クボタさんの魔物図鑑 その37

No.58 イシクイドリ

魔鳥類クイドリ科


体長1.5〜1.7m

体重8〜9kg

翼幅2.5〜3m


能力値(野生下での平均値)

『力』400

『魔力』300

『機動力』650


討伐依頼受諾可能最低ランク

F(推奨E)


・現在の主な生息地はロシバ地方。

・プチ男の詫びの品探しをしていた時に立ち寄った道具屋でコイツから採れた『とあるもの』を売っていた事により存在を知った。ちなみに目玉商品だった。でもかなり高かった。


鷺の体格を良くしたような威圧感のある姿に、艶やかな触り心地を予想させる美しく透き通った羽や羽毛を持つ神々しさすら感じる魔物だ。


この魔物、実は元々ザキ地方に生息していたのだがある特徴が原因で乱獲されてしまい、それを逃げ延びた個体が現在ロシバ地方へと移り住んでいるのだ。


その原因である特徴とは、コイツらが宝石類を好んで体内に取り入れる事だ……もう乱獲された理由は分かっただろう?


イシクイドリは餌とはまた別に、輝く物や石等を見つけるとそれを丸呑みにする。よって装飾品を身に付けてコイツのいる地方へと足を運ぶのはオススメしない。


そしてその理由についてだが、胃袋の中にそういった物を入れておき、食べた物の消化を助ける歯の代わりとしているのだそうだ。


ちなみに、このように『胃石』を行う動物は意外と沢山いる。ただコイツにはそうする物への好みがあるというだけで別にそこまで珍しい事ではないのだ。


……最後にコイツがロシバ地方へと住み着くまでの歴史の話をしよう。


コイツはザキ地方で戦争が起きた時、戦死者達が身に付けていた光る物(それは武具の一部や腕時計のような物だったらしい)を求めて次々に戦場へと降り立ってしまったらしい。


そんな彼等を見た人々はイシクイドリの習性を知り、体内にあるだろう宝の山だけでなく、彼等に備わっている美しい羽や数人分の食事を一気に賄えるであろうその体躯にも価値を見出したのだ。


そうして乱獲が始まり、住処を失ったイシクイドリ達は逃げるようにロシバ地方へと移動していったのだと言う。


もう一つだけ言わせてもらうと、コイツらは確かに乱獲されてしまった可哀想な魔物ではあるのだが、だからと言ってそこまで弱い魔物ではない。


むしろ強靭なクチバシや爪で多くの人間の命を奪ったのだそうだ。


ちなみに、彼等の持つそういった武器は異常な程硬質化しているらしい。そしてこれは、どうやら呑み込んだ宝石類の栄養素(名称は絶対に違うだろうが、他に何と言ったら良いのか分からない)がそうさせているようだ。


……真似するのはやめておいた方が良い。コイツらは魔物だからこうなれるのだ。人間がやったら確実に救急車のお世話になってしまうだろう。

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