コンビニ

 レジ打ち、品出し、エトセトラ。マルチタスクを流れ作業としてこなしていると、すぐに終業時間になっている。

 人生もこんな風に過ぎていって、気づいたら老人になってしまうのだろうか。

 最近そういう想像をよくする。

 ミライが見える。

 毎日目の前のタスクをこなしているうちに朝が来る。


 深夜のコンビニには、色んな人が来る。

 しかし、血色が”正常”なひとはそう多くない。

 土気色の顔をしたサラリーマン、土砂崩れと見間違うほどメイクが崩壊したOL、赤ら顔の学生、小銭を握りしめてチキンを買っていく子供。

 これらの人の共通項は、今日を生きることに精一杯な人だ。

 足取りからそれがにじみ出て、白光りする床の上に漏れ出していく。

 私は早朝の清掃時に、そのどす黒い何かを拭うことを想像する。

 もちろん清掃前後、床は白いままだけど、純白には決してならない。

 店の中が年中少し油臭いのとおんなじことだ。


―ピロピローン


「いらっしゃーませー。」


 入店音が響き、私は反射的に愛想をした。

 入ってきたその客は、雑誌コーナーを右に曲がった。 一直線にアルコールコーナーへ向かっているのだろう。 そして自社ブランドの一番安くてアルコール度数の高い発泡酒を手に取り、真っすぐにレジに来て、タバコを注文する。

 私はそれをレジに遠し、袋がいるか、ポイントカードがあるかを聞く。

 あとは自動支払機によろしくして、客が後ろを向いたら愛想をする。

 その繰り返しだ。 

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