録音機は懐に入れとけ(?)
「春川さんって少し変わった?」
「俺に聞くなよ。……勘違いじゃないか?」
翌日の昼放課。
食堂で弁当を食べながら話してくる親友?達也が放つ言葉に冷や汗をたらした。
「なんていうのかな?こう、春川さんの回りで状況が変わった感じかな?そんな気がする。弥登だってそう思うだろ。」
「今の言葉、録音しました。」
「何でもかんでもすぐ報告しようとするの辞めない!?後、なんで録音機持ってるんだよ!」
「なんでもいいだろ。別に、それよりも彼女さんより春川さんを見てる君はなんでそんな話を?」
「言い方がどうかと思いますー。」
仕方ないだろ、社長何だから何かあった時のために持っている、なんて。口が割れても言えないし。言ったところで信じて貰えないだろうし。
「今の話は……弁当だな。どうやら春川さんの弁当がとても美味しそうだと女子達で盛り上がってるっぽい。具材がキレイとかなんとか。」
「ほーん………ストーカー?」
「あちらさんの声がデカくて聞こえるだけ。だからそんなこと言われても困る。」
「そうか……変なこと言ったら録音してやろうとしたのに」
「ふざけなくてよかった………!」
不満に思いながら、トンカツを一口………良く出来ている。自分が作ったから当たり前だけど。
「…………なんだよ。」
「いや、トンカツ美味そうだなと。いつもなら食堂の食べてるのに弁当だと思って、びっくりしただけ。」
「その予定だったけど、妹がこっちに泊まりに来てな。トンカツ作ったら余ったから弁当にした。」
昨日は妹のリクエストで主婦が作るのを嫌う揚げ物、上位のトンカツにしたが、『弁当にもトンカツ入れて!』と駄々こねられ、入れるなら自分のも作るかと思い、弁当にした。そのせいで寝るのが遅くなった。眠い。
「ふーん……なぁ、一切れ頂戴。」
「ん、やるよ」
「へへ、ありがと。それじゃ……うま!サクサクじゃん。こんなのよく作れるな!?」
「一通り覚えたからな。将来役に立つと思って。」
嘘だけど。
「将来って………お嫁さんに?」
「さっきの録音内容、彼女さんに送ったといたから。」
「何してくれとんの!?」
あーだこーだ嘆いている達也を無視ながら、残りの弁当を食べきるのだった。
少し騒がしかった昼放課も過ぎて、何事もなく学校が終わったが、会社ではそうは行かなくて………
「社長!勝負しましょう。内容はトランプのスピード。僕達が勝ったら、お酒のおつまみを作って下さい!」
「お前らいきなりどうした?」
部下に勝負を吹っかけられていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます