クボタさんの魔物図鑑 その92
No.114 スカランガ
魔虫類タテムシ科
体長25.5〜27cm
体重1〜1.1kg
能力値(野生下での平均値)
『力』90〜100
『魔力』5〜200
『機動力』200〜220
討伐依頼受諾可能最低ランク
G(推定)
・我が国には生息していない。
・例の姉ちゃんが薦めてくれた本により存在を知った。あの兄ちゃんはこの子に用事があり偶然本屋へと立ち寄った時に、後に恋をする事となる女性と出会ったようだ。ちなみにその女性も姉ちゃんと同じく、大の本好きであるらしい。
コレ……実はなんと※1『エントマイラ』がそうなってしまう前の姿であるらしい。どうやら他国にはまだ生き残っていたようだ。
ちなみに気になるその姿は、やはりただのデカいコガネムシみたいなんだそうだ。
しかし、残念ながらコイツは他国でも相変わらず弱いらしく、同程度の体格を持つ魔物と交戦した場合等には捕食される事はあってもする姿は殆ど確認されておらず、そのせいで絶滅を危惧されている魔物の一つである。
確かに、オリジナルの方はアレの劣化版とも言えるような能力値をしているので、それも納得出来る。やはりコイツも寄生してもらった方が良いのかもしれない。
とは言え、本人も自身が弱い事を自覚しているのか、その行動は実に自衛的というか、保守的というか……とにかくそんな感じなのである。
スカランガは一応、飛べるはずなのだが殆どそうしないのだと言う。恐らく空へと逃げた所で捕食者との立ち位置が逆転するはずもなく、ただただ他の魔物達に発見されるリスクが高まるだけなのを知っているのだろう。
そうしてコイツはもそもそと地上にいる※2『ドコイル・ノカ』等の微生物ばかりを食べて生活している。
それ以外にやる事と言えば、外骨格を強化する事くらいだろうか。
いや、むしろスカランガは食事以外の時間、殆どそうしている。一度ひっくり返って背中に土、泥等を付けたり、木々に背中を擦り付ける事であえて傷を付け、外骨格が更に硬く成長するようそれを促したりするのだ。
しかもコイツは木々に体を擦り付けるとすぐまた背中に泥や土を付け始め、それを終えたらそそくさとその場を離れようとする。
そう、木々に密着する。それが意図せずともマーキングになってしまう事を、コイツらは知ってい……
るワケではないようで、どうやらこれは本能に刻まれている行動の一つであるらしい。
……まあそれが本能だろうが何だろうが、俺はコイツを素晴らしい魔物だと思う。
自分が生きるために出来る事を精一杯やっているのだ。なんと健気で、努力家な魔物なんだろう。皆もそう思わないか?
でも……その……しかしだな。
褒めた後で申し訳ないのだが……まあ良い、言ってしまおう。
そんな事したってどの道やられるみたいだから、あんまり意味はないんだけどな。
注釈
※1 エントマイラ 『クボタさんの魔物図鑑 その90』にて紹介
※2 ドコイル・ノカ 『クボタさんの魔物図鑑 その57』にて紹介
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