第27話 図書館
昨日は領都外の森で狩りをした。一人だけでするのは初めてだったので、体力はまだ残ってはいたがゴブリンを50匹ほど討伐したところで引き上げる事にした。
確認したところゴブリンの討伐レベル合計は73になっていた。レベル合計が10万でゴブリンの力を纏えるとしたら、約1400倍も討伐しなければならない。
昨日の倍討伐したとしてもゴブリン狩りを約700日……今の俺の実力だと二年近くもの間、ゴブリン狩りをする地獄になる。
四倍討伐して約一年、八倍討伐しても半年近く掛かるのでゴブリンは捨てる。
ホーンラビットやスライムも同じ数の討伐が必要だととしても、ずっとゴブリン狩りを続けるよりは精神的に楽だ。
俺のレベルは2に上がった。
ゴブリンを50匹も討伐したからもう少し上がると思っていたけど現実は厳しかった。
ザックリと鑑定した感じだとレベル1と2しか倒してなかったから、討伐したゴブリンのレベルが低過ぎたのが理由だろう。
昨日の感じだとゴブリン討伐は余裕だったからレベル10とかでも倒せると思う。だが、運悪く魔物の群れと遭遇する可能性もあるから暫くは慎重に討伐する予定だ。
ゴブリン狩りなんてやってらんねーよ!! と思いホーンラビット狩るぞ! と思ったけど何処に居るのかわからない……。
10歳のガキが行くところではないが、まずは冒険者ギルドで情報収集だ。
冒険者ギルドに辿り着いた俺は、入り口の扉を開けて中に入った。
ザッと周囲を確認してみたが、俺と同じ年くらいの奴は一人も居なかった。
若くても成人した15歳くらいで、ほとんどは二十代とむさ苦しいおっさんばかりだな。
そんな中に黒のフード付き外套に加えて、黒の布マスクを付けた不審者少年? が来たら視線を集めるのも無理ないよな。
受付嬢に辿り着く前に少し絡まれるかな? と思ったが視線だけだった。
「すいません……冒険者ギルドの図書館は、登録してなくても閲覧可能ですか?」
「珍しいわね……図書館の利用だけなら一般人にも公開されてるから問題ないわよ。ただ君くらいの子が楽しめるような本は此処には置いてないわよ」
「領都周辺に生息する魔物関連の本が読みたいので大丈夫ですよ。最後にもう一ついいですか? 冒険者登録は何歳からですか?」
「冒険者登録は基本的には成人した15歳からだけど、例外で12歳からでも冒険者試験に合格できれば登録可能よ」
「君は見たところ……顔はあまり見れないけどまだ10歳くらいだよね? 普通は休日とかに保護者と一緒に魔物を討伐して、ある程度の実力を身につけてから友達と一緒に狩りを始めたりして、その次の段階でようやく冒険者登録するのよ」
「君はもう一人で狩りをしているのかしら? もしそうなら危ないわよ! ご両親は何をしているのから? 大丈夫なの?」
「受付の姉さん心配してくれてありがとうございます。俺の家は放任主義なんですよ……だから10歳からは領都外でも遊んでいい事になったんですよ」
「昨日一人で遊んでたらゴブリンが現れてビックリしました。弱かったので問題なく倒せましたが……もし強い魔物だったら危ないなーと思って、危険な魔物の生息地を勉強しにここに来たんですよ」
「放任主義て……危機回避の為に勉強するのは良い事よ。だけど、積極的に魔物を狩るのは本当に危ないから控えなさいよね。
えっと図書館だったわよね、入り口近くの階段を上って三階にあるわよ。二階は冒険者用の酒場になってて、物凄く酒臭いから近づかない事をオススメするわ」
「受付の姉さんありがとうございました。図書館は三階ですね。それでは図書館に行って来ますね」
優しい受付のお姉さんだったな。
冒険者ギルド入り口近くの階段を上り三階に着き、すぐに冒険者用図書館と書かれた扉を見つけることができた。
図書館の中には誰も居なかった。あまり人気が無いのかもしれないな? ザッと見た感じ素材、薬草、魔物、ダンジョンなどのコーナーに分かれて本が並んでいる。
とりあえず気になるのをどんどん手に取って読んでいく事にする。
二時間ちょっとで欲しい情報は大体把握することが出来たので、今日はこのまま屋敷へと帰宅する。
自分の部屋に戻って来てからは、図書館で集めた情報を整理する。
まず一番の目的だったホーンラビットの狩り場がわかった。領都門を出てからゴブリンを討伐した森とは、反対方向に進んだ先にある森がホーンラビットの狩り場だ。
その森の近くには川があって、川近くの森と川沿いにはスライムもいるらしい。
更にその川沿いを真っ直ぐに進むとダンジョンではない自然の洞窟がある。
そこは『スライムの洞窟』と呼ばれていてスライム系統の魔物しか出ないらしい。
この洞窟は難易度がそこまで高くなくレベルが30もあれば、攻略することも十分可能だとも書かれていた。
川沿いの道もレベル10前後の魔物しか出ないので、問題なく洞窟に辿り着けるだろう。
一つだけ注意しないといけないのが、ホーンラビット狩りに夢中になり過ぎて、森の奥に進み過ぎること。森は中心に行けば行くほど、強い魔物や魔物の群が居るから気をつけなければならない。
明日からの予定を整理する。
まずはホーンラビットが居る森へと辿り着くこと。ある程度、ホーンラビットを狩る事が出来たらスライムも狩ってみる。
どちらも狩り終われば『スライム洞窟』に挑戦してみる事にした。
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