第38話 お尻

 オレの名前は『みたらし』。

 二歳の柴犬だ。


 なぁ、パパさん。

 今なんで、カメラを持ってきた?


 オレはリビングで伏せをしていた。

 そうして部屋でまったりしていると、パパさんが急にお尻がどうのと言い出した。

 なんか知らんが、モフモフらしい。


 パパさんのことは信頼しているので、お尻を見られるくらい何でもないんだけど、そんなに興奮することかね。


 プリっとしてて可愛いんだと。

 変なの。


 そうこうするうちに、パパさんがカメラを持ってきた。

 オレはリビングの隅に移動した。

 パパさんがカメラ片手に、オレの背後を取ろうと追いかけてくる。


 なぜそんな執拗にオレのお尻を撮りたがる?

 ヤダよ、そんな変な写真、撮るなってば。


 小一時間、追いかけっこをしたが、結局いいのは撮れなかったようだ。


 どんまい、パパさん。

 そして今日も日が暮れる。

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