会社 カエリア

 学校から出て徒歩30分。僕は春川さんと一緒にある1つの会社を訪れていた。


「こちらです。どうぞ入って下さい。」


「…ここに、ですか?とても豪華なのですけど…」


 春川さんが驚いている。それもそのはず、春川じゃなく他の人達が見ても豪華と言える程に会社は大きかった。二階までしかないけど。


「本当にここであっているのですか?間違いではないのですか?」


「本当にここですよ。こんなに豪華にした覚えは無いのですが」


 パッと見ではなんてことない会社だが、看板には大きな文字で『カエリア』と書かれており、文字の周りには様々な装飾が張り巡らされている。いやどうしてこうなってるんだよ。ここはホストじゃないんだけど………


「本当にはいってもいいのでしょうか……」


「いいんで……ハァ。いいから早く行くぞ。」

「あ、ちょっと!」


 なかなか入らない春川さんの手を取り強引に入っていく。社内はきちんと掃除されており、清潔感があった。ちゃんと掃除はしてるみたいだな。

「駄目ですよ弥登君!勝手に入っては」

「ここは俺の会社なので。いいんですよ」

「……………え?」


 理解が及ばないのか春川さんが固まった。その間に腕を引っ張り、社員の前を通ることにした。


『お疲れさまです。………彼女だ!』

「いい歳して何言ってるんだよお前。僕より年上だろう?」

『すいません、社長が女のコ連れてることなんてありえないことだから……』

「余計な事を言うな。……仕事は終わったのか?」

『ええ、というか仕事が少ないんですよ。もっと作るべきでは?』

「このあとで忙しくてなる。今のうちに休んどけ。」

『了解です。お前ら!今日はもう帰っていいぞ!それでは社長、また明日。』

「お疲れ。明日も宜しく頼むよ」


 社員と話している最中にも春川さんは理解が追いついていないのか何も喋らなかった。








 春川さんを連れてエレベーターに乗り、2階へ。

 部屋に入り、テーブルに囲まれた椅子に座らして、自分の椅子へと座る。


「改めて自己紹介をしよう。僕の名前は音乃弥登。

 こんな名前だが男であり遅刻魔であり、この会社

『カエリア』の社長だ。聞きたいことは何かあるかな?それよりも今は、落ち着く時間が必要かな?」


「それは大丈夫です。もう落ちついたので。」

「それは良かった。」


 めんどくさい理由で彼女を引っ張り、中に入れたがもうなれたらしい。彼女が質問してくる。


「質問なんですが、本当に社長さんなんですか?」


 まだ落ち着いていなかった。ため息を漏らしながら話そうとしたがドアを叩かれたので話を変えることにした。


「話す前にもう一つ話しとこう。入っていいぞ」 「失礼します。

 そう言って入って来た人に春川さんは驚いていた。それも仕方がないだろう。


「紹介します。マネージャーのです。」

「宜しくね。春川さん」


 さっきまでお手伝いをしていた南先生がそこにはいたのだから。

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