クボタさんの魔物図鑑 その98

No.120 カイドウオ

魔水類カイドウオ科


体長50〜60cm

体重5.2〜6.8kg


能力値(野生下での平均値)

『力』120〜150

『魔力』0

『機動力』680〜700


討伐依頼受諾可能最低ランク

F


・ロシバ地方、水深200m以深の水中に生息。

・街の魚屋で発見。これも結構気持ち悪い方の魔物なので、結構安かった。


俺の元いた世界ならばコイツは深海魚となるだろう。カイドウオはそれくらい深い所に住んでいる魔物なのだ。


カイドウオ最大の特徴は、何と言っても『口周りの皮膚が回転する』事であろう。


どう説明したら良いのか悩む所だが……コイツは口先から口の中、くらいまでの部分が先程も言った通りくるくると回転するのだ。


この説明だけではそうする意味や理由が全く分からないと思うが、どうやらこれには『餌でない物の誤飲を防ぐ』、『その場の水を攪拌し、餌となる微生物達を口元へと強制的に移動させる』と言ったような目的があるらしい。


あと、この口で他の魔物から一部だけを食い千切る事もあるようで、コイツと同じくらいの水深に生息している魔物にはたまにスプーンで掬ったような傷が付いている時があるそうだ。


それとこのカイドウオ、回転して出てくる口の裏はなんと水晶玉のようになっている。


つまり、塞がっているのだ。

これでは食べ物を胃に送り込めない……


事はない。何故ならばコイツは口を回転させると同時に餌を胃へと流し込む事が出来るのだから。


だから逆に言えば、カイドウオは嫌でもそのくるくるを一生続けなければならないのだ。


ちなみに裏にあるこの水晶玉、これにもちゃんと使い道がある。


これを露出させると光を集めやすくなるので、それと目を使い獲物、敵等の位置を光の少ない場所でも察知出来るのだ。


そう、コイツにとってこれは『第三の眼球』のようなものであり、しかも第一、第二よりも遥かに大切な代物なのである。


一応言っておくと、そんな第三の目と呼べるものをくるくるくるくる回しても酔う事はないらしい。


なのでコイツは俺達人間が今こうしている間にも口先を回転させ続け、それを自由に使い分けながら深海にて逞しく生きているのだ……

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る