〜異世界魔物大図鑑〜転生したら魔物使いとかいう職業になってしまった俺…とりあえずこの世界の事は何にも知らないので魔物を育てながら図鑑的なモノを作る事にしました
百七話 再戦!ギガントトロール! その2
百七話 再戦!ギガントトロール! その2
簡単なあらすじ『ルーちゃんとギガントトロールは互いに動きません……というか、動けません……』
さて、どうするべきか……この状況。
ルーとギガントトロールは互いの間合いギリギリくらいだと思われる距離を保ったまま動けずにいる。
しかも、相手側はそれを全く崩そうとしない。
以前、自分から攻撃しまくっていたせいでその隙をルーに突かれてしまったから警戒しているのだろう。なので股下に潜り込む事は難しそうだ。
ならば、今こそアレを使うべきであろう。
いや、むしろ今使わずしていつ使うと言うのだ。
そう思い、俺は注意しながらも彼女に攻撃の指示を出す事にした。
「ルー、〝あの〟攻撃だ!接近戦に持ち込むぞ!」
その指示が耳に届いたルーはギガントトロールに素早く接近し、至近距離での攻撃を狙う。
……のだと相手に勘違いさせる。
「しゃがめバフィ!」
すると、それを見たロフターが指示を出し、ギガントトロールはすぐさま『例の構え』をした。
「ギリギリまで引きつけて、それで彼女を捕まえるんだ!それさえ出来ればもう勝ったようなもの……でも怪我だけはさせるなよ!」
続けて彼はそう言う。
なるほど、アイツそんな事を考えていたのか。
また、その声は俺にも全て聞こえてしまうくらいの大声だった。
まあ、今やルーとギガントトロールとの距離は2mも無い……
そこまで近付いてしまった彼女はもう逃げられないと踏んで作戦を全て奴に告げたのだろう。ロフターは作戦が筒抜けになる事よりも、それがより正確に実行される事を選んだのだ。
そして、そこからも分かるだろうが……小僧は自身の発言通りもう勝った気でいるらしい。どうやらすぐに油断し、誤った判断をしてしまう癖(?)は抜けていないようだ。
最初に会った時もそうだった。
あの時は俺の顔を見ただけで勝った気になってこの野郎……まあそれは良いとして。
良かったなロフター。
また一つ学ぶ事が出来るぞ……そんな事ばかりしていては命取りになるとな!
まあ本当に命までは取らないけれども。
とにかく、今が頃合いだと考えた俺はルーに〝あの攻撃〟をするよう指示した。
「今だルー!〝打つやつ〟をするんだ!」
(ちなみに……本当は『魔砲』という技名にしたかったのだが、それだと相手にすぐバレてしまうだろうからこのような本当そのまんまのダサいどころではない名前にしているのだ。
だからそう、毎回言っているような気もするが俺のネーミングセンスが壊滅的なワケではないんだぞ?)
俺の声に応え、ルーは片膝を付いて両腕を広げているギガントトロールの少し前で立ち止まった。
緑の巨人は相手が予測していたものとは違う行動をしたせいか、驚いたような表情で硬直している。
そんなギガントトロールを前にしてルーは手早く体を捻って魔力を手先に集中させ、それを前方に向けて解き放った……
が、その大きさは線香花火程しかなく、しかもそれは相手へと届く前に地面に落下してしまったのだった。
……軽率だったな。
流石に、昨日覚えた技を実戦で使うというのは……
「…………」
シーン。
擬態語であるはずのそんな音が、本当に聞こえてきそうな程会場が静まり返っている。
ルーの線香花火を目撃した者達、全てが沈黙してしまっているからだ。別にこれは芸とかではないんだからそんなリアクションはやめてあげて欲しい。
俺は持ちネタ(?)がスベって傷付いてはいないかと心配してルーに目を遣る。
彼女は忙しなく首を動かし、キョロキョロしていた。
可哀想に、やはり動揺してしまっているようだ。
……が、それはどうやら『周囲の音が突然聞こえなくなった』事に対して驚いているだけのようであり、前述したような理由でそうしているワケではないみたいだ。(当たり前だけどな)
彼女の『え、何!?』とでも言いたげな顔でそれはすぐに分かる。
俺は安心……すると同時に現在の状況を思い出し、ルーに急いで指示を出した。
「ルー!元の位置に戻るんだ!」
俺がそう叫ぶと困り顔のルーはすぐに後退を始める……が、彼女は敵に背中を見せながらそれをしてしまっていた。
いくらなんでも危険過ぎる。今攻撃されれば流石の彼女でもそれを躱す事は出来ないだろう。
そう思い、俺はすぐさま彼女に……
「ルー!ダメだ
「バ、バフィ今だ!ルーさんを捕まえろ!」
その事を注意しようとしたが、正気を取り戻した(?)ロフターがギガントトロールに叫んだ事により俺の声は彼女の耳には届かなかった。
無防備にも背を向けている彼女へと巨人の大木のような腕が迫る。
これはマズい。
早く何とかしなければ……
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