かたわれ
SNSで募る、引っかかった人と接触を試みる、何かしっくりこないのでその後連絡を絶つ。
性的に煽るような文章と絵文字、アカウントの停止を食らわない程度に露出をして、連絡を待つ。
これが寝る前のナイトルーティーン。
ベッドに仰向けに寝ながら、天井を眺める。
へその下に湧いた不快感で、嫌な味のつばが出た。
私はずっと探している。
何かしっくりくる人を。
身体の相性というよりも、一緒にいてしっくりくる人を探している。
自分の知的好奇心を満たす相手が欲しい。欲しくてたまらない。
まあ、現状現れていないので、同じことを繰り返す。
昨日も今日も。
きっと明日も明後日も。
高望みなのだろうか。
自分にしっくりくる相手がいないということは贅沢な悩みなのだろうか。
譲歩してまで”恋人”でいる理由が私にはわからない。
かつて"恋人をした"相手に言われた言葉が、頭に響いた。
「もう少し我慢して一緒にいたら、わかるものがあるよ。」
―それはただの執着であって、愛着ではない。
と言いかけて止めた。そうだねと言って、その後は会わなかった。
いや、会えなかったという方が正しい。
私はあなたに似合わない。
SNSをスクロールしながら、他の人も私と同じなのだろうかと考える。
めくれどめくれど、個性のない、肌色の同じような投稿。
四角い枠組みの中に、代替品のように存在する、彼らと私は似て非なる存在。
私は”そういう人たち”に対して、自分からは決して連絡を取らない。
理由は一つ、興味がないから。
自分から連絡を取っていたら、ここへは帰ってこないのに。
今日はもう少し、沼地を散歩してから眠りにつくことにした。
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