クボタさんの魔物図鑑 その94

No.116 フェンリルクンピラ

魔獣類クンピラ科


体長2〜2.3m

体重200〜230kg


能力値(野生下での平均値)

『力』600〜700

『魔力』0

『機動力』880〜1000


討伐依頼受諾可能最低ランク

F(E推奨)


・ロシバ地方に生息。ザキ地方にもたまに現れるらしい。

・同地方の定期便を動かす兄ちゃんからこの魔物の話を聞いた。彼と飲みに行き、酔いも回ってきた頃、兄ちゃんは好きな女性に交際を申し込む時に渡すプレゼントは何が良いかと俺に相談してきた。そう聞かれた俺は彼の妹の話を思い出し『本が良いのでは?幸いこの街には良い本屋もあるし、あそこの店員に聞きながら選ぶと良い。』と答えておいた。


コイツは全身の八割程が体毛に覆われているクンピラ科の魔物だ。


だから名前にはあるがフェンリルはあんまり関係ない。ただのクンピラ科の魔物なのである。


あれ……?少し前にもこんな説明を入れた魔物がいたような……?


まあ良い、説明を続けよう。


コイツは日中を陸地で眠ったり、たまに川、池等に飛び込んで体毛ごと全身を丸洗いしたりして過ごす。


それ以外は特に何もしない。コイツらは夜行性の魔物なのだ。


それに、例え起きていたとしてもあまり移動し過ぎると陸地にて盾作り中の※1『タテゼオイ』や※2『オヨギクンピラ』とすぐに接触し、縄張り争いという名の喧嘩が始まってしまうのでコイツは寝ていて正解なのかもしれない。果報は寝て待てだ。


そうして夜になると、コイツらは行動を開始する。


ロシバ地方を動き回り、夢の中にいる生物達をそのまま永久にそこへと閉じ込めてしまうのだ。


つまりは、肉食性の魔物なのである。

しかも食欲は旺盛で、ザキ地方にまで足を運ぶ個体も少なくないと言う。


あと、一応忠告しておく。

もしも、もしも夜中にコイツと出会ったりしたら、遭遇したのが討伐可能なFランクや、一つ上のEランクの戦闘職でも絶対に戦わない方が良い。


フェンリルクンピラは夜目がきき、しかも急所が殆ど体毛に覆われているので、視界の悪い夜にちょこまかと動き回るコイツを倒す事はおろか、攻撃すらそのくらいの戦闘職には難しいからだ。


勿論、戦うのが魔物使いの操る魔物だったとしてもだ。


むしろコイツは敢えて体毛を噛みちぎり、頭上に放り投げたり相手の付近にそれを置いたりするような行動を取る事もあるため、『匂い』で敵の位置を判断するような魔物だとほぼ間違いなく返り討ちにされ、最悪コイツの胃袋に……という可能性も捨て切れない。


自分の大切な命を、魔物を守るためにも必ず覚えておこう。『夜にフェンリルクンピラとは戦ってはならない』とな。






注釈


※1 タテゼオイ 『クボタさんの魔物図鑑 その54』にて紹介


※2 オヨギクンピラ 『クボタさんの魔物図鑑 その67』にて紹介

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