第5話 地獄の跡地

「残留戦力に注意しろ!!手の空いた者は消化作業を開始しろ。」

レオ尉は周りに指示しながら辺りを見渡した。


「焼けているのは中心部か壁際の建物はまだ使えそうだな……。」

「とりあえず本部機能は北の詰所に移しました。シンシア様も其方におられます。」


分隊のエルフが大尉にそう伝える。


「早いな森に逃げなかったのか……。残留戦力の殲滅が終わったら民間人を戻そう。」


「北の詰所に向かう。被害報告と今後の事を相談したい。」


副官のエルフと分隊員数名で北の詰所に向かった。


北の詰所に向かう途中取り残されたアーリア帝国の兵士がエルフにリンチされていた。それを横目で見ながらジャックはため息をついた。


「残念だったな。。ここにMPはいねぇよ。」


アーリア兵のうめき声を背に歩き続けた。


「よくやってくれたレオ大尉。君は大したものだ、あの外道共を打ち倒すとはな。」


シンシアはそう言って笑みを浮かべた。

「今回は捨て身の作戦で何とか奴らを倒せましたが今後はそうはいきません。虎の子のバズーカも残弾は残りひとつです。奴らの装備に対応するにはこちらも装備を一新する必要があります。」

レオはそう訴える。

「自動小銃やら機関銃か……。こちらにあるのは単装式のマスケット銃だ。殆どつかわれていないがな。奴らの装備を参考に銃身に溝を切ってみたりしたが連射はきかないし大して使いものにならん。」

シンシアはそう言って眉をひそめる。

「ならせめて黒色火薬か可燃性の魔石を利用した携行できる爆弾を用意していただきたい。如何せん火力が足りません。」

ジャックの副官のエルフ、オリファーが提案する。


「可燃性の魔石といえば火の魔石か...。それならば何とか用意出来る分かった。何とかしよう。敵の武器も幾らか鹵獲したそれらもドワーフ衆に解析させる。とりあえずそれでいいかジャック?」


「ありがとうございます。私の持つバズーカでは無く敵軍のパンツァーファウストを参考に作成して頂きたい。」


レオ大尉がそう懇願する。


「この鉄の果実が着いたような筒か。つかえるのか?」


「我々はこの武器に散々苦い思いをさせられました。城壁、トーチカ、戦車に対して有効な武器です。」


それを聞いたシンシアは一考すると


「ではその辺の壊れかけの建物に撃ってみよ。威力を見たい。」


「いまですか!?」


「今だ。悠長にしている時間は無いだろう。」


そうして一同は外に出ると人払いをして試射を始めた。


「私の後ろには立たないで下さい。バックブラストで死にます。」


レオはそう警告すると半壊した建物にパンツァーファウストを撃った。「「バッシュー」」という風切音と共に弾頭が山なりに飛んでいき建物にぶつかり爆散した。半壊した建物に大穴が空いた。


「うーむ。確かに威力はあるようだが、攻撃範囲はせまいようだな。。」


シンシアは眉をひそめた。


「範囲よりも貫通力に重きを置いていますからね。しかし構造が大量生産に向いているので小銃を大量生産出来なくてもパンツァーファウストならば兵に1丁ずつ装備させることは可能だと思います。」


「先程の携行できる爆弾についてだがそのパンツァーファウストと手投げ弾を大量生産ということでいいな。」


そうしてシンシアとの話し合いで優先生産する武器が決まった。




「東の森に私の知り合いのドワーフがいる。腕のいい武具職人だ。娘と2人で暮らしているはずだから連れてきて欲しいのだ。銃火器を生産するにあたってやつの力が欲しい。」


レオはシンシアにそう依頼された。


「了解しました。分隊員と共に参ります。」


「頼んだこれは私が書いた手紙だ。これを見せればおまえを信用するだろう。」


シンシアは手紙を手渡した。


「森にもアーリア兵が彷徨いてるかもしれん。事実この砦より西側はアーリアが占領している。南西の穀倉地帯フェード王国も危険な状況だ。気を付けろ。」


シンシア族長と謁見した俺たちは森に出発する準備を始めた。


「隊長、我々は弓を持っていきますが隊長はどうします?隊長のステンは弾切れですしここにはマスケット銃しかないですよ。」


副官のオリファーが苦笑いしながらマスケット銃を掲げる。

「俺が弓を持ってもまともに使えねぇよ。マスケット銃……。お、ラッパ銃みたいな物もあるじゃねぇか。ヤバくなったらこいつに石ころでも詰めてぶっぱなすさ。」


「そいつは騎馬兵ようですけどね。昔只人の兵隊から鹵獲した物だときいてます。一応弾持って行ってくださいよ。あとマスケット銃もこんなのでも無いよりはましなんですからね。」


分隊員のランスに諌められる。


結局持ち物はマスケット銃とラッパ銃と手投げ弾となった。


エルフは弓と矢筒を持った。それに加えて水と食料を持って


次の日森の東側へと向かったのだった。

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