八十一話 それから……
簡単なあらすじ『とりあえず、色々と終わりました……皆無事に再開出来て良かったね』
俺は今自宅にいる。
そこでエリマの事とか、おザキ様の事とか、彼から聞いたアトラン族と儀式の事とか……まあ色々と忘れないように書き記している。
そして、横にはアルワヒネがいる。
コイツは俺達が想像以上に家を空けてしまい、寂しくて仕方がなかったようだ。
まあ、それは俺達だって勿論、予想外だったのだが。
ちなみに、くっ付くのは誰でも良かったらしい。
何せ、この子は朝方まではコルリスにベッタリだったが、彼女がジェリアと祝勝会をすると言い、街へと出掛けてしまった瞬間にコレなのだからな。そんな事はすぐに分かると言うものだ。(ただ、祝勝会はもう既に済んでいるのだが……今回は集会所兼酒場にて改めて行われるのだそうだ)
(もう一つちなみに言うと俺は戦闘に参加してないからと言う理由で置き去り(?)にされ、今回の祝勝会には不参加となっている)
そして、魔物達も殆ど彼女について行ってしまった。
だから今家に取り残されている俺とアルワヒネは、これくらいしかやる事がないのである。(あとエリマもいるが、彼は庭で寝ている)
……それと、もう気付いているだろうが。
そう、今は。
あれから数日が経過している。
あれからの事を話しておくとしようか。
別に、誰にというワケでもないが。
まず最初に言うと、サチエは町の人々が気絶しない程度の場所にまで彼を運び届けたおザキ様と、そこでバトンタッチして町まで彼を背負って行ったジェリアのお陰で無事に治療を受ける事が出来たそうだ。
それから少しして、俺達も町へと戻った……が。
迎えてくれたダマレイに、既にそこにいたジェリア&俺達はその帰還を大変喜ばれ、彼の家でこれでもかと言う程の歓待を受けた。
そして、何故だか他のアトラン族の者達も幸福に満ち溢れているような……とにかくそんな様子で興奮が収まらないらしく、町全体がちょっとしたお祭り騒ぎのようになっていた。
(実際、何やら外で皆ドタバタとしていたし、本当にお祭りでもしていたのかもしれない)
だが、それを見た俺の頭には疑問が浮かんでいた。
というか、脳内は殆ど疑問で占められていた。
その疑問とは『俺達が戻っただけでそこまで喜ぶものか?』というものだ。
……いや。
もしかすると彼等は単にサチエの帰還を喜んでいただけなのかもしれない。(ダマレイさんは間違いなくそうだった)
それがちょっとオーバーなリアクションであったとしても、そう考えるのが自然だろう。
だがそれでも、俺達まで歓待を受ける理由が全く分からない。むしろ傷だらけで帰って来た一人の仲間と、その他大勢の部外者を見れば「あいつらがやったのか!?」と誤解され、良くて冷遇、悪くて一族から総攻撃を受けてもおかしくはないはずだ。
……とか暫くの間思っていたが。
ダマレイさんの話で漸く彼等一族の行動が理解出来た。
何でも、俺のいない間におザキ様がこの町にやって来たらしく、それで今までに一度として無い守り神様の訪問に皆大喜びしていたのだと言う。
……加えてそこに『サチエが無事(?)に戻って来た』という更に喜ぶべき事柄が増えたのがきっかけとなり、彼等はあのようなお祭り騒ぎ状態となっていたんだそうだ。
(ちなみにその時はやっぱりほぼ全員気絶していたようだが、唯一途中まで意識のあったダマレイさんがそれを皆に話した事で、彼等も守り神の来訪を知ったようだ)
とまあそのような話を聞いて疑問が解け、安心した俺は彼等の持て成しを素直に受け取り、感謝する事が出来るようになった。
そして、その後俺達は族長宅で一泊までさせてもらってから我が家へと帰って来た……といった感じである。
ちなみに、サチエは翌朝には意識を取り戻した。
彼は俺達の事をとても心配してくれていたので、こちらも彼が助けに来てくれた事に対して何度も礼を言った。
そして回復した彼、それとコルリス達から当時の話を聞いた俺はその時になって初めて彼等の行動、町の様子等の事を知ったのだった。
……やはり皆には大変な思いをさせてしまったのだと言う事も。
この埋め合わせは必ずしなければならないだろう……まあとりあえず、これが事の顛末だ。
あ。それともう一つ。
帰りしな、おザキ様からの伝言をジェリアから聞かされたのだった。
どうやら彼は「またいつでも来ると良い。今回出来なかった話をしよう。また、その時はエリマを連れて来てくれ」みたいな事を言っていたらしい。
それを聞いた俺は、何故エリマを同行させるのかは分からなかったが……とりあえずその時はそうさせてもらう事にした。
まあそこら辺の魔物は強いし、怖いし……どうせ連れて行くと思うけどな。
さて、これで本当に終わりだ。
もう完全に討伐対象が蚊帳の外みたいになってしまっている、『ザキ地方オーク討伐作戦(終盤)』のお話は。
ふぅ……
少し疲れた。
物書きをしながら回想にふけっていたせいだろうか。
いや、単純に長い間こうしていたからかもしれない。アルワヒネなんてすっかり俺の横で眠ってしまっているんだからな。
……じゃあ俺も、お昼寝タイムとさせてもらおうか。
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