第2章 選定と決意
第17話 選定の朝
帝都でシャルと別れ、次に会うことができる貴族の子息、令嬢の顔見せパーティーまでの間は手紙のやり取りをすると約束してから時は流れ10歳の誕生日となった。
レーヴァン領に帰ってからは、今まで通りの生活を送りながらも、シャルとの手紙での近況報告を続けて過ごしてきた。
「ステータス」
――――――――――――――――――――
【名前】グラン・レイブン
【種族】人族
【年齢】10
【レベル】0 (封)
【HP】150/150
【MP】4650/4650
【攻撃】50 (上限50)
【防御】50 (上限50)
【敏捷】50 (上限50)
【魔攻】50 (上限50)
【魔防】50 (上限50)
<固有スキル>
(【圧死奪纏】) (【鑑定・偽装】)
<スキル>
(【重力魔法6(制限)】)
【水魔法3】【土魔法5】
【魔力感知5】【魔力操作5】
【魔力制御5】【魔法耐性5】
【気配察知5】【聞き耳3】【忍び足3】
【身体強化5】【体術3】【剣術5】
【加速5】【縮地2】
【受け身3】【受け流し5】【見切り2】
【言語理解8】【速読7】【暗記8】
【算術8】【地理5】
(【 】) 偽装の効果により本人のみ確認可能
――――――――――――――――――――
選定の儀前のステータスを確認する。
HPが昨日までは129だったので、今日で130になると思っていた。理由は分からないが、なぜか+20されて150となった。
MPは寝る前に毎日、魔力を使い切ったので予定通りの4650で問題ないのだが……前から気になっていたことを確認する為に、行った検証は当たってしまった。
検証というのは、いつまで魔力使い切りでMPを上げられるのか? を確認すること。
寝る前の時点で既にMPは4650あったが、今確認したところ4650のままだった。
昨日は日付が変わるのを確認してから魔力を使い切ったので、9歳ではなく10歳での結果が見れることになる。
今回の検証によりMPを裏技的な方法で上げられるのは9歳までだとわかった。
神様との会話で『総魔力量を表すMPや、スキルならば選定の儀前からでも制限なしに育てることが出来るから10歳までの間は、そっちの方を頑張ると良いじゃろうな』とアドバイスを貰った。
転生後、MPについて考えていた時に何度かこの会話を思い出して嫌な予感がしていた。
神様と話しいる時は選定の儀前にできる事がMPとスキル上げだから『10歳(になる)まではそっちの方を』頑張れという意味だと思っていた。
しかし今回の結果でわかった通り、10歳になる前までしか、裏技でのMP上げができないという意味も隠されていたのだ。
スキルはこれからも上げられるが、特別な方法でのMP上げは終わりとなった。
それについては以前から気になっていたので、実は帝都に向かう途中の馬車で一回だけ昼食後に仮眠すると言って魔力を使い切っていたのだ。
起きた時に母上から『グランちゃん初めての馬車で疲れちゃったのね〜なかなか起きないから心配したのよ』と言われた。
攻撃、防御、敏捷の三つは五歳から始まった剣術の効果もあり、50までしっかり上げることができた。
スキルに関しては前世の補正がある【言語理解】スキルなどを除けば【重力魔法】スキルが一番高くレベル6となった。
約五年の間で一つしかスキルレベルが上がらなかったので、やはり神様の言ってた通りでスキルレベル5以上のスキルを育てることの難しさを再確認する結果となった。
次に【水魔法】と【土魔法】スキルは色々と考えた結果、どちらか一つだけを育てることにした。
俺は【土魔法】スキルを選んだ。理由は、レイブン家といえば〈土のダンジョン〉だから土属性の魔法にした。
なので【水魔法】スキルは五年前と同じスキルレベル3で【土魔法】スキルの方はレベル5まで上げることができた。
魔法スキルは【重力魔法】と【土魔法】の二つだけに絞って育てることにした。だから新しく【火魔法】や【風魔法】などの魔法スキルは取得しなかった。
魔法を補助してくれる【魔力感知】【魔力操作】【魔力制御】と【魔力耐性】スキルの四つに関しては【重力魔法】と【土魔法】スキルを練習していたら、自然とスキルレベルは上がり全て5になった。
