第12話


 俺様たちが集められたのはローダ帝国の神殿だった。光を纏いし子どもたちは元からのローダ帝国の子どもだったけれど、闇を纏いし子どもはローダ帝国の子どもと俺様のようにアラザム帝国から買われてきた子どもが入り交じっていた。

 要するに、神殿にある神学校で光魔法の使い手と闇魔法の使い手を育成し立派な神官にするということなのだ。

 俺様は、このローダ帝国でそこそこいい生活はさせてもらった。孤児院のような所で育てられたのではなく、里親のような制度で七歳まで一般家庭で育てられた。様々な理由で子がなせなかった夫婦や、もう一度子育てをしたい夫婦など、里親になるための条件を満たした所にアラザム帝国からやってきた子どもがやってくる。

 そうして里親のところで愛情を与えられ育てられた後、神学校に入るのだ。光を纏いし者と闇を纏いし者は、命に関わる魔法が使えるため、偏見や偏った知識を覚える前に神学校で正しい知識を与えられるそうだ。ちなみに、それ以外の子どもたちは普通の学校に通う。魔法使いの適性がある者は、十三歳から魔法学校に通うことになる。神学校を卒業した俺様たちも十三歳からは魔法学校だった。魔法が使えるからな。


「あなたたちは特別な子です」


 神官が俺様たちに静かに語りかけてきた。みな「特別な子」と言われて頬に赤みが差したのがわかる。だが、これは試験なのだろう。

 多かれ少なかれ、人はみな自分の立ち位置を測りたがる。それは見た目だったり能力だったり家庭環境だったり、様々だ。

 ここにいる子どもたちは特別な魔法が使える。意識した訳では無い。親からそう教えられている。だからほかの子どもと違ってここに集められてことを知っている。それを神官から直接言われたのだ。幼い心は抑揚を抑えきれないだろう。

 俺様は周りの様子を伺った。子どもたち、特に養父母に育てられた黒髪の子どもたちは一瞬嬉しそうにしたけれど、すぐに神官の様子を伺うような目付きに変わった。それとは真逆に金髪の子どもたちは頬を紅潮させ、瞳がキラキラと輝き出した。

 まぁ、確かに、黒より金の方が綺麗だし、闇より光の方が言葉がいいからな。


「あなた方はこれからとても大切な事を学びます。それにより、卒業後は特別な職に就くことになります。それはこの世界が必要とする仕事であるから特別なのです。ですから、あなた方が慢心しないよう、ここでしっかりとした教育を受けるのです」


 そこまで話すと、神官はゆっくりと子どもたちの顔を見た。神官の話はまだ俺様たちには小難しい。戒められているのだが、ぬくぬくと育ってきた子どもたちは理解は難しいだろう。俺様だって、こうやって他人事のようにしているから何となく察しただけだからな。

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