第4話 王都と奴隷
ーー 王都へ
2日後僕は王都に向け出発した。
それまで何をしていたかと言うと持ってきた食料を村々や町に配っていたのと、商人や領主の手紙や依頼書を書いてもらうための時間が必要だったからで忙しくしていた。
王都には先ず僕が向かい商人と王都にあるカイマン辺境伯の屋敷の家宰と共にワイバーンの競売及び食料の買い付けを行い。
出入り商人の荷をいくつか無償で運搬するのが僕の仕事。
さらに冒険者ギルドに冒険者登録をして魔物の素材を売り捌きそのお金で村に必要なものとカイマン辺境伯領に必要なものを買い付ける約束になっている。
「ここが冒険者キルドか」。
感慨深い思いで見上げた建物は3階建てのしっかりとした石組みに独特な看板が掲げられていた。
中に入ると広いホールが受付や買取口の事務処理的な所と簡単な飲食ができるスペースに分けられていた。
「先ずは登録をしよう。」
と思い受付に並ぶ10分ほどで順番が回ってきたので用件を言おうとしたとこに男が割り込んできた。
すると受付の女性がその男に対し
「カイゲンさん。貴方の順番はまだ後ろのはずですよね。」
と割り込みを注意するが、男は気にする風もなく
「誰も並んでいなかっただろ。俺の順番だから俺が来ているんだ。」
と言いながら僕を見て
「お前そうだろ俺が先に並んでいただろう。」
と言うので
「貴方は馬鹿ですか?列に並ぶ方法すらわからないとは赤子程度の知恵しか回らないようですね。そんな頭じゃ要件を理解することも依頼することもできないので読み書きから習い直してきたください。」
と言い返すと顔が見る見るうちに赤くなり
「小僧生意気な。俺を誰か知ってて言っているのか!よーく教えてやるよ。」
と言いながら僕の襟首を掴んで持ち上げようとした。
周りの列の人や受付嬢が慌てて止めようとするがそれより先に男は崩れるように倒れた。
僕は男をヒョイと抱えて空いてる場所に放り投げるともとの受付に戻って、驚いている受付嬢に
「冒険者登録をしたいんですがここでいいですか?」
と尋ねると素に戻った女性が引きつった笑顔で
「はい。冒険者登録ですねここで承ります。」
と紙を出しながら必要事項を書いてくださいと言うので記載していると、周りで騒がしい声が聞こえ始めた。
「おい、カイゲン!何こんなとことで寝てるんだ。じゃまだ起きやがれ。」
男の背をけり上げると男が息を吹き返し周りを見ながら頭を振っていたが。突然
「このガキ俺に何をした!」
とまたもや駆けつけようとするので僕が軽く威圧を与えると、ガクガク震えながら再度その場所に倒れた今度はお漏らしもしている。
それを見ていた、男を蹴り付けた男が僕の方に慎重に歩きよると受付嬢に
「こいつは何用でここに来てるんだ。」
と聞いた。
すると受付嬢は「冒険者登録に」と答えた。
男は暫く僕を見ていたが後でこいつを俺のところに連れてこいと言い残すとキルドの奥に立ち去った。
冒険者にはランクというものがあり。
上から
S、A、B、C、D、E、F
の7ランクで、最初はみんなFランクから始めるという。
それから依頼をこなしながらランクを上げていくが高ランクほど危険でかつ高収入のようだ。
僕は30分ほどでFランクのカードをもらった。
すると受付嬢から「こちらに来てくださいキルマスが待っています。」と鉄板な話になってきた。
後についてある部屋に入ると厳しい顔のさっきのおっさんが座っていた。
「ギルマス、連れてきました。それでは失礼します。」
とお姉さんは部屋から出て行き僕とおっさん2人の世界になった。
いたたまれない時間が流れる。
「いい加減何か言わんか。どこでもいいからすわれ。」
というおっさんに促されソファーに腰を下ろすと。
おっさんが
「お前はどこの誰だ。小僧のような姿をしているが本当の姿は別もんじゃろう。この町での横暴は死んでも俺が許さんぜ。」
と突然脅すようにいいうので
「何を言っているんですか?11歳の小僧を捕まえて誰と話をしているつもりかわかりませんが、紹介状を持ってギルド用登録に来ている僕に因縁をつければ紹介者に対して不敬じゃないですか?」
と言いながら辺境伯からの推薦状を差し出した。
