付録 アボス社製vrゴーグルについて
アボス社が2026年に発表したvrゴーグル(名称はスケール・アイ)は当機の発表より十年前から開発が進んでいた新型のゲーム機である。2027年になると当機は様々な国で軍事訓練の一環としても取り入れられるようになった。一方で、発売からしばらく経った後、世界各国で鬱病の患者が激増してしまったとの報告も相次ぎ大きな社会問題ともなった。これはスケール・アイからの出勤制度などを指定していた一部の企業が存在しており、社員が十分に日光を浴びていなかったことによるビタミンDの欠乏だと見られている。
また、当機と同時に日本の株式会社ローグ(アボスの子会社)が発表した『グラフィカル』というゲームも人気を博していた。その後、pcなどで展開されていたゲームなどもスケール・アイ版が登場した。
また『グラフィカル』やスケール・アイがベータ版テストを行っていなかったことに対する批判が当時裁判にまで発展した事例が存在した。これに対して、アボス側は厳正な抽選の元にテスターを選んだと主張しており、現在に上るまで数百人の人間がベータ版テストを受けたと主張しているが、完全な証拠が突き止められず現在ではベータ版の存在の有無は都市伝説として語り継がれている。とある掲示板で書き込まれた内容では、『グラフィカル』ととても良く似た世界であるにも関わらず存在しない装備や施設などがある、またフリーディア共和国というかつて軍事政権が敷かれていた国家が世界の大半を征服しているのだという、『グラフィカル』ではプレイヤー同士が架空国家を作ることが可能なためこの掲示板の証言が真実ならばこのゲームが『グラフィカル』の忘れ去られたベータ版のサーバーなのかもしれない。この都市伝説をかつて検証しようとしたドキュメンタリー映画があったという。
その映画のラストシーンでは二三歳のイタリアの青年がインタビューで「あの世界はもう一人のものではない」と語った。
党歌の響くディストピアにて @PhyHunnyPopper134
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