第5話 古竜との出会い
ーー 白狼族の唯一の生き残りアイ
私は誇り高い白狼族の族長の娘アイ。
里が魔物の群れに襲われその後に人間の「亜人狩り」に襲われたのは2月前のこと。
高位の魔物が数百の群れで里とその周辺の村を襲った。
我が一族は戦士の一族でありオーガすらも1人で倒す剛の者ばかりの里であったが、その数とキメラやワイバーンの群れに襲われては抵抗も虚しく里は壊滅。
命からがら逃げおおせた私達数人がその後「亜人狩り」に襲われ私を守るためのみんな死んでいった。
だから私は死ぬわけにはいけない。みんなの分も生きて誇り高い白狼族の里を再建しなければ・・・でも私は囚われのみ、里も滅び行く先もないどうしたらいいの・・・。
泣きながら私は里の伝承の物語を思い出し、願いを念じた。
「お願い私を助けて。」
伝承では一族に困難な危機が訪れたとき女神の使徒が白狼族の姿で現れると言い伝えがある。助けを求めればそれに答えるだろうと伝え聞いていた。
来る日も来る日も願いを念じて10日目。その人は私の前に現れた。
「僕を呼んだのは君だろ。」
そう彼は話しかけてきました。
でも彼は人族の少年です違ったと思ったがすぐに違和感に気づいた、匂いがしないのだ彼は匂いのしない何かなのだと気付いたとき思わず
「助けてください。」
と言っていた。
ーー 奴隷商人 カスタール
やっぱりこの子があの子を買う運命のようね。
手続きを進めようと部屋に向かうと先客がいた。
嫌な客。そうあの子を強引に買い取ろうとする生意気で反吐が出るような貴族。部屋に入る私にいきなりあの子の売値の半分の金貨を机に積み上げ
「この金であいつを俺が買い上げるから連れてこい。」
と無理な話をゴリ押ししてきた。
すると後ろの少年が
「今は僕の商談が先なので貴方は後にしてください。」
と恐れも知らない子供のように話しかけた。
すると案の定貴族の怒りに触れ
「ガキが俺のことを差し置いて商談をする。この金貨が見えないのか大口の商談中だお前こそどこかに出て行け。」
と怒鳴るが少年は少しも動じず
「そんな歳になってもまともな商談ができないとは、この国の貴族もそこがしれているね。物には道理や順序がある。どこの貴族か知らないが出直してきてください。」
と言い切る。
怒り心頭に達した貴族が護衛に何かを合図する。
護衛が2人少年に手を伸ばすと固まってしまった!
「何をしている!早く捕まえて連れてこい。」
と叫ぶ貴族に少年が
「黙れ」
と命令する。すると貴族はガチガチと震えだし泡を吹いて倒れた。
さらに少年は護衛の2人に
「早く片付けろ、命があるうちに。」
と言いつけると2人はふと力が抜けたように膝をついた後逃げるように貴族を担いで逃げていった。
この少年が普通でないと知っていたがあの護衛はBランクの冒険者。
その2人が手も足も出ないと言うことはAランク以上の強者という事になる。
信じられないが今言葉しか少年は発してないもしそれ以上をしたらと考えると恐ろしくなった。
すぐに手続きを済ませると私は、先程の貴族のことを注意程度に話した。
「先ほどの貴族はあくどい交易で利益を上げて金で人の顔を叩くような男です。ガネーリ男爵と言いますきっと今日のことを根に持って嫌がらせなどをすると思うので早めに王都を出ることをお勧めします。」
と言うと少年は
「どうでもいいですよ。目障りなら消し去ればいい話。」
とその話に興味を示さなかった。
ーー 奴隷はどんな対応すればいいの
奴隷商から出ると僕は腹が減っていたので
「腹が減ったので飯を食べよう。何か食べれないものがあるかい?」
と白狼族の少女に声かけるが何も答えない。
それならと
いい匂いのする店に入っていった。するとそこのウエイターが
「お二人ですか?お食事でよろしいですか?個室もありますが。」
と言うので
「個室に。ここの一押しの食事を2人前お願いします。」
と答えると「かしこまりました」と案内してくれた。
個室に入り僕は彼女に対面の席を勧めた。おずおずと座る彼女に
「今からのことは僕と君だけの秘密だから漏らしたらダメだよいいね。」
と言いながらスキル肉体改変を行使する。白狼族の男に。
光と共に姿を変える僕を惚けるように見つめる彼女、そして
「やっぱり伝承は・・・本当だったんですね。」
と呟くと床に座り込み
「使徒様。失礼の数々申し訳ありませんでした。どうか我が一族の復興を叶えてください。」
と涙ながらに願いでた、そこで
「話の内容が分からないが、僕で力になれることなら安心していいよ。
