに出来そうな気がする。


 左ガチガチ。


 たとえ古代文明人でも時間は巻き戻せないらしい。流石に無理か。


「そっか。……えと、じゃぁ、あの、大好きです。天使さんに恋しました」


 右ガチガチ。


 …………こ、これは、肯定だから、カップル成立? それとも、ある程度肯定的な感じだけど、「まぁ良いんちゃう?」くらいの肯定で留まる感じ? どっちだろう。


「…………か、カップル成立ですか?」


 聞いてみた。


 右ガチガチ。…………マジかッ!? え、マジかッ!?


「わ、あ、あゎ、あゎゎわわ……、ぼ、僕と天使さんて、恋人で…………、恋人? 恋、なに?」


 尻尾フリフリ。可愛い。

 

 天使さんにも分からないらしい。


「あと、えと、人かどうかは置いといて、…………こう言う時ってなんて言うんだろう……? あぁ、そう! 恋仲! 僕と天使さんは恋仲ですかッ!?」


 右ガチガチしつつ、尻尾フリフリ。あ、新しいパターンだとッ!?


「あー、うーん……? 肯定的だけど……? 恋仲については、よく分からない……?」


 右ガチガチ。良かった合ってた。

 

 あ、でも肯定的でも有るんだ! やった! 嬉しい! 死にそう! ちんちん勃った! いや止めろバカ変態!

 

 良く考えると天使さん大正解じゃん。僕と天使さんで恋仲だって言い張っても、じゃぁどうすんだよって話しだよね。


 こう、ヤラシイ事も出来ないし、キスも、手を繋ぐ事も…………、いや手を繋ぐくらいは出来そうだね? さっき天使さん、凄く優しく摘んでくれたし。

 

 えへへ優しかった。好き。


「…………えと、あの、じゃぁ、天使さんは、これからも僕を、乗せてくれますか?」


 右ガチガチ。凄い右ガチガチ。食い気味で右ガチガチ。めっちゃ肯定された。


 ヤバい嬉しい。もっと好きになった。一生死ぬまで天使さんに乗りたい。と言うかもう降りたくない。今から死ぬまでずっと天使さんに乗ってたい。

 

 ……うん、無理なのは分かってる。天使さんのコックピットで汚物を漏らす訳には行かないし。そんな事したら自殺したくなる。

 

 あ、て言うか、自殺がどうとかじゃなくて、結局僕って死んだの? 天国は?


「天使さん、僕って死んだんですか?」


 左ガチガチ。


「……え、生きてるんだ。…………うわっ、生きてるんだ! 凄い! これからも生きて天使さんに乗れるんだ! 嬉しい! 幸せ! やった!」


 人生勝ち申した! クソみたいな人生がクソ過ぎた分だけ超弩級の幸せがやって来た! 勝った! 人生に勝った! やったぜ!

 

 ついさっきまで人生終わらせてくれってギャン泣きしてたおバカさんは何処の誰だよまったくぅ。こんな幸せが待ってるのにさぁ。

 

 …………はい僕です。ごめんなさい。もう死ぬって言いません。寿命で死ぬまで天使さんと一緒です。


「天使さんが助けてくれたんですか?」


 右ガチガチ。嬉しい優しい好き。

 

 …………今更だけど、天使さんって女の子かな? いやもう抜け出せないくらいドップリ恋してるから、もう仮に男の子でも諦めるよ。天使さんの性別がどっちでも僕は天使に恋するよ。

 

 ……いやコレこそ聞けば良いんじゃないかな?


「天使さんって、女の子ですか?」


 尻尾フリフリ。…………そっちかぁ。これで分からないって事は、そもそも性別が無いんだ。


「性別って概念が無いんですね」


 右ガチガチしつつ、尻尾をちょいフリ。…………ん?


「え、っと? 基本的に性別は無い、無いけど……?」


 無いけど、なんだ。今の尻尾ちょいフリは何を意味してるんだ。

 

 て言うか古代文明人さん。天使さん達バイオマシンってこんなに自我がハッキリしてるのに、なんで会話出来ない作りになってるんですか。

 

 コンソールのディスプレイとかに文字出してくれたりすれば良いじゃないですか。そう言うの良くないと思いますよ、僕は。

 

 いやでも天使さんを産んでくれたのは古代文明人様なのだからお父様だよね。て言うか神だよね。うん、恐れ多いから文句言うの止めよっと。


「…………あー、もしかして好きに設定出来る?」


 右ガチガチの、尻尾ちょいフリ。またかっ!

 

 これは、何を意味する……? 肯定って事は、好きに設定出来るのは間違い無い?


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