第5話 宗二と春と千歳 休暇

 皮切村から出羽町―宗二達、祓い屋の拠点―の屋敷に戻ってきた宗二と春は千歳に報告をする。

「ご苦労じゃったな。他の祓い屋にも注意喚起しておこう」

 よろしくお願いします、と春は云う。

「それと、お主ら最近休みなかったじゃろ。すまなかったな。三日ほど休暇をとって羽を伸ばしてくるといい」

「私は休暇など必要ありません。次の指令はなんですか?」

「僕も春さんに任せっきりで何もできてません。僕にも指令をください」

「まったくお主らは…いいか、真面目なのはいいことじゃが身体と心を休ませなければ、いつか倒れてしまうぞ。しっかり休め。休むことも仕事の内じゃ」

 千歳が諭すように云う。

「………わかりました」

「よし、それじゃあゆっくり休むのじゃぞ。あぁ宗二は話しがあるから残ってくれ」

 失礼します、と春は襖を閉めた。

「宗二が祓い屋になって半年か」

「はい、だいぶ慣れてきました」

「そうか、それはなりよりじゃ」

 千歳がお茶を一口飲む。

「お主に話しとは春のことじゃ」

 宗二は黙って聞いている。

「春は真面目で頑張りすぎるところがある。休めと云っても休まずに訓練を始めるじゃろう」

「そうですね。想像できます」

 そうじゃろう、と千歳は応える。

「そこでちと宗二に頼みたいんじゃが、春を息抜きに店に連れていってやってはくれぬか?」

 千歳は宗二の目を見る。

「お節介なのはわかっているが、あのままではいつか春の身体、心が負担に耐えれなくなると思うんじゃ」

 頼めるか、と千歳は云う。

「わかりました。誘ってみます」


 こうして宗二は春を誘うことになった。

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