私が彼に雇われるまで (詩音視点)
「どうかしら、春川さん。……その様子だと、受けるみたいね。」
弥登君が部屋を出ていくのを見ていた南先生が
答えを聞いてくる。
「……そうですね。」
「不安にならなくてもいいわよ。あの子、弥登君なら言ったことは破らない人だからね。」
「……先生、私は、」
ここに来たときも説明を聞いたときも現実味が無かったし理解したけど、最初に思ったのは
「私は……解放されるんですか?あの苦しみから……」
それだけはちゃんと分かって、助かるのだと。安心しきってしまうと泣きそうになりぐっと抑える。
「えぇ、大丈夫。彼ならやってくれる。………なんならそのまま慰めて貰ったら?」
「茶化さないでください!恥ずかしいですから!」
「…………2人ならきっと良い関係になれそうなのに…………そうだ。」
手をあおぎ熱を下げようとしてる春川には聞こえなかった。そのため何かを企んでいるのにも気づいていなかった。
「私も少し用事で離れるわねー!」
「え、あっ、わかりました………」
そこにはもう、南先生の姿はいなかった。
―――――――――――――――――――――――
マネージャー 伊藤南自分の席に座り、全力でパソコンを打ち込み始める。その姿は誰が見ても速すぎるほどだがその間でも、彼女は考える。
(社長はまだ過去の自分が鎖になっている。その鎖を彼女なら、必ず……)
「社長、上手くいくといいですね……」
「…………あいつ、何急いでいるんだ?」
その様子を弥登は訝しんだが疑うのを辞めて、戻ることにした。
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