遭遇。
と言うか、バイオマシンの本体はどっちかって言うと
元気な機体から引っこ抜いた
悩ましい。瀕死だろうと、腐ってもバイオマシンなんだ。古代文明の超技術で生み出された兵器なんだから、こんな状態でも簡単には死なないかも、知れない……。でも死ぬかも知れない。
と言うか、バイオマシンはバイオマシンを食べる。
バイオマシンとはそう言う生き物だ。
なので、放置したら他のバイオマシンに見付かって食べられるかも知れない。
もしそうなったら、
いや怖過ぎる。一回帰る選択がナシ過ぎる。帰ったら戻って来た時に確殺デストラップが待ち構えてるとか嫌過ぎる。ナシだナシ。
このデザリアも、そうやって他の子に食べられるのが嫌だから、こんな所に隠れてるのだろうか?
そこを僕なんかに見つかってしまったのは可哀想だけど、君が死にたくない様に、僕も死にたくない。明日も明後日も、生きて居たい。
「ごめんね。君がもし元気なデザリアだったら、仲良くなりたかったけど……、と言うかそれで君に乗れたら、最高だったんだけど……」
でも、本当にこの瀕死のデザリアが元気だった場合、僕が乗るとか乗らないとか以前に、普通に僕が一方的にぶっ殺されたはずなので、やっぱり瀕死で良かったわ。
ごめんねデザリアくん。もしくはデザリアちゃん。
「うーん、せめて
この全身分の
現実的な話しをするなら、まぁ持てる分だけ持って帰って、残りは半ば諦めつつ、次きた時に残ってたらめっちゃ嬉しい。
そんな所だろうか。確殺デストラップの可能性は依然として解決してないけど。
うん、無理だな。諦めるのは不可能に近いけど、無理な物は無理だ。デストラップを覚悟して往復が精々か。
デカくて重くても、
それだけでも十分に大金だ。それで諦めるべきかな?
「……全部運べたら多分、三○万シギル、いや四○万シギルはするかなぁ? あぁ、諦めるの嫌だなぁ」
羨んでも、出来ない事は出来ないし、時間も勿体無い。
僕は溜め息を吐きながら、腰に挿した粗末な工具を手に取って、ろくに動けないデザリアに近付く。
半端に固まっている鉄塊をバラす為に持ち歩いてる工具だけど、こんな所で役に立つとは思わなかった。
バイオマシンを分解出来る正規の工具じゃ無いけど、瀕死のバイオマシンを無理やり、少しずつ分解するくらいならコレでも用は足りるはずだ。
この砂漠ではサソリ型のバイオマシンを良く見るし、サソリ型に乗ってる傭兵も良く居る。だから鉄クズを売りに行く町の整備屋でも良く見るし、気の良いオジサンが色々と教えてくれた事もある。
そのお陰で、僕はデザリアに限って
整備士の技術なんて無いし、外した装甲を正しく付け直す事も出来ないけど、それでも砂漠に転がるデザリアの残骸を上手くバラすくらいは出来る。
僕の数少ない自慢の一つだ。
「さて。……ごめんね。君も生きたいんだろうけど、僕も生きたいんだ」
そうして、目の前のデザリアに近付いて、シザーアームが届く場所に踏み入る--…………、寸前。
-ガション……、ガション……。
「あ、足音……」
血の気が引く。
足音だ。デザリアの。
それも、目の前のコイツじゃなくて、別の、今も元気に動き回れる個体が発してる足音で、しかも結構音が近い気がする。
つまり、僕にとっての「死」が、すぐ側に居る。
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