第37話 パパさんとお子様たち

 オレの名前は『みたらし』。

 二歳の柴犬だ。


 今日のお散歩コースは近所の公園だ。

 途端にお子様たちが寄ってくる。

 幼稚園児かな。


 オレはどこに行っても人気者なのだ。

 ふっふっふ。


 そんなオレとお子様たちとのふれあいを、カメラを構えて撮るパパさん。

 お子様がパパさんの様子に気付いて問い掛ける。


 ――オジサン、YouTuber? 番組名、何?


 パパさんが胸を張って答える。


 ――プリンスみたらしの優雅な一日? 聞いたことないや。あははははー。

 お子様たちが去っていく。


 パパさんは悔しそうに、その場に立ち尽くした。



 新しい番組名は『犬王みたらしの華麗なる日常』というらしい。

 ……ダサっ。


 パパさん、後でママさんに、こっぴどく叱られてた。

 そりゃそうだろ。

 だってオレ、王様じゃないもん。

 王子の次は王様って?

 ダサっ。


 どんまい、パパさん。

 そして今日も日が暮れる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る