推薦状を読み出す男の顔が赤くなったり青くなったりしながら、チラチラと僕を見ながら読み進めていたが突然。
「すまん」と頭を下げた。
「いいですよ。誰にでも間違いはありますから。でも死んでしまうと後悔できないのでよろしくお願いしますね。そこに書いてあると思いますが魔物の素材を売りに来ました買い取ってもらえますか?」
と言うと
「おお、すぐに俺が連れて行くからついてこい。」
と部屋を出て聞くので、慌ててついて行くと裏の大きな解体場に連れて行かれた。
「かなりの量があるんだろ。ここでいいから出してみな。」
と言うので種類ごとに10個づつ出し始めた。
「オーク、オーガ、ブルーウルフ、レッドウルフ、サ!サイクロプス!」
声が上ずっているような
「まだある・・キメラ、ポイズンスネークまだある地竜!!」
このくらいでいいかな。
周りの顔を見回すと判断がつかない顔。
「まだ要りますか?このくらいでやめときますか?」
と聞くとキルマスが頭抱えながら
「まだあると言うことでそれは量のことかそれとも種類のことか。」
と聞くので「両方」と言うと今日はこれでいい後はまた準備が出来次第連絡するから連絡先を教えておいてくれ。と言われた辺境伯の王都の屋敷を伝えておいた。
今日の分は3日待ってくれと言うので3日後に来ると言い残してギルドを後にした。
2日ほど商人からの依頼を遂行するためオークション会場や大手商会に足を運び荷物を下ろしたり積み込んだりと働き3日後に再度ギルドに向かった。
ギルドに入るとすぐに受付嬢が手招きするので受付に向かうと。
「カムイ様、買取が終了しています額が大きいのでギルマスの部屋までお越し下さい。」
と言われた再度おっさんの部屋に向かう。
部屋に入ると誰もいないのでソファーに座り待っているとお茶を持って来た女性と一緒に男3人が入ってきた。
1人はおっさん2人は初めて見る顔だった。
「待たせてすまね。額が額だったもんでお前は現金で持ち帰るのか。」
と聞くので買い物さえできればどうでもいい。と答えると
「王都の金がなくなる恐れがあるからギルドカード払いにしてくれ。
それとここにいるのはオークションの会長とギルド本部の会長だ。お前に話があるそうだ。」
と紹介した1人の男が名刺のようなものを差し出し。
「先日ワイバーン10匹をオークションに出されたのは貴方ですか?」
と聞くのでそうだと答えると
「ギルドに持ち込んだ素材もオークションにかければかなりの値がつくものばかりです。なぜ出さなかったんですか?」
というので
「ワイバーンは初めからオークションに出すことが決まっていたのと、僕がここで出した素材がそこまで珍しいとは知らなかったからでもあるが、まだたくさん持っているので早めに換金したかったんですよ。」
と答えると「まだ沢山」と言う呟きと共に座り込んだ、もう1人が
「俺がこの国のギルマス。剛拳のダーティだ。ちょいと手合わせしてくれねえか。」
と実力を試したいと言うので「いいですよ」世軽く答えて裏の訓練場に向かう。
「俺は元Sランクだ。好きな武器でかかってこいよ。」
と素手で立ち会おうとする姿に少しばかり力を込めて威圧して
「舐めたことしては命が足りませんよ。本気で来るのは貴方の方でしょう。」
と言うと硬直していた体を何とか動かしながら
「本当だ。俺も歳か相手の強さがわからないなんて。」
と言いながらゴッツイ剣を持って僕の前に立った。
おっさんの合図で立ち合いが始まった。大きなことを言うだけあって動きもスピードもまずまず特に豪腕が目立っていたが、大型の両手剣を僕が軽く指で止めると「参った」と言って部屋に戻った。
残ったおっさんが
「お前魔法も使えると言う話じゃねえか。ここで見せてもらっていいか?」
というので
「ここに大穴や焼け野原ができるような魔法が見たいの?」
と聞き返すと大きく顔を振って「もういい」と部屋に戻った。
部屋について戻るとダーティと言うギルマスが
「お前のランクはAに変更しておくそれ以上は国からの推薦が必要だから後素材を定期的に納めてもらっていいか?深淵の森の魔物の素材は極めて貴重でさらにお前が取ってくる高位の魔物は数年に1つか2つの物ばかりだからギルドが潤うので是非お願いしたい。」
