彼を考え大事件
あの時、どうしてあんなにも彼……弥登君が言った言葉に憎悪がこもっていたのか。今となっても分からない。
どうしてそうなったか?
何の出来事が貴方に降り注いだのか?
「……聞きたい。けど……」
きっと、答えを聞けば弥登君は答えてくれると思います。弥登君きっと仕方ないと苦笑しながら教えてくれるでしょう。だけど、それはダメです。
『本当に沢山の女子のお悩みを聞いては案を出したりしたもんだからこう呼ばれていたわ。高校階段25条……………恋のキューピットとね。』
『『高校階段25条!?』』
彼は高校での姿と職場での姿は違いすぎて誰にも気づかせないように彼はしている。それだけ一瞬で感情を変える事が出来る彼が隠しきれていなかった。それ程……辛くて痛く、そして大きな事なんでしょう。今の私にはそれを背負う覚悟がありません。それともう1つ。
『あの時はびっくりしたわ……まさか他校の学校までも相談に来たりする人もおったのよ?その人達の話を聞いたり、事態の収集を収め切った頃にはもう、卒業式だったわ……笑ってもいいのよ?』
『そんなことしませんよ!俺は先輩がすごいって思いました。』
『僕もです。先輩はそのことを誇ってもいいと思いますよ。』
『……ありがと。』
今日、彼はスピーチで言っていました。
『え~この会社を設立してから2年が過ぎました』
今の私達は高校生1年生で、星晶高校に入って1年生が終わったばっかです。そして、そこから逆算すると弥登君は中学2年せいの時に設立したことになります。その頃に何かあった場合、彼のトラウマになるのかも知れない。そう思うと、怖くて聞き出せませんでした。
「…………沢山彼について知りましょう。」
これから知っていけばいい。それだけの時間が私にはありますから。明日直ぐに会えなくなるという訳でも無いのだから。
「……………?」
そう考えながら水の飲みましたが……なんでしょう?お水のはずなのに、少しだけ水が甘く感じたのですが………?
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(弥登視点)
午後9時、楽しかった忘年会もいよいよ終わりに差し掛かった時間。弥登は電話を終えて、会場へと足を向けていた。その足取りは重く、戻りたくない気持ちがありありと伝わってくる。
先程のプレゼントの件では弥登は詩音さんに同行言うつもりは無かった。むしろ七海に感謝しているくらいだ。
詩音さんは 社内では皆に感謝されていているのを知っている。逆に言えば、彼女はきっとそれだけ疲れていると言えるだろう。そのため詩音さんに労いで何かあげようとするが彼女からは『疲れてないから大丈夫ですよ。』や『社員として当たり前ですから』と言われてしまう。つまり、今回のプレゼントは恩返しができた、嬉しい事だったのだが……
「プレゼントゲームの内容にしてもだし景品としての内容としてもな~……詩音さんに何吹き込んだんだよ七海。」
問題のプレゼントのコソコソ話はきっとろくでもない内容なんだろうな……と思いながら会場のドアを開けると、目の前に詩音さんがいた。目の前である。いきなりのことに考えていたセリフが飛んでしまった弥登がおずおず尋ねる。
「……えっと、詩音さん?」
「………」
返事が無い、ただの屍の様だ。
そんな失礼な事考えていれば徐々に詩音の体が倒れて来て……って?
「し、詩音さん!?どうしたんですか!?詩音さん!?」
倒れてきた詩音さんの体を支えながら周りを気にせず、叫ぶ。
詩音さんの身に何かあったのか?それを確かめる一心で詩音さんに叫ぶ弥登だったが、彼女の顔が赤い事に気づくのに遅く、いつの間にか詩音さんに抱きつかれていた。
「み~の~り~さ~ん。えへへ…!」
「おう、どした詩音さん?いつもだったら誰にもこんなにベタベタくっつかない完璧防御なのに今日は異世界転生のに性格が変わってますよ?」
「む~、馬鹿にしてませんか?」
「馬鹿にはしていませんけどいつもよりも距離が近いのでドキドキしてるので離れてもらってもいいですかね?」
「そーですかーえへへ。」
「誰か助けて!?」
現在進行形で精神がゴリゴリ削れ切られる前に周りに助けを求めるが、誰も助けに来てくれない。と言うよりかはこの状況を楽しんでるようだ。
『いいじゃないっすか社長!自分的にはそのまま爆発して欲しいですね! 』
「うるせぇ!早く助けにこんかい!」
『いいかい後輩ちゃん?ああゆう出来事が起きた場合は社長を助けたりはせずにその状況を見て楽しむ事が大切だよ。』
『成程!勉強になります。』
「いや助けて?遠くから見て楽しそうにしてないで?普通それは逆だからね?社長である僕が君達のピュアッピュアな恋愛様子を見る方だからね?そんなこと教えなくていいから早く助けてくれない?」
『そんなに抱きつかれるのが嫌なのか!?』
「そんなわけないけどモラル的にアウトだよ!いいからはよ助けろや!給料ひ━━?」
社員と口喧嘩をしている間に寝てしまった詩音さんには当たってはいけない所まで当たってしまっている為、椅子やベンチで横にしてあげようと一人でだきかかえようとした時に気づいた。詩音さんの顔が赤い理由に気づいた。
きっと偶然の結果だったのだろう。だとしても原因に気づいた弥登としては叫ばすにいられなかった。
「誰だ!?詩音さんの近くにお酒置いといた馬鹿野郎な奴は!?」
怒っている事はわかっても、詩音さんを抱えている今の弥登が喚いても、誰もビビらなかったそうな。
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