第10話 攻撃スキルが強すぎぃ!
──エクストラスキル『竜の血脈』の保持者が自らを強化する方法は2つです。1つ、強き者を倒し実績を解放する。2つ、竜と新たな契約を結ぶです。
──竜そのものは滅亡してる設定だから、1つ目を狙うしかないってわけだ。ペトロみたいな奴をぶっとばせばいいなら楽勝だぜ!ククククク。
──……強き者の詳しい内容は詳しくこちらで教えられません。エクストラモードを進めていく中で判明していくでしょう。
──分かった。ところでエクストラモードに関して聞きたいことが100個ぐらいあるんだが……
──エクストラスキル以外の情報については教えられません。それに……
ナビの声に呆れの色を感じる。
──無属性のアビリティを使う時は十分に注意してください。今回に限りクレーターを1キロに縮小し、目撃者の記憶や情緒も操作しました。こちらも説明が足りなかったので特別措置です。
──……ぐぬぬ、致し方ない。
──あと、今夜は高熱にうなされますので注意してください。こちらで10分の1の威力に修正したとはいえ、消耗が激しい技です。
──ガッデム!
ナビの気配が消えたので、俺は改めて演習場に目をやる。
突如演習場に出現した直径1キロのクレーターを一目見ようと人だかりができていた。
「不発弾の爆発かな?ヴラス帝国のやつら、仕事が雑だし」
「しかし飛び散った土砂はどこに行ったのでしょう。深さも100メートルほどあるしすさまじい量のはずですが」
「こら!生徒はクレーターに近づかないように!しばらくこの区域は立ち入り禁止だ!」
明らかに異常な状況だが、ナビの介入によりみんな疑問に感じないらしい。
……バレたら退学もんだなこりゃ。
俺はステータスを表示し、改めて会得したスキルを確認する。
『
──竜の力の前には絆など無意味だ!
ゲームでは厨二病臭いセリフと共にレゼンが放つ即死技。
喰らったら即ゲームオーバーであるが、単体攻撃なので即全滅には至らない。
なので軽い気持ちで撃ってしまったのだが……
デ〇かと思ったらア〇テマでしたって感じだ。
10だと無属性だしな。
今の俺の力だと最大で直径10キロを消滅させられるらしい。
今後、力を強化できればもっと広げられるようだ。
「はーくしょん!あ、これ熱出るな夜に……ミラの看病を続けて受けられるからよしとするか」
ベッドに再び潜りこみ、俺は今後の方針について考える。
今のままでは『《殲滅》《アナイアレイション》』は使いづらい。
弱くはない、むしろ超強力だ。
だからこそ使いづらい。
1.恐らく全力で10キロ消し飛ばすと一発でぶっ倒れる。最悪死ぬかも。
2.なので1発は超強力だが後が続かない。敵が後続や援軍を連れてきたらアウト。
3.味方、民間人、ヒロインを巻き込んでしまう恐れもある。
強力すぎる力というのはかえって持て余すのだ。
現実世界なら核兵器がそれにあたる。
大国が湯水のような金をかけて核戦力を整備しても、それを使う機会は滅多にない。
完全に世界中を敵に回すし、欲しかった土地は荒廃するしで何もいいことがない。
というわけで、現実の戦場にいるのは歩兵、砲、戦車、航空機と100年近く変わらないメンツである。
……『お前が今から第二次ヴラス帝国に潜入して首脳陣を殲滅すればいいじゃん』って?
難しいんだなこれも。
この世界の秩序を構成する『5大国』は、核兵器に匹敵する兵器『竜の
文字通り、太古の昔に滅亡した竜の遺骸を利用した、無属性の戦略級魔導兵器だ。
一度起動すると、機能を停止するまであらゆるものを破壊し尽くし、最後に汚染物質『
『5大国』の1つである第二次ヴラス帝国は5000機ほど保有しており、使用条件は2つ。
1.国家が存亡の危機に瀕する
2.ヴラス連邦首脳陣のいずれかが殺害される。
いずれかの条件を満たした時、自動報復魔法『死の誘い』により全世界に『竜の遺骸』が解放される。
この設定はゲームにも反映されており、プレイヤーがストーリーを無視してヴラス連邦の領土奥深くに殴り込んだり、首脳陣暗殺プレイを行うと即発動。
バッドエンド666『ハルマゲドン』に突入し、世界は滅亡するってわけだ。
このバッドエンドを考えると、『キーウィ防衛戦』で『
ヴラス帝国軍が「スラヴァ王国が謎の強力な兵器を使用した。国家の滅亡に直結するのでこちらも相応の報復を行う」と逆ギレして『竜の遺骸』を持ち出しかねない。
今の俺では、厳重に隠された5000機の『竜の遺骸』をすべて破壊するのは不可能に近いし。
要するに、『竜の血脈』の存在は可能な限り秘匿される必要があるのだ。
ちっ。
少しはプレイヤーを気持ちよくさせる要素を用意させろよ。
『縛りがあった方が名作ゲームっぽいでしょ?』というクソゲー制作者にありがちな間違った意識の高さがうかがえるぜクソったれ。
「ククク……制作陣め。廃プレイヤーを舐めるなよ。こちとらお前らの作ったクソゲーに10000時間も付き合ってるんだ」
八方塞がりに見えるが、方法がないわけではない。
要するに『
敵に気づかれないようにこっそりと技を使い、敵を倒していく。
そうすれば第二次ヴラス帝国の奴らも文句を言えないだろう。
というわけで──、
ゲームの裏技を使おう!
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