第31話 ゴルデリック

 ゴルデリック。


 ファルンでその名を口に出すのは、無知な者か愚か者、そして命知らずな者だけだ。


 ブラックファングの総大将であるゴルデリックは、ファルンの街にて悪名高いことで知られている存在である。

 

 長くこの街で暮らしている者、特にスラム街で生きている者はその名を聞くだけで恐怖心を感じるだろう。


 恐怖心を抱いてしまう特徴の1つとして体の大きさがあげられる。


 彼の身長はこの世界で暮らす男性の平均身長170cmの3倍近い身長があり、体も太く丸く大きい。彼が歩くたびに地響きが起き、綺麗に咲いた桜の木は何歩か歩いただけで、散ってしまう。


 そんな巨人とも言える男に誰が歯向かおうと思うのか。


 常に全身甲冑に身を覆い、決して顔を見せない。何もかもが謎に包まれており、その正体を知る者はいない。側近の人間すら何も知らない。内部で働く一部の人は、本当に彼が人間なのか信じがたいと思う者も。


 加えて、ただの図体がでかいだけで、戦いには優れていないのではないかという声も少しながら上がっている。


 しかし、その実力は本物。特注の甲冑で身を守り傷一つ付かない防御力と、巨体から生み出されるパワーで、ブラックファングの悪事を止めようと挑んだ冒険者たちを何人も血祭りにあげてきた。彼と戦った者は肉片しか残らず原型など留めないという。


 見た目通りのパワータイプといった感じだ。


 何もかもが謎に包まれている、それが『ゴルデリック』という男。


 彼自身を知っているの、ゴルデリック本人のみだ。



 


 そして一ノ瀬組のトップと記憶をなくした青年は、満を持して彼と対峙することになる。

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