殺し合い(Wスピード)の勝者
それは、戦いではなかった。
手札にあるカードを武器とした、いわば殺し合いの世界。
社長が1.2.3.とカードを出せば、妹さんが2を出して4を止める。
七海が9のカードを出せば、弥登が8.7.6.のカードで盤面を奪ったり。
回りで見ていた社員達は著しく回る盤面に追いつくのに精一杯だった。
そんな戦いも、いつかは終わる。そこに戦いがある限り、どんな形でも、終わりを向かえる。そして、そこには必ず、勝者と敗者が存在するのだ。って感じで良いですかね?
――社員、透のインタビュー
・・・・
「恩返しはまだまだ先だな。七海」
「……そうですね。お兄ちゃん。」
いきなり始まったWスピード対決。妹、七海どの勝負の結果、勝者となったのは兄である僕だった。
勝負の場面でも何回か危ない場面があったが、全てリカバリーし、逆に妨害できたことにより勝つことができた。もう少し強くなってたらどうなるかは分からなかった。
「………まだまだ手が単純だな。もっとカードをばらまいて読ませないようにしないと。」
「………勝てると思ったのに。まだまだ追いつけないか……」
いやいやけっこう危なかったけどね?終盤なんてドキドキだったよ?
唸る表情から悔しさが滲み出している七海にヒヤヒヤしてる心を抑えながら、顔を隣に向けて、いつの間にか座っている人に向ける。
「えっと……見てて面白かったですか?春川さんは。」
「あ、えっと……はい。弥登君が滅多にしない表情していたので……失礼でしたか?」
「……………大丈夫ですよ。」
ナンデソンナコトイウノデスカ?
春川さんによるいきなりの言葉に思わずトランプを仕切るスピードが速くなるのを七海に見られ、ニヤニヤされてる。とても失礼である。普通はキョドる所を抑えきったのだから。
「そうだ、春川さんも一回やってみる?もしかしたら運よく勝てるかもしれないよ?」
「私…ですか?」
『弱いものいじめ反対ー!』
『社長は鬼か〜!』
『社長の恥晒し!』
「でも春川さんが勝てればおつまみ作ってくれることになるね。お兄ちゃん」
「え?あぁうん、そうだよ。」
『春川ちゃん頑張ってー!!』
『社長に負けるな!!』
『私達につまみを〜』
見事なまでの手のひら返し。その声に逆らう事が出来ず、春川さんは半ば強制的に戦いを承認をすることになってしまった。とは言ってもWスピードはれっきとした勝負事。相手がさっきまでルールを知らなかった相手でも全ての技をもち、容赦なく叩きに行くのであった。負けたけど。
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