第14話 獣人王国の発展
ーー オムニバスの発展
獣人王国オムニバスに帰ってきた僕の最初の仕事は、代理となる獣人王を指名する事だった。
僕の立場は、建国王という立場であるがほとんど国の政治は、数人の獣人の合議制とそれに対する僕の許可という進め方で成り立っていた。
基本的な政治については、特に問題ないので。問題が起こる前に報告が欲しいという意味で、新たな事は必ず報告するようにしただけ。
合議制で統治を進めるか、誰か1人を王にするかを投票で決めることにした。
投票権のある者は、獣人であることのみ。
◇
投票が行われ、結果がでた。
代表を国王とする案である。
で誰がなったかというと、白狼族のアイだった。
獣人族の中でも神獣に近い存在の白狼族が選ばれるのは、当然といえば当然だった。そして、獣人族だけでは困るという声でフユーリーが副代表となった。
僕の妻が2人も重要なポストに、これで良いのかと思いつつ了承することになった。
ーー 正式に子にとしての調印
サザンクロス王国とオムニバス獣人王国との正式な交易の調印が行われた。
これを持って、オムニバス獣人王国はこの世界で国として認められたことになった。
その後、ドーゾン王国、ゼンブラ王国そしてアリスト聖王国とも調印を行なったオムニバス。
最初の女神の使命を果たしたことになる。
さらに今日そくに成長をしたゲッコウが、オムニバスの守護竜としてお披露目された。
この世界で古竜の存在は大きいい、その古竜が守護する王国を攻めるは滅亡を意味するため、オムニバスの安全が担保された瞬間である。
しかし何でもうまく行き過ぎる時ほど危険が隠れているもの。
今回も例を漏れず、不穏な者達が暗躍し始めた。
ーー 獣人の反乱と他国の悪意
オムニバス獣人王国は現在、急速な人口増加を果たしている。
各地において隠れ住んでいた、獣人らが王国建国を耳にして集まってきているのだ。
しかしその中には、我こそ獣人王国の王だと画策する者もいた。
その中で1番勢力が大きのが、獅子族の一族だ。
獅子族はその数1000人の一族で、身体能力ともに秀でた一族だった。
そのため、合議制で決まった国王の存在が認められなかったのだ。
他にも後から入植した獣人には同じように、反対者が少なくいたためそれを抑える問題が起こった。
僕は一つの提案をした。
獣人王国内武道大会である。
獣人が力を大事に考えていることは分かっていたので、この提案をしたのだ。
その話はすぐに広まり、参加者100人の大会となった。
◇
大会当日、組み合わせが張り出された。
参加者は己の身体のみを使い勝負をするため、接近に戦のみ。
刃引きをした剣や槍それとガントレットだ。
何と我妻のフユーリー以外の獣人が全員参加だ。
5会場で2人ずつ選ばれ、10人の代表に国王であるアイが参加する。
当然のこと10人の中には、アリエル、ギンジーそれとドンガが入っている。
他の7人は、
・獅子族から2名
・虎族から1名
・リザードマンから1名
・熊人族から1名
・竜人族から2名
で、いずれも獣人族の中では身体能力に自信のある種族である。
◇
第一試合
獅子族のオーガ対ドワーフのドンガ
獅子族のオーガという選手は、まだ若いが力とスピードに自信があるようで、大楯を構えたドンガに構わず攻撃を繰り出した。
5人お腹では1番レベルが低いドンガであるがそのレベルは、今や90オーバー。獣人族の猛者でも50〜60と言われる中でも突出している。
いくら攻撃をしてもガンとして姿勢を崩さないドンガに、獅子族から非難の声が聞こえ出した。
「守っているばかりじゃ話になんないぜ!」
という様なやじだ。するとドンガが盾を開き片手でオーガを招いた。
「舐めやがって。」
怒ったオーガが渾身のパンチをドンガに叩きつける。誰もがドンガか倒れると思った次の瞬間。
無傷のドンガがパンチを頬おで受けていた。徐にその手を掴むドンガ。
慌てて逃げようとするオーガはその力の前では無力だった。
自分の渾身のパンチをその頬で受けて無傷のドンガにその力の差を悟ったのだ。
「待ってくれ。」
思わず懇願するが、ドンガのパンチはその鼻先を潰しながらオーガを遥か後方に吹き飛ばした。
「勝者!ドンガ。」