まずは食事、そのあとは色々買い揃えて邸で詳しい話を聞くからまずは座りなさい。」
と言いながら人族の姿に肉体変化をさせた。
食事を済ませ服やこざこざを買い終わると、カイマン辺境伯の王都の屋敷に向かい家宰の人に一部屋準備してもらうと、彼女の身の上を聞いていた。
「そうかそれは大変なことだったね。今僕はここから北の深淵の森の側にある猫人族の村に住んでいるんだ。君にもそこで生活してもらう予定だが君の里の人は他に生き残りはいないのかな?」
と言うと
「あの惨状で生き残りがいる可能性は少ないと思いますが、ひょっとするといない話でもないかもしれません。」
と答えるのでキルドにでも依頼を出してみるかと考えていた。
買ってきた服に着替えさせ身綺麗にすると、非常な美少女であることがわかった。
族長の娘であっただけはある教養と知性が窺える瞳にモフモフしがいのある尻尾、ピンとたった犬耳がとても心をくすぐった。
早いとこ村に連れ帰って落ち着いた生活を送れるようにしてやろうと、今更ながら思いつつこのような境遇の亜人達が多くいるのだろうと思い。
それについてどうすれば手が届くのだろうと考え込む僕だった。
彼女の立場を考え僕の妹にしようかと話をしたら
「とんでもございません。白狼族の子孫繁栄のみで十分ですと真っ赤になって辞退していたが何か僕と噛み合っていないかんじがしていた。」
ーー 王都からカイマン辺境伯へそしてオムニバスへ
王都でのオークション及び死蔵していたアイテムボックスの魔物の素材を、ギルドに5回に分け売り払ったため1月の滞在となったが、その間にカイマン辺境伯領への食糧や日用品などを想定以上に購入することが出来。
更にオムニバスへのお土産も多く購入できた。世話になった人に挨拶をして帰る事にした。
丁度その頃瞬間移動のレベルがmaxになり。めでたく転移魔法に上位進化したので今回はそれを使って帰ろうと考えたが、まだ1人しか転移できなかった。
それでも瞬間移動の魔力負担が軽減され日に何度もオムニバスから王都にこれるようになった。
瞬間移動での移動はアイにとっても予想以上の事で。
3回ほどでカイマン辺境伯領についたときには、唖然としていた。
カイマン辺境伯城に向かうと、領主自ら迎えに出てきており硬い握手をした事はさらなる信頼関係を深めた事柄だった。
カイマン辺境伯の取り分である食料を備蓄倉庫に保管し。他に購入してきていた日用品雑多を倉庫に納め売上金の残りを宰相に手渡すと。
「まだここまであるのか。」
と残金の多さに驚いていた。
多分このカイマン辺境伯領の税収の3年分は残ったと思う。
歓迎の宴をしてもらい滞在する事5日。今後の取引事項を詰め城を後にした。これから向かうは僕の拠点オムニバス村だ。
2回の瞬間移動で村の前まで移動すると、そこには多くの人が出入りする街があった。
2ヶ月足らずの間によくもここまでと思うほど商人や冒険者が溢れていた。
どうやら冒険者ギルドの支部ができたらしい。
亜人の中でも獣人と呼ばれる種族は狩が得意とあって冒険者になるものが多くいた。ここは人族以外の冒険者の集まる街となりつつあった。
村長に挨拶をして土産品を配りながら今後の交易について話し合った。
話すと言っても僕の決めた事を確認するだけの作業であるのだが。
そういえば村に入る前に僕が猫人族に変化したのを見たアイはまた驚いていたが何故かすぐに納得していた。
取り敢えずここに僕の店を出してアイにその手伝いをさせる事にした。
既に隷属の首輪は外しており奴隷からは解放しているが、僕のことを「使徒様」か「ご主人様」しか言わないので困っている。
店は手作りで立てる事にし、材料である石材や木材を集めてきたら、周りのみんなが手伝い出してあっという間に完成した。みんなありがとう。
錬金術で魔道具作成ができるようになった僕は、魔物の魔石を使い冷蔵庫や湯沸かし器さらにはオーブンを作り上げた。
自宅には大きな湯船を常に満たすお湯が張られ日本を懐かしむ食材を探しては復元していった。
それらの中からインスタント麺やインスタントスープは冒険者の携帯食に大好評になりヒット商品として毎日のように売り切れている。
アイも忙しい日常に涙を流す暇もなく笑顔で接客していた。
僕はその後週一から半月に一度の割合でカイマン領と王都を移転移動し商人の商品を格安で運搬してやりお金を多く落とす循環を作っていった。
ーー 2年後
あれから2年、僕も13歳となり大人の仲間入りとなった。
この世界では成人は13歳なのだ。
村に建てた女神信仰の教会に挨拶に向かうと・・・ん!