と言うのでカイマン辺境伯領のギルドでもいいのかと聞くと
「出来ればここまで持ち込んで欲しい」
と懇願された。
ランクの手続きと買取金額の確認が済んで、ギルドを出たのは昼をすぎた頃だったので。
昼でも食べようかと歩いて店を冷やかしていると。誰かに呼ばれた気がしたそこで気になる方に歩いて行くとそこは奴隷商が立ち並ぶ所だった。
さらに店を覗きながら歩くと、とある一軒の店の奥からまた呼ぶ声が聞こえた気がした。その店の入り口を入るといかつい男が2人立っていた男が言う
「ガキが来るようなところじゃねぞ早くけいりな。」
と追い立てようとする。
しかし僕を押し出そうとした男は驚愕に顔を歪める。
どんなに押そうがびくともしない僕しまいには2人がかりで押し出したがやはりびくともしない。そんなゴタゴタを聞きつけた店に主人が
「店ん中で何をしてますの?」
と声をかけてきた。
男らは子供が入ってきたから追い出そうとしていたが何故か追い出せないと意味のわからないことを言っていたが、店の主人は僕を見ると
「うちの店のもんが失礼しました。何か用がありましての来店でしょうか?」
と丁寧に言うので
「店の商品が気になるので見せてもらえませんか。必要があれば買い取りますので。」
と答えると「それなら奥にどうぞ」と奥に案内してくれた。
ーー 奴隷商人 カスタール
私は王都に店を出して20年の中堅の奴隷商人です。
最近は「亜人狩り」と言う流行のような人攫いが横行しており数多くの亜人の方が奴隷として連れてこられる。
私も商売なので売り買いをするが人道的な商売が、もっとうなので可能な限りいい主人にと売り渡して入るが。全てがそう言うわけにはいかないそう特に今うちにいる「白狼人」の娘などは見た目もいいので買い手が多く高額な値段を設定していてもゴリ押しで買い取ろうとするたちの悪い貴族がいる。
どうしようかと悩んでいたら店先で騒がしい気配が。
店に出ると10歳かそこらの男の子が店にいてそれを大の男が二人掛かりで押し出そうとするがびくともしない不思議なエズラの状態だった。
私は仕事柄鑑定のスキルを持っていたので男の子を鑑定しようとすると
カムイ 11歳 男 人族? レベル40
※※※
これしか見ることができなかった、レベル40と言えば一流どころのレベルではないかそれがこんな子供なのに。
何かわけがあるかもしれないと感じて話しかけることにしたら、とても賢く礼儀正しい子供だったので店の奥に案内した。
ひょっとしたらこの子ならあの子を買い取ってくれるかもしれないね。と思いつつ世間話から始めると。
さっき冒険者ギルドでAランクになり魔物の素材を売ったのでかなりの金を持っていることがわかった。
信じられないと言うような顔をしたらギルドカードを見せてくれたので間違いないこんな子供がAランクに。
ーー 奴隷を買う
「それで奴隷を購入する気があるなら商品をお見せしますけどどうしますか?」
と聞く店主に「是非に」と答え奴隷のいる部屋に向かった。
この店で常時10〜20人の奴隷がいるそうで話によると最近は拐われた亜人の女子供が多いそうであると言うが解放するには買い取った後しか出来ないらしい。
しかも亜人の子供の場合、家か里に帰ることが出来なければ奴隷として保護しておくほうが安全だと言われた。
奴隷を見ながら説明を受けていた僕がある所で足が止まった。その子は僕を呼んだ子だったから
「この子は」
と店主に声をかけると
「この子は特別な子で金額も高額なので・・」
と言いにくそうに言うのでその子に向かい
「僕を呼んだのは君だろ。僕はここから北に向かい深淵の森の側にある猫人族の村に住むカムイと言うものだ。君が望むなら僕が買い取るけどどうする?」
と目を見ながら話しかけるとその子は
「助けてください。」
と頷いた。
そこで店主に
「この子の意思も聞いたので僕に買わせてください。」
と言うと「はいわかりました」と言って僕を別の部屋に案内し出した。
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