6月 3日 お題:悪堕ち・『生涯背負う十字架』
「ありがとうね。リハビリ、ずっと付き合ってもらっちゃって」
「気にしないで。……あなたを、リハビリが必要な体にしたのは、私なんだし」
「……いや、私がこうなったのは、私が弱かったからだよ。君が気に病む必要なんてない」
「違う! あれは、あの時、窮地に陥った私たちを逃がすためにあなたが一人残ったからで…… あなたは、弱くなんて……」
「いいや、弱いよ。その結果、どうなったか忘れたわけではないだろう? 私は捕らわれて洗脳され……その結果、私は君以外の仲間全員を、この手で……」
「それでも! 悪いのは、あなたじゃなくてあいつら、そうでしょう?」
「だけど……あいつらは、もういない」
「ええ。あなたと私で、滅ぼしたから。償いなら、それで――」
「良くないよ。あいつらを滅ぼしたからと言って、みんなが帰ってくるわけじゃない。この咎は、どれだけ贖おうとも、償うことなんてできやしない。一生、背負い続けるしかないんだ……」
「そんな……」
「だから、私の事なんて――」
「それなら、その咎……私にも、背負わせてほしい」
「どうして……」
「私だって……ずっと、考えていたの。リーダーとして、あなたを囮とする以外に、何か作戦が考えられたんじゃないか…… あなたが、みんなに手をかけてしまう前に、何とか助ける手段があったんじゃないか…… とか、いろいろ。こんな未熟なリーダーだった私は……みんなの期待に、応えられていたのかな…… って」
「……」
「そして何より……あなたを、支えたい。唯一生き残ったあなたを……大好きな、あなたを……守りたい。あなたまでいなくなったら……私は……」
「ごめん……ありがとう」
「わかったなら、ほら、リハビリの続き、しましょう!」
「ああ、そうしよう」
「そうだ、リハビリが終わったら、行きたいところとかある?」
「急に、どうしたの?」
「ほら、目標を立てると、リハビリももっと頑張れるでしょう?」
「ああ、そういう事。そうだね、まずは…… みんなのお墓参りとか、行きたいかな」
「……そうね。私も、忙しくてまだ行けていないし、そうしましょう」
「よし、そうと決まれば、頑張らないと!」
「ええ! あ、でも、だからって無理は禁物よ」
「わかってるって!」
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