気づけば白い世界に立っていた。
今回も声だけ
「ようこそ待っていました。頑張っていますね。でももうすぐ大きな波乱がやってきます。心構えをしておいてくださいね。」
と言う言葉とともに元の教会に戻っていた。
女神に感謝の御供物をして教会を後にした。
ーー オムニバスは村から町へそして・・・
村長からこんな話が
「カムイ様、この村も手狭になってきました。できればもう少し拡張されるかもう一つか二つ村を作ってもらえませんか。移民希望の種族が沢山おりまして頼むと言われていますのじゃ。」
と言う話だったので。
この村をさらに拡張し5kmほど離して東西に村を作る事にした。
先ずは魔物から村を守る壁に交易のための道は初めから作っておこう。
オムニバスは面積を以前の12倍に土魔法と精霊魔法を併用して高さ20m厚さ5mの丈夫な城壁を張り巡らせ周りに深い堀を掘り、水を川から引いて満たした。
道路は石畳の幅10mで2キロおきに休憩兼目安になる泉を作った。
村は希望種族が10種族。
数の多い少ないがあったので同じ村で構わない種族は混成の村として4つを5kmおきに同じく堅牢な城壁と堀を作り、井戸や家作り用の資材込みで手渡し畑作りと塩などの採掘場を教えてやった。
基本的には半年は食料も供給し作物が実り始めると自活してもらった。
なお交易用にお金が必要だったので、村々で産業を起こし魔物や獣の素材を買い取り現金収入を実現させていた。
オムニバスの村いやもう街という規模だな。
ここにドワーフという種族が移住してきた。彼らは酒をこよなく愛し鍛冶や錬金で生計を立てる土の民である。
その話を聞きつけ僕は酒造りを提案する。
すると「是非に」と二つ返事で蒸留酒とワイン、ビール作りが行われ始めた。
その結果は3月と経たずに現れこれより「オムニバスの酒」と呼ばれる多くの酒が生まれ出る事になる。
村長が訪れこう言った
「オムニバスの街や周辺の村も生活ができるようになりました。そこでこの街を中心に人族以外による全種族の国をここに作っていただきたい。」
と壮大なことを言ってきたのだ。
確かに悪くはないが周辺の3国が許すかという話である。
まあこの深淵の森は誰の森でもないので。ここ周辺で広げる分には問題ないが、外に広がれば当然衝突や軋轢は起こるだろう。
しかし僕の方はここだけで、抑圧される種族を集め守ることができればかなり使命が進むな。
と考えていました。
『建国するというのはどういう事なのか誰かに確認する事?それとも勝手に決めればいいのか?』
『取り敢えず国なら国名や王様、軍隊、官僚に領民がいるよな。名前から決めていくかな。』
と独り言を言いながら考えて過ごしていた。
ーー 古竜との出会い
この世界には生物の頂点たる位置に竜種が存在する。
竜と一口に言っても古竜と呼ばれる原始の竜から飛竜、地竜、水竜、火竜と場所的な存在から若い竜種まで個体数と強さがピラミッドのような感じで存在する。
今僕の前にいるのが原始の竜の中で最も古いと言われる赤龍でその長い命を燃え尽きそうになっている。
原始の竜は死という観念がなく身体が滅びるとその中から卵として生まれ変わり記憶を継続していくらしい。
これについてはまさに滅びいかんとする古竜が話してくれたので知りえた秘密である。
2日ほど時間を遡る。自宅で眠っているとまたあの真っ白い世界に呼び出された、
「貴方に頼みがあります。そこから北に150kmの距離に竜の巣が有ります。そこに向かい古竜の最後を看取って欲しいのです。」
と使命だけ受け元の場所に、詳しく言わないよね女神様は。
取り敢えず取るものもそこそこに、瞬間移動を使い竜の巣に向かう。
途中「亜竜」と呼ばれるワイバーンやまだ若そうな属性竜に襲われながらも倒してアイテムボイスに収納しつつ山を登ると。
大きな窪地に洞穴がある場所にたどり着いた。その洞窟に入ると奥に小山のような体を持つ原始の竜の姿があった。
その竜は生まれて2000年。2度目の滅びを前に卵をかえしてくれる存在を探していたのだった。
竜は卵の時から多くの魔力を必要とし2000年前なら数人の人種や神獣と呼ばれる者がおりなんとかなっていたそうだが、現在ではほとんど条件をクリアする存在がないそうで僕に依頼が来たという話だそうです。
それから2日間昔話を聴きながら古竜と絆を深め今に至ったということ。
『それでは』と言って古竜が炎に己の身を燃やし出した。
三時間ほど見ていると燃え尽きた古竜の体の中に大きな魔石と卵が一つ、魔石と卵を収納し家に帰る。一部屋を卵の部屋として1日一回魔力を注ぐ作業を始める。
その日から30日間卵に魔力を注ぎ込むと、僕自身の魔力量もかなり大きくなったのが分かった。
現在の僕の基本ステータスは
カムイ 13歳 男 猫人族(人・白狼族) レベル78(40・10)
HP 12300 MP 33000 力 3300 速さ 4000 賢さ 3000
で、有り余る魔力が空になるまで卵に注ぐと変化が見え始め。今、殻を内側から破ろうとする竜の卵!30分後新しい原始の竜の誕生である。
僕の魔力の影響なのか身体が七色に変化する飛龍が生まれた。
そういえば名前を聞いてなかったなと思い
「名前はどうする?」
と聞くと念話で
「つけて!」
と帰ってきたので
「名前は、月の虹と書いてゲッコウでいいかい。」
と聞くと
「ゲッコウ!ありがとう」
と帰ってきた。
いつの間にか僕のステータスにゲッコウの保護者という称号がついていた。
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