勝ち名乗りに挨拶をしながら会場を降りるドンガに、観衆は声を忘れていたかのような大声援が降りかかる。
◇
第二試合
虎族タイガ対竜人族ゼオン。
虎人族は獅子人族と同じ様なタイプで、タイガは老練なタイプであった。
竜人族のゼオンは、槍の剣士。
戦いはなかなかの熾烈を極め、観客の心を掴んだ。
激しい剣戟の合間に、タイガの蹴りが決まる。
次第にタイガ有利に試合は進み最後は、体当たりにからの投げでタイガが勝利した。
◇
第三試合
リザードマンのリーゼ対ギンジー。
リザードマンとリザード族はほぼ同じであるが女性がいるかいないかで区別されることが多い。
鱗を持つ獣人としては絶対防御に近い種族で、その防御を抜くのはかなりの攻撃力がいる。
レベル111のギンジーの攻撃力は、竜種に匹敵する力。慢心していたリーゼはもろにそのパンチをくらい。そのまま勝負はついた。
あまりにも呆気ない試合にリザードマンに対する不満が溢れる。
◇
第四試合
熊人族のベーガ対竜人族のガイオン
竜人族のガイオンは、槍の剣士。
熊人族のベーガは、大斧の戦士。
激しい剣戟が見るものを虜にし始めたところで、ガイオンがブレスを吐いた。
竜人族は、ブレス攻撃が可能なのである。
大きな斧で防ぐも、その斧を破壊されたベーガに次の攻撃を防ぐ手はなかった。
槍の石突きが腹に減り込み、意識を失い倒れるベーガ。観客の歓声が最高潮になる。
◇
第5試合
獅子人族のセルガ対アリエル。
戦い方的には同じような2人であるが、レベルが圧倒的に違っていた。
セルガはレベル65の大剣使い、アリエルはレベル108の双剣使い。
双剣の細い剣が、セルガの大剣を弾き飛ばす勢いで振られる。
必死に防御うするゼルガの力が尽きるのも、それほどの時間はかからなかった。
最後は腹に前蹴りを受けて壁まで吹き飛ぶゼルガ。
この試合で、観客は気づく。
建国の王、カムイの妻たちの実力を。
◇
第6試合準決勝1組
タイガ対アリエル。
タイガが短期決戦を試みる。スタミナを考えたのだろう。
激しい連続の剣戟に蹴りやパンチが加わる、しかしアリエルはその全てを交わし、擦りもしない。
10分もしないうちにタイガが両手を上げ、負けを宣誓した。
観客もあの猛攻が全く通じないことに驚くタイガの健闘に惜しみない拍手が送られた。
◇
第6試合準決勝2組
ガイオン対ギンジー。
槍を構えるガイオンにギンジーも槍を構える。
力では全く歯が立たないことを感じたガイオンが、技でギンジーを攻める。
観客も、この大会で妻たちの実力を知ったためか。
応援はガイオンに向かう。
「頑張れガイオン!」
どこかの子供の応援が響く。
巧みな槍の連続攻撃で、ギンジーを攻める。
大きくなる歓声。しかしギンジーが一振り大きく槍を振るうと。
吹き飛ばされるガイオンの槍。ここで勝負あり。
観客はガイオンの健闘を讃える。
◇
第7試合は決勝
残りのアリエル、ドンガ、ギンジーにアイを加えた4人で戦う。
それぞれが一騎当千の豪の者。激しい戦いが予想されるため観客も息を呑んで観戦する。
4人が四隅に立ち、試合開始を待つ。
ゴングと共に走り出す。ドンガは大楯を振り上げ、ギンジーは槍をしごく。
アリエルとアイが目にも止まらぬスピードで、2人に突撃する。
「ドコーン」「ズドーン」
という重い音が響く。
視界が晴れるとそこに立っているのは、アイとドンガの2人。
スピードは攻撃力を数倍にするがそれをも防ぐ、ドンガの防御力。
睨み合う2人、動いたのはアイだ。
先ほどよりも早くドンガに激突する。
「ドゴーン」
ふらつくも対峙する2人、再度アイが動く。
さらにスピードを上げて激突する。
「ゴドーン」
さらに大きな音、これで立っていた方が勝ちと思われる。
視界が晴れて姿が見えると、2人とも立っている。
アイの膝が笑い腰が落ちるが、持ち堪える。
ドンガはというと・・・意識を失っていた。
「勝者!国王アイ!」
大きな勝名乗りを受け手をあげるアイ。
誰もこの勝利に口を出すものはいない。
そしてこの試合を見つめる、邪悪な目がいくつか動き出した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます