第7話 三日目
彼女と再会して三日目・・・黒板に書かれた
『今日は
そう黒板に描かれていた。彼女が両親に伝えてほしいメッセージは、綺麗な円の真ん中にひとこといつも以上の綺麗な字で描かれていた。
「今更どう会えばいいんだよ?・・・てか天国って時間とか関係ないのか」
ただ違うのは今日の僕はいつもと比べて落ち着いている。なぜだろう?初日に漠然と視界に映った白石の文字に驚いて終わり、二日目は彼女に会いたい衝動でグラウンドを走り回った。
それに比べればだいぶ落ち着いている気がする。僕は白石が伝えたメッセージを彼女の両親に伝えるため、ひとまず彼女の家に電話をかける。
『もしもし・・・? 黒崎くんですか?』
「お、お久しぶりです。おばさん」
『元気に・・・してた?』
久しぶりに聞いた彼女の母の声は
最愛の一人娘を亡くした両親に白石の彼氏の僕はなんと伝えればよかったのか?全く思いつかなかった。
「あ、あのおばさん。今日の放課後、そちらに行ってもいいですか? 白石に挨拶したくて」
『うん。ありがとうね、美姫も黒崎くんが来てくれるだけ嬉しいと思うわ』
「いえいえ、僕には到底そんな力はないです」
この後、僕とおばさんで少しの間話した後電話を切った。白石を失った現実を思い出すだけ辛いのに、彼女のお母さんとの会話は複雑な気持ちに襲われる。肉親を失った理不尽な悲しみを分かち合うのに、僕は何をすればいいのだろうか?
彼女が書いた文字を辛い気持ちとともに押し殺して消すことにした。これは僕と白石だけの秘密だから・・・。
「うっうっ・・・白石ぃ」
僕からポタポタと溢れる水滴が黒板消しを濡らす。付き合って半年の彼女はもうこの世にいない。しかし彼女の文字は現れた。
初日 月曜日 「白石が挨拶を書く」
二日目 火曜日 「白石が灰原さんと僕をくっつけようとする」
三日目 水曜日 「白石が自分の両親にメッセージを伝える」
これはいつまで続くんだろうか?
「どんなに・・・白石の文字を見ても、僕は生きてる君にもう一度会いたい」
黒板の文字を全て消した僕はジュースを買いに行く。ついでに朝の日直の業務も終わらせておいて、僕はクラスに戻ると今日も席に座り現実から目を逸らした。
授業に集中できず、ちょっと疲れたら寝たフリをする。その繰り返しで僕は苦しさを紛らわすことにしたが、結局複数の先生から注意を受けて終わる。
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