詩音と呼んで欲しいです。

『『『『やったー!!!!』』』』


 騒ぐ社員、響く騒音そう言い表せれる程にうるさかった。そしてその中心となっている春川さんは状況を掴めないままだった。全く、騒ぐのは辞めてほしい。もう8時頃であり、良い子の子供はもう寝る時間だから。あと耳が痛い。


 お試し感覚、または社員の希望となった春川さんと僕とののWスピード対決。結果は春川さんが勝者となった。

 終始圧倒していたはずだったが、最後で自分のカードが何もでず、逆に春川さんはどんどん出してって逆転負けになった。このときに限っては、勝利の女神は微笑まなかった。ツライ。


『流石詩音ちゃん!』

『あの社長を倒しちゃうなんて……』

「社長も詩音ちゃんにも勝てないっんすよ……」

「透社員?」

「ナンデモナイッスヨ!」


 嘘をつくなよ、透。お前棒読みじゃねえか。他の奴らも勝てなかったからってナンデモカンデモ言いやがって……。今は11月15日か。


「全く……それじゃあ、忘年会である11月27日でいいか?ってかそうするからな。その日は土曜日で休みだが、5時に集合だからな。今日は解散。残るのは許さんからな。南先生は残ろうか。今回の件について話がある。」


「私〜このあと用事があるので……」

「社長、南さんここに置いておきますね!」「透さん!?」

『お先に失礼しますね〜!』

『南さん、よろしくお願いします!』


 声を合図に帰る社員達、見送っていると透社員からくるニヤニヤに背中を叩き返しておいた。全部見透かしたような顔しやがって…………


「それじゃあ、南先生話し合いをしましょうか?」

「………はぃ。」


 その後南先生は約30分の説教が入るのだった。








 ―――――――――――――――――――――――


 9時、会社を出た、僕と七海、春川さんは帰り道にある事について、七海と考えていた。



「それで、忘年会のアイデアも終わったけど……春川さんに対しての利益がないんだよね……。」


「え?」

「だって、皆は春川さんがWスピード勝ってくれたお陰で報酬?であってるのかな、を貰えてるけど春川さんはそこまで関係ないし……どうしましょうかね。」


 結果として社員達は食事にありつけて、春川さんもありつけたのだが彼女が求めた訳じゃない。というわけで料理に変わる別の案を考えてるがなにも思いつかない現状だった。


「私は別に無くても良いですよ、その……弥登君に勝てて嬉しかったですし、」

「いいからいいから何か叶えて貰いなよ、詩音ちゃん!お兄ちゃんが何か与える事なんて早々ないんだからさ。」


 遠慮しようとする春川さんはだったが、七海がフォロー。会社でも、社員達の感謝の言葉に遠慮してることが多い為、ここでなにか返しておきたかったので心の中で七海に感謝をしながら、春川さんに声をかける。


「春川さんは何かない?叶えられる事かは判断するけど……」


「…………じゃあ、1つあります。」

 考え込んでいた春川さんは何かを考え、決意したのか顔をあげてこちらを見る。少し頬が赤く染まっているのに気づいていたが、その後の言葉に驚きを隠せなかった。



「よ、呼び方を、変えて欲しいです……。」


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