【気配察知】【聞き耳】【忍び足】の三つのスキルは【気配察知】だけは意識して育てたのでレベルは5まで上がり、残りの二つはレベル3で止まっている。
次に【身体強化】【体術】【剣術】【加速】【縮地】【受け身】【受け流し】【見切り】スキルの八つは全て剣術の稽古で使用していた。
その内、【身体強化】【剣術】【加速】【受け流し】スキルの四つは良く使うので全てレベル5まで育った。
新しく取得した【受け流し】スキルは以前に騎士団長と模擬戦形式の試験をした時に、俺の剣が受け流されていた時に使われていたスキルだ。
似た名前の【受け身】スキルは転んだ時や吹っ飛ばされた時にダメージを軽減してくれるのでなかなか優秀なスキルだが、育てる為には何度も転ぶか、吹っ飛ばされないといけないのでレベル上げが大変で3止まり。
【受け身】スキルと似た理由で【体術】のスキルもあまり育てられずにスキルレベル3止まりとなった。剣術でも蹴りなどを混ぜ込んだ攻撃もあるけれど、使用頻度が少ないのでしょうがない。
【縮地】スキルは簡単に言うと【加速】スキルの上位互換になるスキルだ。
【加速】スキルがレベル5になった時に取得することができた。
効果は一瞬で移動する事ができるが、移動できる距離がレベルに依存していてスキルレベルが2だと、約2メートルなのでレベルが上がる度に1メートル増えるのかな?
最後の【見切り】スキルは【縮地】スキルの取得パターンと同じで? 【受け流し】スキルがレベル5になった時に取得できた。その効果は何となくだが、相手の攻撃の軌道が予測できるようになる。
こんな感じで剣術関連のスキルは取得したタイミングと使用頻度の影響がレベルに現れた成長の仕方をした。
前世の補正でレベルの上がりやすい【言語理解】【速読】【暗記】【算術】の四スキルは【速読】スキルがレベル7、それ以外がレベル8と補正効果が強すぎる結果となった。
教育が始まったのがきっかけで取得した【地理】スキルはレベル5となった。
予想ではもっと上がるかなー? と思っていたが帝国内の地理しか殆どやらなかったので、その影響だろうな。
【礼儀作法】スキルはあると思っていたけどなかった……ちゃんとある程度は出来ているつもりだけど、もしかして礼儀がなってないのかもしれない。
選定の儀前のステータス確認はこの辺で終わりにして、食堂へと向かう。
「父上、母上おはようございます」
二人に朝の挨拶をして自分の席に着く。
「おはようグラン」
「おはようグランちゃん、10歳の誕生日おめでとう。今日は教会で選定の儀があるけど緊張してる?」
「母上ありがとうございます。選定の儀に関してはあまり緊張してないですよ」
「そうなんだ〜私の時は緊張しいてほとんど寝れなかったのよ」
「グラン誕生日おめでとう。私もシオンと同じであまり寝れずに、当日を迎えてしまったことを今でも覚えているよ」
「人生の分かれ道ですからね。でも自分ではどうすることも出来ないので、運命を受け入れるだけかな? と思いまして」
「確かにそうだが……それでもな」
既に結果を知っているので、俺には関係のない話なので緊張はしない。早くいろんな制限が解除されて欲しいと思うだけだ。
「ラクサス、そろそろ渡せば?」
「ああ……そうだな。グラン受け取ってくれ。今年の誕生日プレゼントだ」
そう言って父上は二つの玉を渡してくる。
「どちらでも良いから魔力を込めてみろ」
「わかりました。ッッん!!? 何ですか? これは……魔力が逆流して来ましたが、大丈夫なんですか?」
「問題ないから受け入れろ」
「は、はい……」
片方の玉に魔力を流し込んでから暫くすると込めた魔力が逆流して、俺の中に流れ込んできた。父上に確認して問題ないとわかったので、続けてみると数分後に魔力の逆流は終わり玉が透明になった。
「父上、これは何だったのですか?」
「それは〈スキル玉〉と言ってな。スキルを取得する事ができるダンジョン産のアイテムなのだよ」
「ッッ!?」
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